#ストーリーのネタバレ注意
洞窟に住まう者達、地下3000mの恐怖、再び…
鑑賞後評価:★★★★☆(3.2)
題名 | ディセント2 |
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公開 | 2009年 |
監督 | ジョン・ハリス |
時間 | 95分 |
出演 | シャウナ・マクドナルド、ナタリー・メンドーサ、ギャヴァン・オハーリー |
地下3000mの恐怖。あの洞窟から命からがら脱出したサラは、付近を走行していた保安官に保護される。すぐに病院へ運ばれ治療を受けるも、洞窟に入っていた2日間の記憶は欠如してしまっていた。
保安官と保安官助手のリオスは、行方不明になった6人の捜索を行っていた。入山届けのあった洞窟には何も手がかりがない事からサラに事情を聞こうとするも、本人は記憶の混濁により要領を得る事は出来なかった。
一方、警察犬を使った捜索において、ある採掘場跡を発見する。保安官は、警察犬に採掘場の中を捜索させるが、中に入った警察犬は何かに怯え威嚇するかの様に飛び出し、その場を走り去ってしまうのだった。
捜索隊と保安官は、記憶を失ったサラを連れて警察犬が見つけた採掘場跡地を捜索する事に決める。そう、地下3000mの恐怖、洞窟に住まう者達が闊歩する暗黒世界へ再度、サラは足を踏み入れる事になるのだった…。
⚠【ネタバレ】を含む内容と解説があります。未視聴の方は注意して下さい。
登場人物の紹介
サラ
前作の主人公。1年前に夫と娘を交通事故で失い、その事を元気つけようとした友人からの冒険旅行の誘いに乗る。友人の1人ジュノのちょっとした嘘で人類未踏の洞窟内に足を踏み入れてしまい、そこに住まう者達に襲われてしまう。何とか洞窟から脱出したものの、激しい精神へのストレスからか、その間の記憶を失ってしまう。
リオス
保安官助手。1人娘を母に預けて、今回の捜索に加わる。周囲の人間がサラへの気遣い皆無な中、何かと気を掛けてくれる優しい女性。
ヴェインズ
初老の男性の保安官。洞窟内部への捜索を決め、捜索隊のダンに協力を求める。捜索のため銃は必要ないと言われるも、それを無視し銃を所持したまま捜索隊に加わる。
ダン
捜索隊リーダー。ジュノが出した入山届けを元に、行方不明になった6人を捜索していた。保安官からの協力要請を受け、仲間のキャスとグレッグを連れてくる。
キャス
捜索隊の一員で女性の隊員。
グレッグ
捜索隊の一員で男性の隊員。
物語のあらすじ(ネタバレあり)
採掘場で発見された巨大な洞窟
採掘場跡でサラを含めた救助隊一同は、施設の中で地の底が見えない大穴を見つける。救助隊のダンは、その穴にルミライトを落とし深さを調べようとするのだが、光は底に辿り着く事なく、漆黒の闇の中に消えて行くのだった。
そんな様子を見ていた採掘場の所有者は、みんなに昔話を聞かせる。その内容は、「昔、この採掘場で働いていた自分の祖父が、巨大な洞窟を発見した。会社は新たな鉱山の発見だと喜び、調査のために祖父達を中に向かわせたのだが、誰1人として戻ってこなかった」というもの。その話は働いていた者達に伝わり「地獄に吸い込まれた」と噂する様になったと言うものだった…
地獄に吸い込まれる捜索隊達
保安官助手のリオスは、サラを連れて捜索隊一同に加わる。準備を終えた一同は、採掘場に設置された古いエレベーターを使い地下深くへ降りて行く。奇しくも前作のサラ達同様の6人で…
老朽化した施設、軋む物音、異様な雰囲気に不安を覚える者のいたが、捜索隊グレッグを先頭に地中深くへと進んで行く。すると「危険!立ち入り禁止」の看板で封印されたトンネルを発見する。探索隊達は、その中に目星を付け入って行き捜索を開始する。
失った記憶のフラッシュバック
ダンは音波探知機、赤外線カメラを使い行方不明者の手がかりを探し出そうとする。保安官は記憶を失ったサラに、この場所を見覚えが無いか問いかける。サラは手持ちのライトで周囲を照らし記憶を探るのだが、ふと見かけた壁に「洞窟に住まう者」を見かけた気がした。その姿に、激しい動揺と共に、失った2日間の記憶がフラッシュバックする感覚に捉われる。
だが、完全に記憶が戻ったわけではないサラは、他のメンバーと共にさらに洞窟の奥深くへ向かう事にしてしまう。
疑いの心
捜索隊一同は、深く入った先の空間で1人の女性を発見する。その女性は、行方不明の5人の中の1人のものだった。その亡くなっている姿に一同は激しく動揺し、嘔吐する者まで出る程であった。
保安官ヴェインズは、1人で発見されたサラが友人達を襲ったのではと疑い出す。その言葉をキッカケに、捜索隊のメンバーはサラへの疑いの心が芽生える。サラを疑う者、擁護する者とで言い争いに発展しかけるが、ダンが何とか場を納める。
サラは、自分達はここで何者かに襲われた記憶をリオスに伝える。信じない者も居たが、リオスは優しくサラに思い出した事を言う様に促すのだった。それでも、錯乱したサラへの疑心からか、サラが忠告した「ここに居てはいけない」との言葉を聞く者は居なかった。
記憶の復活と崩落…そして邂逅
一同は、他の行方不明者の安否を確認するため、人1人通れるかの細いトンネルを這い進む。サラは這いずって進むトンネルの感覚から、前作で体験したトンネルに挟まった事を思い出す。それにつられて「住まう者達」との邂逅の体験を完全に思いだすのだった。記憶を思い出したサラは、捜索隊のメンバーを殴り飛ばして洞窟の奥深くへ走って行くのだった…
そんな逃げ出したサラを追っていたヴェインズは、何かの喉を鳴らす音を聞くと同時にヘッドライトを消し、銃を片手に赤外線カメラを周囲に向ける。そのヴェインズの前に、とうとう「住まう者」が姿を現す。その者に襲われ吹き飛ばされたヴェインズは、壁に激突すると同時に銃を発砲してしまう。その時の衝撃で、洞窟が崩落する事となってしまう。
事実を知る
崩落に巻き込まれ岩に閉じ込められたキャスを助けるため、ダンとリオス、グレッグは救出ポイントを探す事にした。そして到着した場所は、辺り一面に骨が散乱する場所。そう前作で行方不明になった6人が、初めて「住まう者」と邂逅した場所だった。
ダンは、そこに落ちていた1つのビデオカメラを発見する。それはサラの友人ホリーが持っていた物だった。何かの情報を得ようと再生してみる。そんな彼らを岩陰に隠れていたサラは静かに聞き耳を立てていた。
ビデオの内容は、この洞窟に入る前、仲睦まじい6人を撮影した映像だった。魅入るダンとリオス、グレッグだったが、映像はとうとう「住まう者」と邂逅した場面を映し出した。その瞬間、異様な人間に驚く3人の目の前に、ビデオに映っていた「住まう者」が佇んでいたのだった…。
探索隊3名の最後
ダン
「住まう者」と邂逅してしまったダンとリオス、グレッグはパニックになり別々の方向に走り出してしまう。ダンは、リオスと合流するため大声で叫んでしまい、その声に反応した「住まう者」に奇襲を受けてしまう。
前作のホリーと同様、その後の彼は洞窟の奥に引きずられて行ってしまう。
グレッグ
ダンの悲鳴を聞いて逃げ出した彼は、自力で脱出してきたキャスと合流する事に成功する。逃げる過程で、前作の登場人物達が使ったクレパスを渡るロープで向かいに渡ろうとするも、背後から現れた「住まう者」の襲撃を受けてしまう。
何とか倒す事ができたが、自身の負った傷は深く助かる見込みはない。
彼はキャスに飛びついていた「住まう者」に飛びかかり、自身と共にクレパスの谷間深くに落ちて行ったのだった。
キャス
グレッグがその身を犠牲にしてまで助けたキャス。彼女はグレッグが落ちて行った谷間を覗き嘆き悲しむも、嘆き悲しむ時間も与えられる事は無かった。
背後からは喉を鳴らす様な音が聞こえ意を決して振り向くも、目の前に居たその存在に襲われてしまい、辺り一面を赤く染める最後をとげる。
サラとリオス
ダンが連れて行かれる瞬間に、音無く忍び寄りダンの装備を回収していたサラは、その過程で助けた保安官助手のリオスと行動を共にしていた。だが、この洞窟は一筋縄では行かず、行き止まりに出てしまう。
迷い無く進んでいたサラに着いて行った挙げ句、行き止まりに来てしまった事で、自分は助からないのでと感じたリオスは、手持ちの携帯電話に娘へのメッセージを残す。そんな彼女にサラは「あきらめるな。生きて自分で伝えるの」と励まし、少しの休憩の後、脱出への道を探すのだった。
赤い服のサバイバー
一方その頃、保安官ヴェインズは独り洞窟を彷徨っていた。そんな彼だが、闇の中から姿を現した「住まう者」の襲撃を受けてしまう。手持ちの銃は崩落時に無くしており、素手で殴りつけるも相手の方が身体能力は上、地面に倒され絶対絶命のピンチに落ち入ってしまう。
しかし、そんな彼を助けたのは、前作ラストにおいて足をピッケルで刺され囮に使われたジュノだった。彼女は傷を負いながらも、この地獄の住処で単身生き残っていたのだ。
再会
サラとリオス、ジュノとヴェインズ、両方のグループは「住まう者」の襲撃を退け「生」を掴んでいた。そんな両者だったが、ある場所で再会を果たす。
前作の因縁により、サラとジュノは会うなり殴り合いの喧嘩になるが、リオスの説得により理性を取り戻した両者は協力し合い脱出する事にした。
ジュノは、奴らが地上に出て狩りをするルートを辿れば出れる事を提案する。ヴェインズはその事に賛成を示すも、前作におけるジュノへの不審もあり、素直に賛成出来ずにいた。サラはジュノと別れて、自身の力で脱出しようとするが、ジュノの提案に賛成しているヴェインズが、自分の腕とサラの腕を手錠で繋げるのだった…
脱出への道
サラとジュノ達4人は、奴らが狩りに使うルートを進んでいたが、途中でヴェインズが崖へ落ちてしまう。手錠で繋がれたサラも一緒に落ちそうになるのだが、ジュノの指示によりリオスがヴェインズの腕を切り離す事で助かる。
女性3人になった彼女達は、無言の意思疎通を経て、とうとう明かりの指す奴らの食事場に到着する。だが、彼女達の目の前に現れたのは、今まで見た奴らとは体格が二周りはでかい、群れの「ボス」的な存在だった。
そのボスが捕らえて来た鹿を食す彼ら。サラ達は細心の注意を払いつつ出口へと向かうのだが、実は生きていてこの場に連れてこられていたグレッグに腕を掴まれ、その事がキッカケで奴らに気づかれてしまう。
激闘を繰り広げる3人の女性と洞窟に住まう者。ジュノはボスクラスを相手取り、サラとリオスは他の者を相手取る。サラとリオスが敵を片付けた時、ジュノはボスクラスにやられる寸前だった。
前作とは違いジュノを見捨てる事なく助けに入ったサラだったが、その奮闘空しくジュノは傷を負ってしまう。
亡くなる寸前、ジュノは今ままでの事をサラに謝罪しサラはそれを受け入れる。そんな2人を見ていたリオスだったが、早くこの地を脱出したいがため、地上への穴へ振り向くが、そこには「住まう者達」が自分達へ迫ってくる光景だった。
絶望するリオス。周囲を一見したサラは、そこで大声を張り上げて奴らの注意を自分に向ける。その隙にリオスは地上でと脱出する事に成功するのだったが…。
クリックで表示:【ネタバレあり】物語の結末
地上へと生還を果たしたリオスだったが、携帯電話で救助を求めようとした矢先、採掘場の所有者にスコップで殴られ気絶させられてしまう。この老人は、気を失ったリオスを引きずり穴の入り口に置きその場を去る。
そんなリオスを引きずり込もうと、奴が姿を現し物語の幕は閉じるのだった…。
終わりに
保安官の行動に少しイライラする場面があるが、行動自体に不自然な所は見受けられないので、納得しながら視聴する事ができた。前作からそのままの続編として制作されているので、1から続けて見ると面白いと思う。
前作のストーリーから、100年前に洞窟内に足を踏み入れた冒険家が生き残り、洞窟内の環境に適応した子孫達が「洞窟に住まう者達」の正体だと思っていたが、今作を見る限り、全く関係ないらしい…。
ラストはサラの自己犠牲により、子を持つ母親である保安官助手を逃がす奇麗な終わり方だと思ったが、ラストのシーンはどんでん返しを狙いすぎかなと感じる物がある。
それでも続編である「3」が出たら見てしまうだろうと思わせる面白さが、このシリーズにはある事は間違いない。