
ネットで流行した怪異「八尺様」。現在では日本各地で目撃情報が報告されるようになった。その裏には、封印されていたはずの怪異が解き放たれたと噂される、ある出来事が存在する――。
魅入った者を連れ去ってしまう長身の女妖怪「八尺様」。田舎の実家へ戻ったある男性の身に起こった恐怖の体験談、それがネットに書き込まれると瞬く間に広まった都市伝説・怪異である。
今回はそんな怖い都市伝説となった「八尺様」を超解説。物語の概要から全国での目撃情報、創作であれば元ネタとなったであろう妖怪たち、八尺様にインスパイアされ誕生したゲームに登場するクリーチャーなど、彼女にまつわる事象をまるっと一気に振り返る。
- 八尺様とは
- 八尺様のあらすじ
- 【実在する?】日本各地での八尺様の目撃情報まとめ
- 2013年以降、八尺様が各地で目撃されるようになった理由
- 日本全国で伝承される八尺様に似た怪異たち
- 八尺様の正体を考察|創作なのか、それとも現代の妖怪なのか
- ネット時代を代表する妖怪となった八尺様
- 八尺様の影響
- 有名ゲームの敵キャラクター
- 八尺様は実在するのか
八尺様とは

八尺様とは、2008年8月に匿名掲示板「2ちゃんねる」のオカルト板へ投稿されたネット怪談に登場する怪異である。
身長が八尺(約240cm)はある超長身の女性で、背丈以外にも次のような特徴を持つ。
主な特徴
外見:白いワンピース姿に、顔を隠すほどの大きな帽子を被っている(そのため顔の判別はつきにくい)。長い黒髪。
声・行動:「ぽぽぽ、ぽっぽ、ぽ…」という不気味な独特の男声のような声を発する。魅入った子供の知人の声を真似して誘い出してくる。
ターゲット:自身が魅入った子供を連れ去る。
道に設置されたお地蔵様によって、とある地域へ封じ込められている。そのため、八尺様が特定地域外に出現することはないとされる。しかし、何かの拍子にお地蔵様が壊され封印が解ければ、彼女は日本中に解き放たれる可能性も指摘されていた。
2013年以降、日本全国で彼女に似た存在の目撃談がネット上で語られるようになる。
実は、2012年、この封印が解かれたのではないかと噂される、ある体験談がネット上に投稿された。
八尺様のあらすじ

怪談都市伝説となった八尺様のエピソードは2008年8月26日に書き込まれた匿名の投稿主のこのような書き出しから始まった。
908 名前:1/9 投稿日:2008/08/26(火) 09:45:56 ID:VFtYjtRn0
親父の実家は自宅から車で二時間弱くらいのところにある。
農家なんだけど、何かそういった雰囲気が好きで、高校になってバイクに乗るようになると、夏休みとか冬休みなんかにはよく一人で遊びに行ってた。
じいちゃんとばあちゃんも「よく来てくれた」と喜んで迎えてくれたしね。
でも、最後に行ったのが高校三年にあがる直前だから、もう十年以上も行っていないことになる。
決して「行かなかった」んじゃなくて「行けなかった」んだけど、その訳はこんなことだ。
春休みに入ったばかりのこと、いい天気に誘われてじいちゃんの家にバイクで行った。
まだ寒かったけど、広縁はぽかぽかと気持ちよく、そこでしばらく寛いでいた。そうしたら、
「ぽぽ、ぽぽっぽ、ぽ、ぽっ…」
と変な音が聞こえてきた。
投稿者がこのことを祖父母に伝えたところ、2人の態度は急変。窓という窓を新聞紙で目張りがされ、その上にはお札、さらに四隅には盛り塩がされた一室にいるように促されてしまう。
どうやら昼間見た者は「八尺様」と呼ばれ魅入った子供を連れ去ってしまう妖怪で、朝までこの部屋で耐えれば難を逃れることができる、とのことだったが。
912: 5/9:2008/08/26(火) 09:50:22 ID:VFtYjtRn0
テレビは見てもいいと言われていたので点けたが、見ていても上の空で気も紛れない。
部屋に閉じ込められるときに、ばあちゃんがくれたおにぎりやお菓子も食べる気が全くおこらず、
放置したまま、布団に包まってひたすらガクブルしていた。
そんなとき、じいちゃんの声が聞こえた。
「おーい、大丈夫か。怖けりゃ無理せんでいいぞ」
思わずドアに近づいたが、じいちゃんの言葉をすぐに思い出した。
また声がする。
ふと隅の盛り塩を見ると、それは上のほうが黒く変色していた。
引用元:【洒落怖】洒落にならない怖い話『八尺様』
投稿主は盛り塩の異変や「ぽぽぽ」という声、窓を叩く音に恐怖を覚えるも、このとき聞こえてきた祖父の声に反応せずに朝まで耐えきることができたそうだ。
翌日、よく耐え抜いたと涙を流し喜ぶ祖父が用意していたワンボックスカーに乗り田舎を後にすることになった。
914: 7/9:2008/08/26(火) 09:52:24 ID:VFtYjtRn0
「ぽっぽぽ、ぽ、ぽっ、ぽぽぽ…」
またあの声が聞こえてきた。
Kさんからもらったお札を握り締め、言われたとおりに目を閉じ下を向いていたが、
なぜか薄目をあけて、外を少しだけ見てしまった。
目に入ったのは白っぽいワンピース。それが車に合わせ移動していた。
引用元:【洒落怖】洒落にならない怖い話『八尺様』
この後、投稿者は何とか田舎を出ることができ、窮地を脱したとのこと。一度魅入られた者は、この地に二度と足を踏み入れては危険らしく、祖母が亡くなった時すらも葬式に参加できなかったらしい。
914: 7/9:2008/08/26(火) 09:52:24 ID:VFtYjtRn0
今となっては、迷信だろうと自分に言い聞かせつつも、かなり心配な自分がいる。
「ぽぽぽ…」という、あの声が聞こえてきたらと思うと…
引用元:【洒落怖】洒落にならない怖い話『八尺様』
祖父母からの情報によれば、八尺様はこの地域に置かれたお地蔵様により外部へ出ることが出来ないとのこと。そのため、危険な夜を避けて朝一番に投稿主を地域の外へ送り出すことで八尺様の危険から身を守った…祖母の葬儀にも出席できなかったのは、このためである。
なのだが…。
【実在する?】日本各地での八尺様の目撃情報まとめ

お地蔵様の効果により一定地域から出ることができないはずの八尺様だが、2013年頃からネット上では彼女と思われる目撃情報が度々報告されるようになっていった。
茨城県での目撃情報(2013年)
2013年頃、茨城県である噂が囁かれるようになる。それは肌が透き通るように白く異様に長身な女性で聞き取れない言葉をブツブツと呟いている人がいる…という噂。
八尺様が最近茨城だかどこかに出てるって・・・・
1 :本当にあった怖い名無し:2013/09/18(水) 23:09:07.50 ID:9/eVBpLN0
ヤバくね?
7 :本当にあった怖い名無し:2013/09/19(木) 00:13:48.16 ID:oapRq4Av0
前は愛知の犬山にいたんでしょ?
8 :本当にあった怖い名無し:2013/09/19(木) 00:16:29.08 ID:axOc/B8B0
>>7
マジで!?愛知だけど知らんかったわ
9 :本当にあった怖い名無し:2013/09/19(木) 00:32:37.07 ID:oapRq4Av0
>>8
俺も地元愛知で今東京だけど確か1.2年前にそんな噂出てたよ。
彼らの書き込みによれば、以前は愛知で目撃され、その後茨城へ移動したようだ。
北海道での目撃情報
日本最北の地・北海道の住宅街でも目撃された情報が。
目撃者は住宅街にある駐車場の塀から頭だけ見える女性を目撃したとのこと。その塀は2mほどの高さがあり、さらには「ほほほほ」や「ぼぼぼぼ」と呟きながら笑顔だったという。
この報告がネットにもたらされると、八尺様ではないかと騒がれる事態となった。
芸人ゆりあんの目撃情報(2013年)
芸人ゆりあんも以前に受けたインタビューで怖い体験を話しており、そのエピソードの中には「八尺様」と思われる大女に出会ったことを語っている。
このエピソードを体験した時期も、なぜか2013年であった。
先輩から「お花見行こう」って誘ってもらったんです。男の先輩3人と、私の計4人で、夜中の1時くらいに自転車で集合して。難波のとある公園に向かっている時、近くにスーパーがあったんですけど、「お花見しながらお菓子でも食べよう」と思いまして。
私、自転車漕ぐのが遅いので、先輩2人が先に走ってて、私ともう1人の先輩が一緒に走ってくれてたんです。で、スーパー行く際に公園を横切ったら、滑り台があるんですけど、その裏に1人だけ女の人が立ってて。
バリクソ、デカイ女の人やったっていう。
なんでそれが女の人って分かったかって言うと、滑り台からはみ出てる部分が、肩から上が見えたのと、足元は白いスカートっぽいのが見えたので。髪の毛は黒のロングだったんですけど。そしたら、なぜかずっとピョンピョンと跳んでたんです。あと、何を喋ってるのか、歌ってるか分からないんですけど、なんか聞こえてきてたんです。
白いワンピース、長い黒髪、デカい女、何を喋っているのか不明だが声を発していた、この記事でもその特徴から八尺様ではないかということを前提にインタビューされている。
彼女が遭遇した時期も不思議と2013年だった。
東京八王子での目撃情報(2022年)
2022年5月24日、Yahoo知恵袋にて息子が目撃した存在についての質問が投稿された。
内容は息子が大きい女を目撃したというもの。質問者も当初は八尺様とは知らず、ネットで調べて初めてその存在を認知したそうで。
先日、私の息子が八尺様らしき女の人を見たらしいのですが大丈夫でしょうか? その時は私も息子も八尺様という存在は知らなかったのです。
先日、息子が 「パパ、今日めちゃくちゃ背が高い女の人見たよ!」 って言うので、「どれくらいデカかったの?」と聞いたら「とにかくめちゃくちゃデカくて気持ち悪いんだよ、側を通ったらポポポポとか言っててさ!」
私は息子が冗談を言っているようにもみえず、気になって、背の高い女 ポポポポ と調べたら、まさに八尺様ってドンピシャで出てきてビックリしたのと同時に心配になりました。
ちなみに場所は八王子です。
どなたか同じような経験をした方はいますか?
引用元:Yahoo!知恵袋
いずれもネット上へ投稿された体験談であり、その真偽は確認されていない。
2013年以降、八尺様が各地で目撃されるようになった理由

各地で八尺様と思われる存在が目撃され始める前年、2012年7月、2ちゃんねる「オカルト板」にあるエピソードが書き込まれる。
それは男性3人がドライブしていた所、車道に飛び出してきた狸に驚いてハンドルをきった際にお地蔵様を壊してしまったというものだ。
男性達は脱輪してしまった車を移動させるため手配したレッカー車を待っているところ、異様に長身な女性が走ってきて、すれ違いざまに笑顔で「ありがとう」と言われたらしい。
このエピソードが書き込まれて以降、各地で八尺様ではないかとされる人物の目撃情報が出始めたことから、ネットではお地蔵様により封印されていた彼女が解き放たれてしまったのではないかと話題となった。
もちろん現実には、2012年に投稿された「地蔵を壊してしまった」という体験談と、その翌年以降に増えた目撃談との因果関係を証明することはできない。
しかしネット怪談の世界では、この出来事を「八尺様の封印が解かれた瞬間」として受け止める読者も多く、現在でも様々な考察が語られている。
実際、それ以前は特定地域だけの怪異だった八尺様が、日本各地で目撃されるようになったという流れは、怪談として非常によくできた後日談となっている。
日本全国で伝承される八尺様に似た怪異たち

長身の女性妖怪として、古来より日本で伝わる妖怪達の中に八尺様と非常に似た姿を持つものは多い。
ここでは、非常に長身な者、山中で現れる者、建物の2階を覗く者、八尺様とほぼ同じ七尺二寸の身長を持つ者、八尺様と似た容姿や特徴を持つ怪異を5つご紹介。
七尋女房
島根県東部、鳥取県中西部に伝わる妖怪。名前につく尋は妖怪の大きさを示しており一尋は六尺となりメートル換算で1.8m、その7倍の七尋で12.6mもあるとされる。
この妖怪だが基本的に人の命を奪う妖怪ではなく、山道を往く人間に石を投げつけたり笑いかけたりするに留まる。
また石を投げつけられて激昂した侍に斬りつけられたりと、逆に手痛い反撃を受けていたりする。その際に斬りつけられそのまま消えた七尋女房の場所には、斬られた所に傷のある石仏があったという。
八尺様との共通点は「大きい」ことのみ。どちらかと言えば、巨人妖怪のダイダラボッチに近い。
山女(山姫)
別名山姫ともいう名の通り山中に現れる女の妖怪。全国各地で似た伝承が残されている。
七尋女房とは違い、こちらの妖怪は血を吸う、毒気を巻くなど人の命を奪う凶悪な能力を使用する。服装は草の葉の蓑を纏っていたり、樹皮を編んだ服、また十二単を着た姿など多種多様。
熊本県では身長が一丈、メートル換算で約3mと高身長であった言い伝えが残っている。
身長や人を襲うという特徴が八尺様と似ている。
高女
嫉妬深い女性が男に相手にされないあまり、男の遊び場である場所の2階を覗いて歩く妖怪。
七尋女房や山女の様に石を投げたり血を吸うことはせず嫉妬深く覗き見るのみと言われるも、1776年刊行の画図百鬼夜行(妖怪画集)に解説文がないため詳細は不明。
大女房
一般的には「背の高い女性」を意味する。ここでいう大女房は身長七尺二寸あった、江州出身の女性で見世物小屋で働いていたという。
怪異・妖怪伝承データベースでのみの記述しかなく、詳細については一切不明。
身長が7尺2寸と高さのみで測れば、八尺様に一番近い風貌をしている。
山姥
奥山に棲む老女の怪。日本全国で似たような伝承があり「山女郎」「山母」などとも呼ばれる、見た目については老女の場合もあれば、黒髪の眉目秀麗な20歳ほどの女性の場合もある。
近世の文献である『老媼茶話』では身の丈7、8尺の山姥の話が紹介され、好んで子どもを盗む習性、人間を山へ連れ去ることがあるとも記されている。
黒髪の眉目秀麗の女性、身長八尺、子どもを狙う習性、どれも八尺様に非常に近い習性を持つ妖怪である。
八尺様の正体を考察|創作なのか、それとも現代の妖怪なのか

2008年に2ちゃんねるへ投稿されて以降、多くの人々を恐怖させてきた八尺様。
現在では「ネット怪談の代表作」として知られているが、その正体については現在も様々な説が語られている。
ここでは代表的な3つの説を紹介し、それぞれの可能性を考察してみたい。
① 現代版山姥・山の巫女だった説
八尺様の正体として有力視される説の一つが、日本各地に伝わる「山姥(やまうば)」の一種ではないかというものだ。
前述した『老媼茶話』には、身の丈七~八尺ほどもある山姥の伝承が記されている。山姥は地方によって姿が異なり、白髪の老婆として語られる地域もあれば、長い黒髪を持つ美しい女性として伝承される地域も存在する。
また、その原型についても諸説あり、山中で暮らす人々が妖怪として語られるようになったとも、山の神に仕えた巫女が神秘化・妖怪化した存在とも考えられている。
八尺様も長い黒髪の女性として描かれ、山間部に現れて人を連れ去るという特徴を持つことから、こうした山姥伝承の系譜に属する怪異である可能性は十分考えられる。
さらに興味深いのは、その名称である。作中では、投稿者が遭遇した怪異について祖父母に話すと、「それは八尺様だ」と名前を告げられる。
「八尺」とは、身長八尺ほどという外見上の特徴を示していると考えられるが、「様」という敬称が付けられている点は見逃せない。
もちろん単なる呼称である可能性もあるが、日本では古くから神や精霊、巫女など畏怖の対象に対して「様」を付けて呼ぶ文化がある。そのため、地域住民が「八尺様」と呼んでいたのであれば、単なる化け物ではなく、畏敬すべき存在として恐れられていたことを示唆しているとも解釈できる。
こうした点を踏まえると、八尺様は山姥伝承を現代風にアレンジした存在、あるいは山の神に仕えた巫女が妖怪化したという古い伝承を受け継ぐ怪異なのかもしれない。
② 創作怪談(フィクション)説
現在、最も有力と考えられているのが、八尺様は2008年に投稿者によって創作されたネット怪談であるという説だ。
その根拠として、主に以下の3点が挙げられる。
・2008年以前の文献や民話資料に「八尺様」という妖怪の記録が確認されていない。
・伏線や演出、ストーリー展開など怪談としての完成度が非常に高い。
・昔話や地域の民間伝承として語り継がれていた痕跡が見つかっていない。
特に物語には、「昼間に姿を現し、夜に襲う」「知人の声を真似て油断させる」「お地蔵様によって封印されている」「家から出てはいけない」といった、古典的な怪談や妖怪譚の要素が巧みに盛り込まれている。それらを一つの物語として違和感なくまとめ上げている点は、創作怪談として非常に完成度が高いといえるだろう。
また、八尺様が投稿された2008年前後は、「くねくね」「姦姦蛇螺」「邪視」など、田舎や山間部を舞台にしたネット怪談が数多く誕生した時期でもあった。八尺様も、そうしたブームの中で昔から伝わる山姥や鬼の伝承、各地の妖怪譚の要素を取り入れながら創作された怪異だった可能性は十分考えられる。
その後、全国各地で八尺様の目撃談が語られるようになったが、それらの多くは八尺様という都市伝説が広まった後の証言である。そのため、創作に便乗した投稿である可能性に加え、夜間に見かけた背の高い人物や不審者を八尺様と結び付けてしまう「認知バイアス」が働いた結果とも考えられる。
🔍️ 認知バイアス
先入観や思い込みによって、物事を実際とは異なる形で認識・判断してしまう心理現象。都市伝説や怪談では、一度知った怪異の特徴を現実の出来事に当てはめてしまう現象もその一例とされる。
ネット怪談が有名になると、その特徴に似た人物や出来事を現実と結び付けて解釈する人が増える傾向がある。八尺様も、その典型例だった可能性がある。
③ お地蔵様によって封印された土地神・祟り神だった説
作中でもっとも不可解なのが、八尺様がお地蔵様によって封印されていたという設定である。
祖父の話によれば、八尺様はかつて地域の人々によって封じられ、長年その土地へ近づけないようになっていた。しかし何らかの理由で封印が弱まり、再び人前へ姿を現すようになったという。
日本各地には、お地蔵様や石仏が妖怪や悪霊を鎮める「結界」の役割を果たすという伝承が数多く残されている。また、村の境界や峠、辻などには悪霊の侵入を防ぐためにお地蔵様が建立されることも珍しくない。
こうした民間信仰を踏まえると、八尺様も単なる妖怪ではなく、古くからその土地に根付いていた土地神や祟り神のような存在だった可能性も考えられる。
土地神は地域を守護する神として祀られる一方で、人々から畏れられ、怒りに触れると災いをもたらす荒神として伝えられる例も少なくない。そのため、何らかの理由で信仰を失った神や鎮めきれなくなった存在が、封印という形で人里から隔離されたとしても不思議ではない。
また、作中で祖父母をはじめ地域の住民たちが八尺様の存在を当然のように知っていたことや、神主が儀式を執り行い、複数の人間が組織的に封印へ協力していたことも、単なる怪談というより古くから地域全体で受け継がれてきた禁忌のような印象を与えている。
もっとも、このような設定も創作怪談として物語を盛り上げるために取り入れられた可能性は高い。しかし、日本には実際に「祟り神を祀ることで災厄を鎮める」という御霊信仰や、「封印された怪異」の伝承が数多く存在することを考えると、八尺様の設定もそうした民俗信仰を巧みに取り入れて作られたものと考えることができる。
もしそうだとすれば、八尺様は単なる「背の高い女性の怪物」ではない。人々が古くから畏れ、封じ続けてきた土地そのものに宿る存在――現代まで語り継がれる祟り神として描かれた怪異なのかもしれない。
ネット時代を代表する妖怪となった八尺様
八尺様は2008年にネット怪談として広く知られるようになった怪異であり、インターネット発祥の都市伝説としては極めて珍しい存在である。
約20年が経った現在でも語り継がれている理由は、その恐怖演出の完成度だけではない。日本古来の山姥や祟り神の伝承、民間信仰、そして現代のネット文化が巧みに融合し、読者自身が「正体」を考察できる余白を残していることも大きな魅力だろう。
創作怪談だったのか、それとも古い伝承をもとに生まれた現代の妖怪だったのか。その答えは今も明らかになっていない。しかし、インターネットという新たな伝承媒体から生まれ、多くの人々に語り継がれる存在となった八尺様は、現代を代表する都市伝説・ネット怪談の一つとして、これからも恐怖とともに語り継がれていくのかもしれない。
八尺様の影響
八尺様の怪談話は、その完成されたストーリー、考察しがいのある設定が人気を呼び、様々な媒体に影響を与える結果となった。
特にクリエイターの間でブームとなり、SNSなどでは八尺様を扱ったイラストや漫画、果てはゲーム作品にまでその影響を広げ、いわゆる怪談・都市伝説の代表の一つとして根付いていった。
ここではそんな八尺様が与えた影響の一部を見ていこう。
有名ゲームの敵キャラクター

白いワンピースと大きな帽子を被り、その巨大な体が特徴のバイオハザード8に登場する敵キャラクター「オルチーナ・ドミトレスク」は、八尺様にインスパイアされデザインされたのではと言われている。
オムニバスの一つを担当!八尺様登場の映画作品
タイトル:封印映像16 八尺様の呪い
掲載元: YouTube
物語のあらすじ
【髪子さん】 20代男性からの投稿映像。友人の家を訪ねるも、不在。しかし鍵が開いていた。ふざけ半分で部屋に入ると、信じがたい友人の姿があった-。 【憑き人】【踏切】 【映り込み】 【八尺様の呪い】
八尺様は海を渡った!八尺様モチーフの海外製ゲーム作品
タイトル:不在の学生

物語のあらすじ
相次ぐ失踪事件を捜査していた刑事が入院してしまいことを引き継いだ吉郎は、最後の失踪者が出た場所「学校」を調査することに。
校内を調査する吉郎は、失踪者が残したであろう手がかりである音声テープを見つけ再生してみると。
「ぽ?240cm位の大きな女性?名前は何だっけ?不気味だな…。」
と大きな女性の存在に不審を覚える失踪者の声が録音されており…。
不在の学生紹介記事は
八尺様は実在するのか
2008年にネットへ投稿されて以来、多くの人々を恐怖させてきた八尺様。
では、本当に八尺様という怪異は実在するのだろうか。
現在確認されている情報では、八尺様という存在を裏付ける古い民間伝承や歴史資料、実際の事件記録などは見つかっていない。
そのため、一般的には2008年に匿名掲示板へ投稿された創作怪談、あるいは複数の妖怪伝承や怪談要素を組み合わせて生み出された現代の都市伝説であると考えられている。
一方で、八尺様が単なる創作として片付けられない魅力を持っているのも事実だ。
長身の女性、山間部に現れる存在、人を異界へ連れ去るという特徴は、古くから日本各地に残る山姥や山の神、異形の女妖怪の伝承と多くの共通点を持っている。
また、お地蔵様による封印や地域全体で怪異を恐れているという設定も、日本の民間信仰に存在する「境界を守る石仏」や「祟りを鎮める」という考え方と重なる部分がある。
つまり八尺様は、実在した怪異が現代に蘇ったものなのか、あるいはネット上で生まれた完全な創作なのか、その真相を証明することはできない。
しかし、インターネットという新しい時代の伝承媒体によって生まれ、古来から続く妖怪文化と融合したことで、八尺様は現代を代表する「新しい妖怪」となった。
もし夜の田舎道で、遠くから
「ぽぽぽ……」
という不気味な声が聞こえてきたとしても。
その正体を確かめるために、決して振り返らない方がいいのかもしれない。
以上が怖い都市伝説「八尺様」超解説でした。その他の怖い都市伝説はコチラ。
