♯紅の豚の都市伝説や裏設定12選
紳士な豚が登場する名作ジブリ映画「紅の豚」。自身の飛行機を手足の様に操り空を翔る姿に、多くの人が魅了された映画であるが、この作品には観ているだけではわからない裏設定や都市伝説、トリビアが存在している。
今回は、そんな空翔る紅の豚に隠された裏設定や都市伝説を11個ご紹介。これを読めば、明日から「紅の豚」の見方が変わってしまう!?
ジブリ映画「紅の豚」とは?
1992年にスタジオジブリにより製作されたアニメ映画であり、当時における日本アニメ映画の興行収入日本記録を更新した作品でもある。
裏設定や豆知識、トリビアを見て行く前に、一度映画のあらすじを振り返って行こうと思う。物語を完全に覚えている人は、裏話やトリビア・都市伝説の項目までスキップ推奨。
物語のあらすじを振り返る
紅の飛行機を操る豚「ポルコ・ロッソ」は、人間だった頃イタリア空軍のエースパイロットであった。現在はアドリア海の小島を拠点とし、空賊を退治した賞金で稼ぎ生活を送っていた。
そんなある日、空賊が雇った用心棒「カーチス」と出会い、空賊を退治する事を生業としているポルコは、カーチスと空中戦を行う事になる。長年一緒に空を翔ていたポルコの飛行機はエンジン不良を起こし、その隙を突かれポルコはカーチスに撃墜されてしまった。
ポルコは大破した愛機の修理に、ミラノの凄腕修理士のおやじに仕事を依頼するが、おやじの孫である17歳の少女「フィオ」と共同で修理する事を伝えられてしまう。当初、17歳の少女に自身の愛機をいじらせる事に難色を示していたポルコだったが、フィオの熱意に押され愛機の設計を任せてしまう。
飛行機の修理が完了した時、政権に非協力的なポルコに秘密警察の手が伸びて来た。
フィオはポルコと協力し、自身を「人質」としての建前を利用、秘密警察の手を振り切り完成した愛機と共に空を翔け逃げ切る事に成功。ポルコがアドリア海の拠点に戻ると、そこには空賊連合が待ち受けていた。絶対絶命のポルコであったが、フィオの機転によりポルコの愛機の修理費と自身の身を賭ける事でこの危機を回避した。
決戦当日、ポルコとカーチスは互角の戦いを繰り広げる。飛行機に積んだ弾薬も両者共に底をつき、最後は飛行機を降りて殴り合う事態に。かろうじて勝者となったポルコだったが、そこにイタリア空軍の乱入もあり、みんなは蜘蛛の子を散らす様に解散していく。
その後の出来事をフィオが語るかたちで物語の幕は閉じる。
紅の豚の12の裏設定や都市伝説
紅の飛行機を駆る豚「ポルコ・ロッソ」の本当の名前と豚になった理由
紅の豚の主人公「ポルコ・ロッソ」だが、本名は「マルコ・パゴット」という名前である。劇中で親しまれているポルコ・ロッソという名は、あくまで愛称である。本名が登場しない事から、視聴者にはポルコの名前が本名だと勘違いされている。
ちなみに、イタリア語で「ポルコは豚」「ロッソは紅」という意味を持っており、映画のタイトルである「紅の豚」をそのまま指しており、紅の飛行機に乗る豚という愛称である事がよくわかる。
さらには、ポルコロッソには「臆病者」という意味も含まれており、軍に嫌気がさし自身に呪いをかけ豚になりながらも、空賊を退治し懸賞金を国からもらうという矛盾を自嘲したネーミングとして自ら名乗っている。
前作「魔女の宅急便」との関連も?
劇中において、大破したポルコの飛行機を修理する女性達が登場してくる。その中に「ある老婆」が登場するのだが、この老婆が前作「魔女の宅急便」に登場した家政婦の老婆と同一人物ではないか…という都市伝説が存在している。
紅の豚劇中において、この老婆は「魔女を見た事がある」と発言しており、このセリフを発言した老婆の容姿が魔女の宅急便に出て来た家政婦とそっくりなのだ。
魔女の宅急便で魔女の「キキ」と接した家政婦は、その後にフィオの祖父が経営する会社に転職したという事なのだろう…
この都市伝説に関しては、ジブリから真偽について発表されているわけではないため、あくまで都市伝説でしかない。だが、ジブリでは意外と他作品にジブリキャラクターが出演している事も多いため、一概に都市伝説として捨て置く事もできない話しではあるが…。
紅の豚は短編映画の予定だった!?
現在では91分間という長編映画として、名だたるジブリ作品の一つとして数えられる「紅の豚」だが、元々は日本航空の機内上映用の短編映画として製作が予定されていた。上映時間も30分程度で、内容もただ単に飛行機乗り達が楽しく飛び回るだけ、という物だった。
だが、製作段階において宮崎駿監督のインスピレーションがどんどん刺激されていき、そのアイデアを盛り込む事でどんどん収録時間が膨大となっていってしまう。そのため、日本航空の機内上映用としてではなく、れっきとした1本のジブリ長編映画として誕生したのが、本作「紅の豚」であった。
意外にいい人ぞろいの空賊「マンマ・ユート」の意味
ポルコ・ロッソにいいようにやられている空賊団の名前は「マンマ・ユート」という名称である。カーチスとは違う形での宿敵の様な存在だが、その空賊「マンマ・ユート」の意味は「ママ助けて」なのだ。
そう考えれば、マンマ・ユートが「フィオ」を気に入ったのも、フィオの気が強く姐さん肌な所に頼れる母性を感じたから、なのかも知れない。
ジーナは賭けに勝っていた
夜しか来ない「あの人」が、昼に訪れたら「今度こそ愛そう」
ジーナがカーチスに語った「賭け」。劇中において、その賭けにジーナが勝ったかは明言されてはいない。
だが、2つのエンディングシーンに「ジーナが賭けに勝った事」がわかる様になっている。
1つ、エンディングにおいて空からジーナの庭園を写した場面にて、小さいがポルコの乗る「赤い飛行機」が停まっている事。
2つ、同じくエンディングにてジーナの庭園を映した場面で、昼間に居るはずのジーナが居ない事。
この2つからジーナは賭けに勝っており、昼間に「あの人」であるポルコがジーナを迎えに来た事がわかる。さらに後述する「ポルコとジーナが結ばれる事を暗示した機体番号」にて、ポルコとジーナが結ばれる事への伏線が強化されているのだ。
ポルコとジーナが結ばれる事を暗示した機体番号
ポルコが人間の時に所属していたイタリア空軍で乗っていた機体番号に、将来においてポルコとジーナが結ばれる事を示唆する伏線が隠されている。
ポルコの回想シーンにて、飛行機に乗った人間状態のポルコが雲の上に出て、亡くなった盟友達と別れる場面が流れる。この時に、ポルコの乗る機体番号が「4」になっている。
さらに、ジーナの最初の結婚相手であり、ポルコの親友でもある人物の乗る機体番号が「1」である事も、この時のシーンで確認が取れる。
ジーナは劇中時点で3回結婚しており、その全ての人が飛行機乗りでなおかつ戦争により亡くなってしまっている。
そして、劇中シーンにおいてジーナはある賭けをしている。それは、夜しか来ない「その人」が昼に訪れて来たら「今度こそ愛そう」という賭け。ジーナの態度や、夜しか来ない「その人」は物語から「ポルコ」である事は察せられる。
この事から、ジーナの4回目の結ばれる相手は、4の機体番号に乗っていた「ポルコ」である…という伏線が、このシーンには隠されていたのだ。
36回やり直したセリフ
ジーナ役の声優「加藤登紀子」さんだが、Twitterで紅の豚収録時に「36回」もやり直したセリフがあったと明かした。
それは、ジーナとポルコの会話でポルコが言った名言「飛ばねぇ豚は、ただの豚だ」の後にジーナが言った「馬鹿っ!」の2文字のセリフだそうだ。
言われてみれば、確かにジーナの「馬鹿っ!」と言った光景を、無意識ながら記憶の中に植え付けれていた事を「今」自覚した人も多いのではないだろうか?
ポルコ・ロッソの最大のライバル「カーチス」のモデルはアメリカ大統領「ロナルド・レーガン」だった!
ポルコの類希なる操縦技術に引けを取らない宿敵「カーチス」。劇中でカーチスはジーナに対して、空賊の用心棒から「映画俳優」へ、その知名度を生かして「アメリカ大統領」になる人生設計を語っている。
モデルでは?と噂されているロナルド・レーガンもアメリカ軍予備役将校から映画俳優へ、そして第40代アメリカ大統領になっており、カーチスの目指す人生設計に酷似している。さらには、カーチスのファーストネームは「ドナルド」第40代アメリカ大統領のファーストネームは「ロナルド」。とても酷似しているとは思わないだろうか?
そして、物語エンディングにおいて、ロナルド・レーガン主演映画「TRIPLE LOVE」のポスターが登場している場面が映し出されている。
他のジブリ作品への主演が多い
ジブリ作品では意外と他のジブリキャラクターがこっそり出演している事が多いが、こと紅の豚に関しては、その中でも他作品への出演が多い。
主な出演作品と出演シーン
・映画「海がきこえる」の文化際のシーンに「飯を食べるポルコ」(上記画像右下)
・同じく「海がきこえる」のエンディングで駅の看板に「紅の豚」
・「平成たぬき合戦ぽんぽこ」のタヌキ達による妖怪パレードには「飛行機とポルコ」が登場。ついでにトトロや魔女宅のキキも描かれている。
・「耳をすませば」の不思議なお店に置かれている古時計には「ポルコ・ロッソ」の文字が刻まれている。
職人魂
紅の豚を観ていて、視聴者の大半が漠然と聞いていた「飛行機のエンジン音」。宮崎駿監督は、この大半の人が聞き流しそうな音にかなりのこだわりを持っていた。
戦争時代ではない軽いエンジン音。この音をなんとか劇中で表現したいがために、フランスの飛行機収集家の所まで訪れ、劇中時代に実際に使われていた「実物の飛行機」のエンジン音を録音している。
モデルとなった実在する街
紅の豚にはモデルとなった実在する街が存在する。それはクロアチアのドゥブロヴニク、アドリア海の「海の真珠」とも言われる美しい場所である。
ここは紅の豚はもちろん魔女の宅急便のモデルとなった街とも言われ、とても穏やかで治安の良い場所で観光名所としても人気が高い。
ポルコの乗る赤い飛行機にも実在するモデルがある
ポルコの乗る紅の飛行機には「サボイアS.21」、カーチスの乗る飛行機には「カーチスR3C-0」という名前が付けられている。
そして両者の飛行機は宮崎駿が考えた空想上の乗り物ではなく実在する飛行機をモデルにしているという裏話が存在する。
本作に登場する幾多の戦闘飛行艇は、ほんの一時期に活躍した「幻の戦闘機械」である。陸上機の車輪の代わりにフロートを付けた水上機とは違い、飛行艇は機体そのものが着水しフロートを兼ねる“Fringboat”である。
戦闘用に用いられたのは、第一次大戦から第二次大戦に至る時期のオーストリア=ハンガリー軍、イタリア軍などごく一部に過ぎない。「失われた可能性」にこだわる宮崎は、あえてこれらをスクリーンに復活させる意図で製作に臨んだ。
引用元:書籍「宮崎駿全書」
その意図でポルコの乗る「サボイアS.21」は、現実の1921年第5回大会に出場予定だった個人専用艇「S-21」を元に、第7回大会でアメリカに大敗した「M-33」のフォルムに似せる形でデザインされたというのだ。
一方、カーチスの乗る飛行機のモデルは実在する「R3C-2」で、劇中のフォルムほぼそのままだったりする。
終わりに
いかがだっただろうか?紅の豚に隠されたトリビアや裏話、都市伝説を見た後に、この映画を見直すと作品への見方が変わりそうではないだろうか?
紅の豚は、単純に冒険活劇の面だけではなく、ジーナの賭けからも大人の女性と男性との切ないラブストーリーを描いた作品でもあったのである。
以上紅の豚の都市伝説でした。そして他のジブリ作品の都市伝説や裏設定は