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小説【淡海乃海 水面が揺れる時】第五巻レビューと感想

 

三好を打ち破り上洛戦を制した朽木基綱。

日本の中枢たる京に入るも、そこに自分の居場所はない。

長きに渡り親交があった足利家と、本格的に反目しあっていく…

淡海乃海 水面が揺れる時~三英傑に嫌われた不運な男、朽木基綱の逆襲~五

題名:淡海乃海 水面が揺れる時 第五巻

著者 : イスラーフィール

: 碧風羽

あらすじ:権力を握った足利義昭が、好き勝手な政治を行い混乱する京。それにより義昭に不信を抱く帝・公家、不信の増大に伴い朽木基綱への期待は高まっていく。そんな不信につけ込み再度三好は攻め入ってくる。三好の反攻を防ぎ、いよいよ義昭への将軍宣下の時を迎えるが…その前に足利家「お家芸」の朽木討伐の密書が各地へ出回る。

紹介

第五巻から本格的に、京での朽木家・足利家・朝廷公家との三者による、日本中央政権の権力闘争が激化していく。三者のそれぞれの思惑が絡み合い、物語はいよいよ山場を迎えてくる。第一巻から読んでくると、かつて三好に対して行われていた『将軍による討伐命令』が今回から朽木家に対して行われており、この対比が朽木家の力の大きさをよく表している出来事で、一巻から読んでいて感慨深い場面だろう。

見所

おすすめのシーンは、征夷大将軍に付随する権利『天下静謐の任』朝廷が朽木基綱に与える所だろう。天下静謐の任に対する一連の話しはウェブ版にはないもので、小説版特有の加筆部分になり、より朝廷が足利義昭に対して見限っている事を象徴する場面だろう。これにより足利幕府と朽木基綱の軋轢が深くなり、今後の展開について、より濃い物語になってくるだろう。

当巻を通じて、全体的に朝廷の足利幕府へ「見限り」を強く表現された物語になっている。朝廷の基本方針はウェブ版・書籍版ともに変更はないが、ウェブ版ではここまで踏み込んだ表現をされてはいない。そのため私個人的には、「そんな敵対的で大丈夫?」と少し不安になった。それほどまでに朝廷側の対応の表現が豊富になっている。

今回の書き下ろしと電子版特典

『政変』『天下を狙う男』が収録されている。前者『政変』は俗にいうクーデターになり、朽木基綱と朝廷側による足利家の権力を奪取する場面を描いた物語になっている。後者『天下を狙う男』は公家の三好派:勧修寺家から見る政変後の京の様子や、主人公に対しての考察を書いたものになっている。

電子版特典としては、『覇者』が収録され、朽木基綱の帝からの勅令「宇津討伐」に従軍する昵近衆(征夷大将軍が戦場に赴く際に同行する朝廷側の公家衆)から見る主人公への評価・内心の思いを書いた物語になっている。