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小説【淡海乃海 水面が揺れる時】第四巻レビューと感想

 

長きに渡り幕府を支配していた三好政権

戦国の大大名と、単独で戦う朽木基綱

前回の戦いによる教訓を披露する三好の秘策に対して、果たして基綱の取った戦術とは

淡海乃海 水面が揺れる時~三英傑に嫌われた不運な男、朽木基綱の逆襲~四【電子書籍限定書き下ろしSS付き】 (TOブックスラノベ)

題名:淡海乃海 水面が揺れる時 第四巻

著者 : イスラーフィール

: 碧風羽

あらすじ:長島一向一揆への戦いへ本格的な準備を始めた朽木基綱。急がば回れ、長島への補給路の切断、支援者の処断を行う。そして長島への攻撃を開始する。苛烈な攻撃により無事降伏させる事ができた主人公。これにて周辺諸国での不安要素がなくなり、とうとう三好政権への上洛戦を行う事に。史実とは違う天下分け目の戦いがついに始まる…

紹介

小説前半から後半初めまでは、長島への支援者の処断を行い、補給路を断ち長島一向一揆への攻略を開始するまでの話しになっている。商人を通じて、反朽木の長島一向一揆へ支援していた北畠家。当主の息子北畠右近丈夫将監の境遇を不憫に思い、身柄を預かるのだが、息子が心配で母親の苗が乗り込んでくる。ここまではweb版と同様なのだが、そこからの朽木基綱と苗のやり取りの詳細が加筆されている。そこでのやり取りが、主人公の海千山千ぷりが良く表現されており、思わず顔がにやけてしまう事だろう。 

今回は主人公の現代の知識があるからこそ打開できた場面が存在しており、一つが長島一向一揆での戦術と、三好との上洛戦での相手側の秘策を見破る場面だ。今までは史実の歴史を知っているという優位性は、金儲けと相手側の情報・銃の有用性が主だった。この2点について、ある種の負ける可能性の有る戦いで、今までとは違った知識の活用を披露するので、物語の良いスパイスになっていた。

感想

巻の終盤にて、対三好への上洛戦が始まる。三好軍3万に対して、朽木軍5万と前回の戦いより、両者共に倍以上の軍隊を率いての大決戦のシーンなのだが、ここでは残念ながら加筆はなかった。加筆する箇所がないという事でもあるのだろうが、この戦いは日本の行く末を変える一大決戦のため両陣営の心境を、もう少し詳しく描写してほしかった。

本作の書き下ろしと電子版特典

容易ならぬ敵が収録されている。前者『容易ならぬ敵』は足利義昭側から見る、朽木基綱との将軍宣下を巡る交渉事を書いたものになっている。後者『絆』は、基綱の妻・側室の小夜・雪乃が、最近気落ちしている主人公を心配して訪ねるシーンが書き下ろさおり、そこでの三人のやりとりや、それで夫を信じる決意をする女性陣は、長年に渡って支え合って来たまさしく絆と呼ぶに相応しい内容になっている。さらに電子版特典として乱世を凌ぐのSSも収録されている。これは朽木陣営の九鬼孫次郎が堀内新次郎氏善を勧誘しに訪れ朽木基綱と会いある決意を固める場面が描かれている。