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書籍化小説【淡海乃海 水面が揺れる時】第五巻のあらすじ・見所・特典小説・感想

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書籍版「淡海乃海」第五巻【あらすじ・見所・特典・感想】

三好を打ち破り上洛戦を制した朽木基綱。日本の中枢たる京に入るも、そこに自分の居場所は存在しない。

長きに渡り親交があった足利家と、本格的に反目しあっていく…

淡海乃海 水面が揺れる時~三英傑に嫌われた不運な男、朽木基綱の逆襲~五

題名:淡海乃海 水面が揺れる時 第五巻

著者 : イスラーフィール

: 碧風羽

あらすじ:権力を握った足利義昭が、好き勝手な政治を行い混乱する京。それにより義昭に不信を抱く帝・公家、不信の増大に伴い朽木基綱への期待は高まっていく。そんな不信につけ込み再度三好は攻め入ってくる。三好の反攻を防ぎ、いよいよ義昭への将軍宣下の時を迎えるが…その前に足利家「お家芸」の朽木討伐の密書が各地へ出回る。

2016年に素人小説投稿サイトで連載が始まった小説の書籍化作品第五弾。

 

ノベル「淡海乃海 五巻」の見所は?

征夷大将軍の権利「天下静謐の任」の受任

今作で朽木基綱は、天下人たる征夷大将軍に付随する権利「天下静謐の任」を受任される。これは、日本が穏やかに治まる事を朝廷が願っている事の表れで、日本の象徴たる帝(天皇)に名の元に基綱に反する勢力を朝敵として認定できる事を意味する。

基綱の行いを朝廷は全面的に支持する意向の表れとも言える。反対に、本来の征夷大将軍たる義昭に対して与えられない事から、幕府と朽木の軋轢が深まる要因にもなってくる。

この権利は、web版では名言されていない出来事になる。実質上与えられているとも言えなくは無いが、朝廷と朽木の繋がりを強調するエピソードとして加筆されている。

権力争いと権威

第五巻から本格的に京での朽木家・足利家・朝廷公家との三者による日本中央政権の権力闘争が激化していく。朽木はその実力で、足利は武家の棟梁としての権威で、朝廷は日本元首たる権威を使い日本の行く末を巡って争い出す。

三者のそれぞれの思惑が絡み合い、物語はいよいよ山場を迎えてくる。第一巻から読んでくると、かつて三好に対して行われていた「将軍による討伐命令」が今回から朽木家に対して行われてくる。この事が朽木家の力の大きさをよく表している出来事となり、第一巻から読んでいて感慨深い場面の一つ。

朝廷の足利(武家の棟梁)への見限り

今作から今までは匂わす程度だった朝廷の武家の棟梁たる足利への対応が明確になってくる。webでは、今作程の見限りについての表現が強くはないので、web版読者にとっては、大きな驚きがある。

特典 書き下ろし小説

特典短編【一】:朽木と朝廷による足利へのクーデター「政変」

足利義昭が京へ入った事で、従兄弟ではあるが敵対的な朝廷の重鎮「関白近衛前久」が朽木へ亡命してくる。そして京を制し、幕府に居場所が無い事から朽木領に戻っていた基綱。

この両者による、三好の反攻に転じた際に基綱と前久がタッグを組んで、足利に仕掛けた日本の主導権を取るための政変(クーデター)、その詳細な出来事が描かれている。

特典短編【一】:京から見る基綱という男「天下を狙う男」

京の公家の一つ勧修寺家から見る朽木基綱という男とはどういった男なのか?官位に興味がなく、幕府へも入ろうとしない、まるで幕府を無視する行動を取る基綱の狙いは何なのか?そんな不気味な存在を、公家の視点から描いた物語。

電子版特典:覇道によって日本を治める者「覇者」

征夷大将軍に使える公家「昵近衆」。長らく征夷大将軍から離れ、京で帝に仕えていた。そんな名家が朝廷の領地をかすめ取った宇津家(朝敵)への朽木家による征伐行動に昵近衆は従軍する事になる。

そんな昵近衆の目から見る基綱、覇道によって日本を治めようとする男への畏怖を抱いた話しを描く。

 

第四巻を読んだ感想

当巻を通じて、全体的に朝廷の足利幕府へ「見限り」を強く表現された物語になっている。朝廷の基本方針である「双方に波風立てず」はweb版・書籍版ともに変更はないが、web版ではここまで踏み込んだ表現をされてはいない。

そのため私個人的には、「そんな敵対的で大丈夫?」と少し不安になる程である。それほどまでに朝廷側の対応の表現が豊富になっており、これからの京に権力権威争いが楽しみになる作品であった。

基綱に迫る刺客と朽木の忍び八門との諜報戦!書籍版「淡海乃海」第六巻の紹介記事

もしも基綱が朽木家の当主にならなかったら?「異伝 淡海乃海」第一巻の紹介記事