亡くなった人と会話できるアプリの存在
それは異界からの誘い
家族の愛、過去の過ち、それらに向き合った時、果たして人は何を選択するのか
鑑賞後評価:★★★☆☆(2.5)
題名:トーク・トゥ・ザ・デッド
公開:2013年
時間:84分
監督:鶴田法男
あらすじ:母親が男をつくって、家を出て行ってしまう。幼い弟を育てるため百合は、夜の仕事で働いていた。不規則な生活が続いたそんなある日、夜の仕事から帰って来ると、放置気味になっていた弟は亡くなってしまっていた。
その事に自責の念を抱いていた百合だが、同僚のマユから「亡くなった人と話せるアプリ」を紹介される。そのアプリには1つのルールが存在する。それは「会いたいと言われても承諾してはいけない」こと。
半信半疑で電話する百合だったが、電話口から聞こえて来た声は、紛う事なき「弟」の声だった…
予告動画
主な登場人物(キャスト)
・川久保百合(小松彩夏)
・光枝亮(加藤和樹)
・木島マユ(桜井ユキ)
・本間優一(須賀貴匡)
・笹本洋子(大塚千弘)
本作「トーク・トゥ・ザ・デッド」の魅力
ホラーの中に存在する甘くも切ない物語
誰しもが抱く感情「亡くなった人」ともう一度だけ話がしたい。そんな切ない思いと、年の離れた弟への深い愛情、崩壊した親との愛、重なる心への負担と話すだけではなく会いたいと思ってしまう感情とホラー要素が融合した物語が魅力。
異なる立場の2人の主人公
百合と、もう1人の雑誌記者が物語の軸になっている。百合の弟を失った空虚な生活と、アプリの存在を突き止める様とする女性記者。両者に共通している事は「過去に大切な人を亡くした」こと。
「亡くなった人」について異なる背景を持つ2人が、アプリを手にした事での物語の結末とは?
もうちょっと詳しい物語のあらすじ
川久保百合の場合
百合は、亡くなった弟と会話する毎に元気になっていった。しかし、刻一刻と近づいて行く「弟の誕生日」。母親からの暴力に深く心が傷ついていた百合は、同僚のマユが「亡くなった祖母」に会った事により、亡くなってしまった事実を耳にする。そして百合の選択と結末は…
女性記者笹本洋子の場合
並々ならぬ決意で「亡くなった人と会話ができるアプリ」を探す洋子はある日、取材対象からの連絡でアプリを入手する事に成功する。洋子は、「事故で亡くなった夫」に電話し事故の原因を問うのだが、それは自身がおかした過去の過ちを思い出させるのだった…
ネタバレ含んだ感想評価
物語のテーマ「亡くなった人と会話できるアプリ」を取り扱った点は面白いと思った。
しかし、百合側の物語は奇麗にまとまっている分、女性記者側の結末への消化不良が目立つ。そのため、観賞後に「?」が頭に沸き、エンディングの余韻にモヤモヤしたモノが残ってしまった。
純粋なホラー映画とは言えず、心霊や呪いといった視聴している側に恐怖を与える作品を求める視聴者層には合わない映画だろう。どちらかと言えば、切ない物語を軸に、少しホラー感を心なしか混ぜた、切ない人間ドラマが主軸の映画だった。
物語の消化不良、内容に合っていないパッケージ画像が少し残念だったため観賞後評価は★(2.5)。