1通の同窓会への招待状。17年ぶりに再会する仲間達は、母校で自分達の罪に出会う…。
タイトル | 切子 | 作者 | 本田慎吾 |
田舎の中学校を卒業した5人のもとに同窓会の招待状が届く。彼らは中学を卒業後バラバラの高校に進学、その後に集まる事もなく17年が経過していた。
母校に集まった面々は、かつて同じ学校に通った同級生「奥村切子」の17回忌も合わて行い、楽しかった当時の思い出に浸りながら一時を過ごしていた。
そんな中、同級生の1人和哉は飲みすぎた影響でトイレへと赴くが、ある教室を通った際に、ここには居るはずのない人間「奥村切子」の幻影を見かけるのだった…。
これをきっかけに、17年前の思い出の中に隠された彼らの罪が暴かれだして…。
漫画「切子」の特徴
切子により次々襲われる同級生達
母校で同窓会を行う元同級生達。携帯の電波も届かず学校から街への通り道も、降りしきる雨による土砂崩れで塞がれてしまう。
ホラーやサスペンスでは鉄板のシチュ「陸の孤島」となった学校で、次々と襲われて行く仲間達のやられ姿がショッキング。
サスペンスホラーだけでなくミステリアスな雰囲気も
奥村切子の怨霊が襲うというホラー要素だけではなく、主人公の切子への記憶と周囲の態度にチクハグな印象が強調されている。
作中後半まで明かされる事のないその違和感の正体も、切子に隠された謎として読者を楽しませてくれる。サスペンスホラーだけではなく、少しのミステリアスな雰囲気も併せ持つ作風が特徴的。
もうちょっと詳しい物語のあらすじ
6人目の登場
和哉がトイレに行った際に、教室で待っていた仲間達の元に6人目の同級生「正雄」が合流する。一同は同窓会の招待状の送り主が正雄だと思い、その事を問いかける。
しかし正雄も招待状を受け取り、この場に来たに過ぎなかった…。
ではこの同窓会を企画した人物はいったい…。
最初の被害者
理緒は社長として成功した和哉に、復縁を迫っていた。彼女は中学時代の事を引き合いに何とか寄りを戻そうとするが、和哉は理緒の内心を見透して拒否の態度を示す。
見事に拒否された理緒は、女子トイレにて悪態をついていたが…便器に中から現れた腕により…。
2人目の被害者
理緒の悲鳴を聞き、女子トイレを訪れる面々は、そこで理緒に事切れた姿を目撃してしまう。異様な出来事に学校から出ようと外で向かうが、土砂崩れにより道は塞がっており、学校に閉じ込められてしまう。
一同は、この異常事態を中学時代に亡くなった切子の関係者の復讐ではないかと疑い出すも。
その瞬間に学校が停電してしまい、一同はパニック状態に。良介と正雄の2人は停電を直すため配電盤へと向かったのだったが…。
終わりに
過去の記憶に隠された真実、同窓会にありがちな誇張された成功談、多用なステレオタイプのキャラクター達により、単純なサスペンスホラーだけではない、ミステリアスさも兼ね備えた漫画になっていて面白かった。
ただし、作風が現代の漫画ではなく少し古い印象を受けるので、それが苦手な人には受け付けないかもしれない。