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朽木vs徳川家康【淡海乃海 水面が揺れる時】第十一巻のあらすじ・見所・特典小説・感想

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【淡海乃海 第11巻 あらすじ・特典収録、ネタバレなしの紹介】

足利義昭の上洛する条件。その条件は、幕府に終焉をもたらす物だった。なんとか幕府を存続させたい幕臣達は、悪魔の閃きが頭をよぎる。

淡海乃海 水面が揺れる時~三英傑に嫌われた不運な男、朽木基綱の逆襲~十一【電子書籍限定書き下ろしSS付き】 (TOブックスラノベ)

題名:淡海乃海 三英傑に嫌われた男、朽木基綱の逆襲 第11巻

著者 : イスラーフィール  : 碧風羽

あらすじ:九州の一部にまで追い込まれた足利幕府の重臣達は、朽木基綱からの九州攻略前の京への上洛要請に頭を悩ませていた。上洛するための条件は三つ、征夷大将軍の辞任、義昭の隠居、京での騒乱の謝罪、これを受け入れなければ京には戻れない。

しかし受け入れてしまえば、すなわち足利幕府の終焉を意味する。200年以上も続いた足利幕府をなんとか存続させるため、幕臣達は凶行な手段を選択してしまう…。

一方、朽木と十年以上に渡り争い続けていた本願寺の宗主「顕如」も頭を悩ませていた。どう足掻いても朽木に勝てる見込みなし。敗北を受け入れ朽木の法に従い教えを説く事のみに専念し政治には関わらない。そう決意した顕如だったが、幕臣達の企みに巻き込まれ…。

 

 

ノベル「淡海乃海 第十一巻」の見所

大幅加筆された幕臣・島津・顕如の思い

上洛の条件を呑まずして自分の影響力を残そうとした征夷大将軍「足利義昭」だったが、自身の思惑とは裏腹に長年連れ添った幕臣と島津、顕如の謀略に巻き込まれてしまう。
幕府を残そうとした幕臣達の現状打開の奇策。長年争い続けた幕府と朽木基綱の結末とは…。

 web版では意外にあっさりしていた幕府の終焉にまつわる物語。書籍版では、幕臣、島津、顕如、それぞれの上洛要請や現状に対してどう思ったかが大幅に加筆されている。web版では描かれなかった九州地方での出来事が事細かく描かれ、webでは不明だった島津側の物語は読み応え十分。

ついに始まる朽木家vs徳川家

父親から朽木当主としての力量をつけるべく徳川攻略を任された朽木堅綱。若年であり武功を欲している彼の心を、徳川家康の武略が牙を剥く。本格化していく朽木vs徳川の戦い。常勝無敗の朽木家に初めての敗北の味を知らしめたのは史実の天下人「徳川家康」だった…。

朽木vs徳川の戦い。こちらの物語もweb版では描かれていない徳川サイドの出来事が大幅に加筆されている。

史実の天下人である徳川家康、しかし本作においては一地方の大名でしかない。史実での天下人としての力量が、果たして本作において発揮されるのか…。今後の展開必見の物語が見どころ。

 

特典 書き下ろし小説

特典書き下ろしの見どころは、なんと言っても徳川家康サイドを描いた物語の部分だろう。web版でも登場している家康だが、その心情が描かれた場面はほぼない。今巻では、家康サイドの物語が補完される形になっており、webではあっさりしていた徳川家康編の展開も読み応え深い物に仕上がっている。

特典短編【一】:織田家家臣の選択「伯父・甥」

あらすじ

細川与一郎忠興。かれの父親は足利幕府の幕臣でありながら、主人である足利義昭の策略により誅されしまった。なぜ父は誅されてしまったのか。長年、その事に疑問を抱き生て来た彼だったが、そんな彼は同じく幕臣であり父親の兄でもあった叔父「三淵藤英」の元を訪れる。

そして語られたのは、兄弟だからこそ感じた、足利に誅された父親の胸の内の一端であり…。

特典短編【二】:徳川家康の心情「真実」

あらすじ

徳川との初戦を難なくこなした朽木堅綱は、家臣達と今後の徳川への対策会議を開いていた。

一方、徳川家でも自身と相対する朽木堅綱の戦ぶりを分析した家康だったが、徳川家よりも圧倒的な領地と兵を持つ朽木家と上杉家を敵に回しながらも、彼はどこか楽しそうだった。それは確固たるアイデンティティを得た事であり、どれだけ不利な状況で生き残りが厳しくなっても、それがあるだけで灰色の世界に色がついた様な気分を彼にもたらしていた。

電子版特典:遠山家の「継承」

あらすじ

織田家から養子として遠山家に入った御坊丸。織田家崩壊時、その出自から織田家に返されてしまう懸念を基綱から景長と名をもらう事でそのまま遠山家に残る事ができた彼の元に基綱から幕府終焉の報が入る。

その事を養父から聞いた彼は、戦国時代を生き抜く心得を養父から教えてもらう事になる。それは遠山家の当主になる上で重要な心得であり、それは家を継承するために必要な物であった。

 

おまけ

コミカライズ6話試し読み

コミック版第2巻収録の第6話がおまけ漫画として収録されている。第6話は、小説版1巻の朽木の財力を狙った高島七島を打ち倒し、六角を交えた和議の場面が収録されている。生かしておいた高島頭旗の越中守を六角の前に引きずりだし、戦いの裏に居た者をあぶりだした場面でもあり、淡海乃海の盛り上がり場面の一つ。

 

終わりに

前巻で上杉、織田、足利との権力争い、毛利との戦いと決着がつき、第11巻では完全なる足利幕府の終焉と新たなる敵「徳川家康」との戦いについて描かれていた。webではあっさりしていた徳川編の展開も、大幅加筆により読み応え十分なクオリティになりそうな物を期待できる物になっていて面白かった。

次巻で徳川家康との決着が付くのか、webではあっさりしていたその結末をどのような加筆で楽しませてくれるのか。今から発売が楽しみな「繋ぎ」の巻だった。

もし主人公が朽木の当主にならなかったら…そんなIFを描いた「異伝:淡海乃海 羽林、乱世を翔る」の紹介記事はコチラ