ネットが一般化して行くと共に人伝とは比べものにならないスピードで広がりを見せて行った怖い話や怪談話。
今回は1990年代後半から急速に普及してきたインターネットと共に語られる様になっていった有名な10つの怖い話や怪談を一挙ご紹介。
ネット掲示板(2ch)で流行った怖い話・怪談集
次はお前の番だ!:怖い話「猿夢」
怪談のジャンル:伝染する悪夢系
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2000年ごろネット掲示板に書き込まれた投稿者が夢で体験した奇妙な出来事の名称。
投稿者が「猿夢」というワードを付けたのではなく、書き込みを読んだ者の間で物語に関連するワードから何処からともなく「猿夢」と言われだした。
特定の怪異が登場するのではなく、あくまで夢の中で体験した物語となり、いわゆる聞いたり見たりした人達の間で伝染していく系の怪談話である事が特徴的。
9 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2000/08/02(水) 07:03
私は、夢をみていました。 昔から私は夢をみている時に、たまに自分は今、夢をみているんだと自覚する事がありました。この時もそうです。 何故か私は薄暗い無人駅に一人いました。
この様な書き出しから始まる。
投稿者はある夢に悩まされていた。それは夢の中で無人の駅に1人で立っているというもの。駅ではアナウンスが流れるらしい「まもなく電車が来ます。その電車に乗ると、怖い目にあいますよ」と。
投稿者は不審に思いながらも好奇心に負け、到着した電車の中に乗り込むと、そこには自分以外にも乗車している人達がいた。始めは軽い気持ち、あくまでこれは夢なのだから怖い目にあいそうなら目を覚ませばいいと…電車に乗りしばらくすると車内アナウンスが流れる。
「次は活けづくり〜活けづくり〜」
すると、自分より先に乗っていた乗客の1人に包丁を持った小人が群がり、その人を活けづくりにしてしまうのだった…その出来事は、乗っている人達に次々と襲い出し、ついには自分の番が迫って来るのだが…。
果たして投稿者の結末は…。
その正体を理解した者は…:怖い話「くねくね」
怪談のジャンル:結局のところ正体不明系
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2003年3月頃にネットで書き込まれた怪談。田畑や川向こうなどに見える黒い物、または白い物がくねくね動いている者?を見てしまったという目撃談と見た者の末路を描いた怪談物語。
くねくね自体はかなり遠くでくねくねしている様子から、その者の詳細な容姿は現在でも不明。
この正体だが物語の核となっており、その正体に気がついてしまった者の精神に異常をきたす…と言われている。
投稿者の弟の友達Aから聞いた話。弟の友達Aには兄がいる2人兄弟で、その兄弟はある時に母の実家である田舎町に遊びに行った時に体験した話。
田舎に帰ったある日、兄は窓から見える田畑の向こうでくねくねと動いている物を見かけてしまう。兄は弟と一緒に、そのくねくねした物を見ていたが、遠くに居るため最初はその正体がわからなかった。
やがて兄はその正体がわかったと弟に告げる、当然弟はその正体を教えてと強請るが、兄は「知らない方がいい」と頑に正体を告げる事はしなかった。
投稿者は弟に友達Aに再度その正体について兄に聞いてみれば?と伝えるが、弟は「友達Aの兄は現在、精神がおかしくなり会話の受け答えができなくなったんだって」と投稿者に伝えたのだった…。
視界が広がる田畑の様な空間がなければ一安心?
この世に存在しない異界にある駅:怖い話「きさらぎ駅」
怪談のジャンル:異界駅系
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2004年頃から広まった怪談。ハンドルネーム「はすみ」なる人物によりネット掲示板に投稿された事がきっかけで急速に存在が認知されていった。
はすみが仕事からの帰宅の際に乗った電車で起こった不思議な出来事を、リアルタイムで掲示板に書き込んでいったというもの。いつもは次の駅まで数分で到着していたが、この時は20分以上も線路を走り続けていた。気味悪くなったはすみは、ようやく着いた駅「きさらぎ駅」で下車した際に体験した出来事をネット掲示板でリアルタイム実況し、ネット住民達により盛り上がりを見せた。
他の怪談の様に詳しいストーリーを書き込むのではなく、ネット掲示板にて他の人達とのやりとりを含めたの一連の流れ自体が物語になっているという珍しい怪談。
その人気が絶大でゲームに取り入れられたり、存在しない駅を題材としたホラードラマなどにも影響を与えた。
ネットで検索してはいけない言葉の一つ:怖い話「ことりばこ」
怪談のジャンル:特級呪物系
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2005年6月頃に書き込まれた呪具にまつわる書き込み。怪異や主立った心霊現象は出てこないが、ことりばこの背景における山陰地方の陰湿な過去や箱にまつわる壮絶な謂れ自体が物語の軸となる怪談。
またこの物語を読む事で、体調不良を訴える書き込みもあり「ネットで検索してはいけない言葉」の一つでもある。
なお、ことりばことは「小鳥箱」ではなく、「子取り箱」という漢字が当てられる。そのため特に箱に纏わる謂れも含め、女性や子供は特に読む事を薦められていない。
この話に近い集落の風習等に関わる怪談として別の怪談「裏S区」なども誕生していく契機となった怖い話。
投稿者の友人が家で解体予定の納屋で発見された「パズル状の箱」を友人達の集まりに持って来た事が発端。
その場に居合わせた神社の息子により、この箱が「ことりばこ」という名称の呪具である事が判明する。
そしてその場にいたメンバーの身に異変が起き始め、その出来事から徐々に「ことりばこ」に隠された謂れや過去が判明していくが…。
この「ことりばこ」の作成方法が何とも…。
好奇心は猫をも◯す:怖い話「危険な好奇心」
怪談のジャンル:ヒトコワ系
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こちらも2006年頃に書き込まれ広まった人気の怪談話。この物語は心霊系というよりは、生きた人間の怨念に近い恐怖を主軸としており、諺である「好奇心は猫をも◯す」に掛かったストーリー展開が特徴的。
投稿者が小学生の時に友人たちと秘密基地を作って遊んでいた際に遭遇した人物に対する好奇心がまねいた怖い話。
投稿者が小学生の時、友達2人と裏山に秘密基地を作った事から物語は始まる。
3人は親に内緒で飼い犬を連れ、秘密基地でお泊りをするイベントを決行。
始めは3人共は非日常感にテンションが上がり楽しい思いをしていたが、21時を過ぎる頃にはやる事も無くなり飽きて来て3人は下山する事に決めたのだったが。
下山中に3人はある人物が山の中に入って行くのを目撃する。暗がりに人の姿、始めは恐怖した3人だったが、生きた人間という事もあり恐怖はやがて好奇心に変わっていった。この時点ではまだ引き返せたのだが…小学生の3人は山の中に入っていく人物の後をつける選択を取ってしまう。
好奇心は猫をも◯す…このことわざが世に伝わっている意味を身を持って知る事になるとは、当時の投稿者は知る由もないのであった…。
労いではない:怖い話「おつかれさま」
怪談のジャンル:ダブルネーミング系
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2006年2月頃〜ネットで投稿されたある画像から始まった。投稿者がその画像を見てしまった人達に向けて供養の方法を書き込んでいき、最後に「おつかれさま」の文字を残して消えていった。
物語というか書き込み自体は短いものであったが、投稿者の最後に残した供養をした人達に向けた労いの言葉「おつかれさま」の真の意味を知った人たちの恐怖に触発されて広がった怪談話。
いわゆる不幸の手紙の亜種に近く、見てしまった者に不幸が訪れるがある行動をすれば回避できるというもの。しかし、この「おつかれさま」では、さらに+で恐怖のスパイスが紛れ込んでいる。
11 名前:1 投稿日:2006/02/04(土) 01:18:59 ID:iGZ5enWl0
【画像を見てしまった人へ】 供養させて頂きますので、次の準備をして下さい。 コップ一杯の水を用意して下さい。 用意できたところで呼び出してください
画像を見てしまい不安を覚える人達の中には、それを実行する者も現れた。一通り投稿され終え「以上で供養は終了です。邪念は取り払われました。おつかれさまです」との書き込みと共に終わりかに思われた。
しかし、その投稿を見て怪しいと思った人達によって検証作業が始まる。やがて供養法を書いた文章の言い回しの奇怪さに気がつく人も現れ出す…「おつかれさま」だけ全文ひらがなはおかしくないか?と…そう「おつかれさま」の当て字は「お憑かれ様」であり、供養の方法と信じて行った人を呪うための方法だった事が判明した…。
投稿者の書き込みと同時に儀式を行った者は、最後の最後で…という少しサスペンス要素の入った話が面白いですね。
ひとりで行う遊び:怖い話「ひとりかくれんぼ」
怪談のジャンル:降霊術系
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2006年4月頃ネット提示版で「ひとりかくれんぼ」の方法が投稿される。
それを見たネット民が自身でその方法を実行し提示版で書き込む者が現れる。リアルタイムで実況する者、ひとりかくれんぼをした者の経験談を書き込む者、その書き込みはインターネット利用者の間で怪談話として急速に広がっていった。
深夜3時に特定の道具を用意し、特定の順番で儀式を進めて行く事で、この世ならざる者との邂逅を果たす事ができるらしい。コックリさんやエンジェル様に代表される、ある種の降霊術の一種とも言われている。
6 :◆iwr.CbaKEE :2007/04/21(土) 02:04:17 ID:fdwnRxbAO
そろそろ… 時間がきたぞ!!! 一人隠れんぼでもするか 誰か一緒にしないか?
12 :本当にあった怖い名無し:2007/04/21(土) 03:03:36 ID:zr2DqES7O
いやオレもやる!
用意はできてるんで何がおきりかWktkするよ
33 :参:2007/04/21(土) 03:36:36 ID:zr2DqES7O
まだですか?
部屋に誰かいるつぽい
48 :◆iwr.CbaKEE :2007/04/21(土) 04:00:30 ID:fdwnRxbAO
テレビの音が消えた時点でもうむりぽ…
この物語も人気が高くゲームやホラードラマでも採用された。
長身の女怪異:怖い話「八尺様」
怪談のジャンル:怪異系
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2008年8月頃、田舎に帰った投稿者が見てしまった怪異について書き込まれた体験談。
その怪異の容姿は2mを越える長身の女性で長い黒髪と白いワンピース、麦わら帽子を被っているのが特徴。魅入った人物の命を奪うのだが、その際に魅入った人物の親しい人の声色を真似る事で誘い込もうとする事もできる。
名前の由来は、1尺が30cmで身長が8尺、240cmはある事から八尺様と呼ばれている。
投稿者が高校生の時、1人で祖父母の家に遊びに行った時に体験した話。投稿者が縁側で寛いでいる時に、どこからともなく音が聞こえて来る。
「ぽぽ、ぽぽっぽ、ぽ、ぽ、ぽ…」
ふと目の前の庭の仕切り、2m程はある生垣の上を帽子が動いているのが目には入る。生垣の隙間から見える箇所から、その人物は女性である事が伺える。その大女はそのまま何処かに消えて行ってしまった。同時に先ほどまで聞こえていた奇妙な音の鳴り止み、見慣れた庭の光景に戻っていた。
その晩、祖父母に自分が見た女性の事を伝えると2人の態度が急変。祖父が何処かに電話を掛け家から飛び出る様に出て行ってしまった。あまりの切羽詰まった様な行動に、家に残った祖母に話を聞くと、その大女は「八尺様」と呼ばれる怪異である事を教えてくれる。
その者に魅入られてしまった人物は、八尺様に命を奪われてしまうらしい。
この村から無事に逃げる準備が整うまで、封印と塩で護られた一室で一晩をなんとかやり過ごす事になったのだが…。
八尺様はこの村にあるお地蔵様の結界で村外に出られません。しかし後年、ある書き込みから全国での目撃情報が増えました。
娘の体に憑依した怪異:怖い話「ヤマノケ」
怪談のジャンル:憑依系
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2010年3月頃、宮城と山形の県境の山道に出現したとされる怪異について書き込まれた怪談。
投稿者が邂逅した怪異はヤマノケといい、漢字表記は「山の怪」ではないかとも言われている。
この怪異に49日のあいだ取り憑かれ続けると元に戻れなくなるらしく、主に女性を好んで取り憑くモノと思われる。外見は白い物体で人型をしているが頭はなく、胸の辺りに顔らしき物があるのが特徴。
休日に父親は娘とドライブに出かける。父親はふとしたイタズラ心で、暗い山奥へ入って行く。怖がる娘が面白く、どんどん脇道へ進んで行くが急に車のエンジンが停止してしまう。そこは、携帯の電波も届かない場所で当然電気もない。車が停止した事でヘッドライトの光も消え、あたりは1m先も見えない暗闇が支配する場所となってしまった。父娘は仕方なく、その夜は車中泊をする事にした。
夜中、車内で寝た娘の姿を確認した投稿者(父親)は、自分も寝ようと瞼を閉じる。すると外に吹く風の音に混じり謎の言葉が聞こえて来る
「テン…ソウ…メツ…」「テン…ソウ…メツ…」
最初は何かの聞き間違いと思い、目を閉じていた投稿者だったが、だんだん近づいて来るその言葉に耐えきれず目を開けてしまう。暗闇に慣れた瞳が捉えたその物体は、白いのっぺりした人形の物体だった。
悲鳴を上げそうになるも、娘を起こしてはパニックになると悲鳴を飲み込んだ投稿者は、車の運転席でじっと我慢する事にした。やがてその白い物体は車の横を通りすぎ、「テン…ソウ…メツ…」と聞こえる謎の言葉も聞こえなくなっていた。
居なくなった…そう思い、娘の姿を確認しようとした矢先、その白い物体は娘が寝ている助手席の窓にピタリとくっつき笑っていたのだった。
投稿者は恐怖より、娘の危害への心配が上回り、その物体を怒鳴り威嚇した。その瞬間に、白い物体は外の暗闇と同化する様に消え去った。同時に今まで寝ていた娘の身体が大きく跳ね上がり…。
「はいれたはいれたはいれたはいれたはいれたはいれたはいれたはいれたはいれたはいれたはいれたはいれたはいれたはいれたはいれたはいれたはいれたはいれたはいれたはいれた」
とブツブツ言い始める…。
入ってはいけない古民家:怖い話「禁后-パンドラ-」
怪談のジャンル:特級呪物系
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2011年頃〜(2009年に投稿された怪談が別サイトで再投稿)田舎町に伝わる怖い風習を取り扱った怪談。
投稿者は村の大人から常日頃「その家には近づくな」と注意されていたが、好奇心に負けた何人かの子供が入ってしまい…。という禁足地に入った者の末路を描いている。
田舎町に住んでいる投稿者は、友達数人と一緒に日頃から「近づいてはならない」と言われている古民家を探検する事にした。普段からその古民家の話題を喋る事すらも禁止されており、投稿者とその友達達はいけないからこその好奇心が勝り、ついにその時を迎える事になった。
投稿者と友達、友達の妹をあわせて5人は古民家の中を奥まで入り込んで行く。一見すると、普通の家と代わり映えのない内装だったが、廊下の奥に1台の鏡台と棒の様な物に立てかけてある髪の房を発見する。
鏡台の引き出しを開けると、そこには「禁后」と書かれた半紙を見つけてしまう。すると、一緒に家に入った友人の妹が自分の髪の毛をしゃぶりだす。止めようとしても一心不乱にしゃぶり続ける様子に恐怖を覚えた一同は、投稿者の家まで帰る事にしたのだが…この事がキッカケとなり、昔から伝わって来た田舎町に隠された恐ろしい風習を知る事となってしまう…。
終わりに
現在までも心霊系の掲示板では、その手の話しがやむ事はなく続いている。インターネットで一般人が気軽に配信を行える様になってからは、生放送中に起こった不可解な現象などが取り上げられる様にもなっていった。
今後も様々な媒体を通して活動を開始していく事で、それに纏わる怪談話も増えて行くのだろう。
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