【分岐する4つのエンディング解説・出現方法】
オカルト雑誌のジャーナリストは、格安の超優良物件「内藤アパート」に引っ越す事にした。この物件はいわゆる事故物件であり、記事ネタ豊富でサイフに優しいこのアパートを気に入り引っ越す事にしたのだが…。そんな彼女に襲いかかる恐怖を描いたホラーゲーム「内藤アパート」。今回は分岐するエンディングの出現方法や解説、遊び方を詳しく紹介。
ダウンロード方法
無料のPCゲームの紹介や配信を行っているウェブサイト「Freem!」で2021.4月23日に無料公開中。詳細はリンク先にて。
ゲームの特徴
マルチエンディング
主人公はオカルトジャーナリストである。物語も内藤アパートにまつわるオカルトを集め記事にする事を目的とし進行していく。この「オカルト記事のネタ」は、作中に登場する様々な人達から聞いた噂が元になるのだが、この集めた「ネタ数」に応じて4つの分岐するエンディングが存在する。
2Dホラーと飽きさせない丁寧なゲーム作り
懐かしのドット絵2Dと立ち絵の会話シーンや1枚絵で進行するイベントで物語は進行していく。
自室に戻ると「その日」は終了し、次の日へと物語は進んで行く。2日目に登場した人物が3日目には登場しないなど、細かく丁寧なゲーム作りで、狭いゲームフィールドでも探索を飽きさせない作りになっている。
物語のあらすじ
駅近、バストイレ別、wifi完備、敷金礼金なしで月4万円のアパート。当然この超優良物件に「何か」がないわけがなく、不動産からの説明でもあったがいわゆる「事故物件」である。
オカルト雑誌を発刊している会社で働く主人公の「鈴原穂乃果」は、その職業柄から世の中に蔓延るオカルト話の全てが創作物である事を知っており、いわくつきの物件も全く気にしていなかった。即座に契約、主人公にとってこの部屋は、単なるお得な物件という認識しかなかったのだが…。
1日目


事故物件に住む事、会社の編集長はそんな鈴原穂乃果にアパートのオカルト話についての取材を命令する。
引っ越してきた当日、穂乃果は隣人への挨拶ついでに、アパートで起こるオカルトについて取材をし、その事をおもしろおかしく記事にすれば編集長も満足するだろうと考えていた。
大家へと挨拶をする穂乃果だったが、そこで大家に2つの禁止事項を告げられる事になった。
1.屋上に上がってはいけない。
2.アパートの噂について調べてはいけない。
2日目


この日もアパートについての調査を開始した穂乃果だったが、アパートの敷地で1人の女の子の姿を見かけ、少女へ自己紹介ついでに挨拶をする。そんな穂乃果にアパートの住民である少女は「頑張ってね」という言葉を投げかける。
穂乃果はその意味深な返答に詳しい事情を少女へと訪ねると、少女はアパートに伝わる1つの噂を聞かせてくれた。
アパートの奥には1つの小屋がある。誰もいないはずの小屋だが、時折1人の女性が立っている事があるらしい。その容姿は、髪が異常に長く顔を見る事はできない。しかし、髪の間からコチラを伺う視線は感じる事ができる。でも絶対に視線を合わせてはいけない…合わせると自身の命を失う事になるのだから…。
そんな噂を聞かせてくれた少女は、追加で1つの出来事を教えてくれた。
今朝「大家さん」が、小屋に立つ女性を目を合わせちゃったんだって…。穂乃果は自室への帰り道、大きな叫び声とあたり一面を赤く染め、その中心に横たわる「大家さん」の姿を目撃するのだった…。
3日目


身体に倦怠感を覚え始めた穂乃果だったが、引き続きアパートの取材を開始する。街に出た穂乃果は、道端でアパートについて噂する女性を見かけ、詳しい話を伺う事にした。噂を教えてくれた女性はおかしな事を穂乃果に告げてきたのだった。
あのアパートの大家さんはおかしい。何度も命を失う事になったとしても、いつのまにかけろっとした顔でアパートに戻ってくるのよ。気味が悪くて、周辺の住民はみんなあの大家の事を嫌っているの…。
奇天烈な噂話を取材した穂乃果はアパートに戻る事にした。そこで街へ向かう時にはいなかったアパートの住人と顔を合わす事になった。話を聞くと、アパートに伝わるもう一つの噂を聞かせてくれた。
このアパートの屋上には行列ができる時がある。順番待ちをしている様に並んだ行列の影は、先頭の者から順番に地面へと飛び降りて行くらしい。
そんな話をした住民が「今日もそろそろ…」と嘆いた瞬間、穂乃果の横に屋上から飛び降り地面へと激突する人が現れる。
その人物は、前日に襲われ命を失ったアパートの大家さんだった…。
4日目
だび重なる異変を体験した穂乃果は青い顔を浮かべていた。この日はいつもよりおかしく、アパートはもちろんの事、街にも人の気配がしない異様な空間が広がっていた。
そんな中、街の奥には1人の老人が佇んでおり、穂乃果は老人からアパートの成り立ちについて話を聞く事ができた。
あのアパートにはもともと神社があったのを知っているか?
当時、この地を支配していた大地主は、その神社の神主が気に入らないという理由でとっても酷い事を行い排除したのだ。それからあの土地は呪われてしまった。その後の大地主も酷い事があり命を落としてしまったらしい。あのアパートの大家は、その大地主に似ているって話だ。
全部、あいつのせいだ…。
アパートに戻った穂乃果は、しれっとアパートで佇む「大家さん」を目撃してしまう。恐怖にかられ引っ越して来て早々に部屋から退去する事を決めた穂乃果は、極度の倦怠感から部屋へ戻って寝てしまうのだが…
⚠ここからエンディングのネタバレを含んだ内容になっています。
通常エンディング
クリックで表示:【ネタバレあり】物語の結末


アパートで体験した出来事を記事にする穂乃果。オカルトを信じていない彼女は、アパートで体験した出来事について未だに半信半疑だった。記事も一通り完成し、編集長へメールをしようとした時、部屋のチャイムが鳴り響く。
部屋のドアを開ける穂乃果だったが、そこには誰もいなかった。
いたずらに憤りを覚える穂乃果だったが、部屋に戻った彼女の耳には女性の笑い声が聞こえて来る。
気がつくと、穂乃果の肩には顔を隠す程に伸びた髪の間から眼だけが見える異様な姿の女性が顔を寄せていたのだった…。
分岐エンディング
この物語は上記で紹介した通常プレイで迎える事になるであろうエンディングの他に、「取材し集めたネタの量」により3つの分岐するエンディングが存在している。
狂気と驚喜エンディング
編集長に言われた通りにアパートの住民や街の人へと取材していく通常ルートと異なり、記事のネタを集めない事で迎えるエンディング。ゲーム開始の大家さんへの挨拶以降、誰とも会話する事なく物語を進めると出現。
クリックで表示:【ネタバレあり】物語の結末
5日目
部屋から出た穂乃果はバグった様に色や文字がおかくなった世界が広がっていた。
アパート横に佇む大家さんに話しかける穂乃果だったが、彼女の様子は狂気に満ちていた。
彼女はアパートで起こっていた不可解な事件や事故に驚喜する。
ネタの尽きない素晴らしいアパート。
記事を書いて書いて書きまくって、この素晴らしいアパートに人を集めよう。
この狂った世界で、狂った穂乃果の高らかな笑い声が空しく響きわたるのだった…。
アパートの噂「屋上に並ぶ人影」エンディング
一つだけ記事ネタを集めた状態で迎えるエンディング。ゲーム開始直後に大家さんへと挨拶をすませ、街のコンビニで内藤アパートにまつわる噂を聞いた以降、誰とも会話するなく自室へ戻り日付けを進めると到達する。
クリックで表示:【ネタバレあり】物語の結末


さいきん身体がだるい。
せっかく集めたネタも記事にする気もおきない。
会社にも顔をだしていない。
スマホの通知がすごい事になっているが、何もやる気が起きない。
気分転換に外に出てみよう。
たしかアパートには屋上があったはず。
屋上での光景はすばらしかった。
真っ赤に染まった広々と輝く空。
無性に空を飛びたい気持ちにかられた。空を飛べば、この鬱屈とした気分からも解放される気がする……。
その後…
地面には何かが潰れる音が響いたのだった…。
アパートの噂「奥の小屋」エンディング
ゲーム中で語られる内藤アパートにまつわる記事ネタを全て集めると到達する真エンディング。
クリックで表示:【ネタバレあり】物語の結末
5日目


部屋の外に出た穂乃果は、この世ならざる光景を目にしてしまう。
まるでバグッた様に色や文字がおかしくなった世界。
髪の長い女性が出現すると噂されるアパートの奥にある小屋の扉が開いていた。
穂乃果は小屋の中に足を踏み入れるが、とても小屋の中とは思えない光景だった。
奥へと進んでいくと、神社の鳥居が無造作に立っている空間が広がっており、そこにはアパートの「大家さん」が佇んでいた。
とてつもない恐怖から怒りが沸き上がった穂乃果は、佇んでいた大家に元の世界に帰す様に問いつめる。
しかし、大家はアパートで起こる出来事はあくまで自分が制御できる物ではなく、自分も巻き込まれているだけであり、そんな土地に興味を持ち噂を広めようとしていた穂乃果だからこそ好かれ、この世界に招かれてしまった事を説明する。
それでも現実を受け入れられない穂乃果に、大家さんは「非情に残念ですが…さようなら」と告げるのだった…。
後日、穂乃果が住んでいた内藤アパート202号室は新たな入居者を迎えていた。
次の入居者は男性、彼も穂乃果と同じくアパートにまつわる「噂」を集め知り合いや友人達に広めようとしていたのだった…。
終わりに
作中で登場する人物達の言葉に何一つ無駄がなく、全ての会話が物語に紐付けされており、丁寧によく練られたゲームであった。大家さんが最初に主人公に告げた2つの警告も、物語を終えると単純に大家サイドの迷惑行為に対する警告ではなかった事がわかる点も伏線の一つとして面白かった。
無料で公開されている作品としては少しもったいないレベルのハイクオリティゲームの一つでだった。