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朽木vs徳川決着【淡海乃海 水面が揺れる時】第十三巻のあらすじ・見所・特典小説・感想

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【淡海乃海 第13巻 あらすじ・特典収録、ネタバレなしでご紹介】

足利義昭を謀殺した島津は朽木により滅亡し、表向き九州が落ち着いたかに見えた。しかし動乱の火種は未だ九州で燻り続ける中で、毛利家で恋騒動が起こり…。

淡海乃海 水面が揺れる時~三英傑に嫌われた不運な男、朽木基綱の逆襲~十三【電子書籍限定書き下ろしSS付き】 (TOブックスラノベ)

題名:淡海乃海 三英傑に嫌われた男、朽木基綱の逆襲 第13巻

著者 : イスラーフィール  : 碧風羽

あらすじ:島津滅亡の報が、徳川家康と対峙している基綱の息子である朽木当主の堅綱にもたらされる。若い頃と変わらない激しい戦いを見せた父親に、自身の未熟を痛感し劣等感を抱く堅綱だったが、その気持ちを押さえ込み着実と徳川を追い込む策略を練っていた。

一方、堅綱と同じく島津滅亡の報告を聞いた徳川家康は、九州が安定した事で手の空いた堅綱の父親である基綱が、自身の居る東に兵を向けるのではと警戒していた。

そんな家康の警戒をよそに、基綱は四国で起こっている三好の動乱への対処や、臣下となった毛利家で起こった色恋騒動に頭を悩ませていたのだった。

 

 

ノベル「淡海乃海 第十三巻」の見所

web版になかった徳川サイドの物語が追加

朽木家と徳川家の戦い、web版では描かれなかった徳川家での出来事が加筆で描かれ、本編や書き下ろし特典でも家康サイドの物語が楽しめる。

儂は息子を鍛える道具か。腹立たしい事よ。しかしなかなか手強い。兵の多さを十分に利用してくる。織田の阿呆息子共とは違う。

引用元:淡海乃海 第13巻より 徳川家康の思案

そして朽木堅綱と徳川家康の戦いに決着が。さらには物語は国内の天下統一に絡め、他国であり現在で言う所の中国や朝鮮半島との関係性にも焦点が当たっていく事に。

毛利家当主の恋騒動

朽木基綱の息子の1人が毛利家と縁を結ぶ事となった。ここから先、朽木家内で生きていく毛利にとってこの話は決して悪い事でもなかったが、当初はそこまで警戒していなかった毛利家の世継ぎがいない事がある騒動を引き起こす引き金となり…。


気の強すぎる正妻との仲が上手くいかず、ストレスが溜まっている毛利家当主である右馬頭は自分より20歳も下の臣下の娘に恋心を抱いてしまった。しかも初めて見初めた時は相手が10歳もの童女の時だった。

それが発覚した毛利家では、右馬頭の正妻は彼を悪趣味だと罵り大騒動に。

ゆくゆく毛利家の世継ぎ問題、ひいては天下統一への障害になりかねないこの問題に恋?の調停者「朽木基綱」が解決に乗り出すエピソードは必見。

 

特典 書き下ろし小説

特典短編【一】:全てが変わる朽木の天下「誇り」

あらすじ

足利天下の中でかつては官領を務めた名門畠山家。一度は朽木に頭を下げたその当主は、足利の京騒乱の際に朽木を裏切っていた。その後、彼は捕まり朽木家により裏切り者として処断された。その一報は大友家にもたらされる。

名門畠山家が罪人の様に処分される。九州探題を命じられ、名門である己が家格に誇りを持つ宗麟は、部下からの報告にとても信じらず呆けてしまう。

家の家格など役に立たない。新たな天下の仕置を耳にした時、宗麟臣下の紹忍は危機感を抱き当主にある進言を申し上げるのだが、その事は宗麟の誇りを傷付ける言であった。

特典短編【二】:徳川家康の人生「歳月」

あらすじ

朽木堅綱と徳川家康との戦いに決着が見える。どう足掻いても詰んだ状況の家康は堅綱に対し重臣中の重臣である酒井左衛門尉忠次を向かわせる。それはある事を伝えるためだった。

一方、小田原城に居る家康は、奥とともに夫婦となった15年の歳月、ひいては己が失敗続きでもなお戦国の世を生きながらえようとした人生を振り返っていた。

「儂と同じ想いを胸に抱いていた。自分の一生を自分で切り開きたい、道具ではなく人間として生きたいとな」

「…人として生まれたのです。当然の事でしょう」

引用元:淡海乃海 第13巻 特典小説「歳月」より家康と奥の会話

電子版特典:朽木「回帰」

朽木基綱は正妻小夜と側室雪乃、各の子である亀千夜、鶴姫を連れ岩神館を訪れていた。朽木谷にある岩神館、わずか八千石の小領主だった頃。昔と変わらない風景を前に、基綱、小夜、雪乃は自分達が出会った当初の思い出話を語り合う。

そんな3人の話を傍で聞いている亀千代と鶴姫は、両親の若い頃の話に驚愕で何度も目を丸くするのだった。

おまけ漫画

コミカライズ出張版 特典SS「終焉」が収録

時は遡り右衛門督が幽閉されている頃。当主を降ろされた事で様々な呪縛から解き放たれた右衛門督は盆栽を楽しんでいた。鬱屈としていた1年前から比べ、心穏やかに過ごしていた彼だったが、今日来訪してきた友の顔を見た時、己が終わりが来た事を察してしまう。

ああ…これまでだな

「…その日が来たようだな」

引用元:淡海乃海 第13巻 コミカライズ出張版おまけ漫画より

幽閉されていた右衛門督は、新たに六角家当主となった者によって処分されてしまう。小説版、漫画版ともに作中での説明で終わっている結末を漫画化したエピソードが収録。

Twitterでの反応

電子書籍版限定で約120ページほど「北条所様のお化粧係」という淡海乃海とは全く関係のない新刊小説の宣伝が…。

 

 

終わりに

朽木と徳川との戦いの最中のため、両者が直接会話を交わす事は物語上ないが、もうちょっと徳川サイドのエピソードも読みたかった…そう思わせるほど、あいかわらず人間模様が面白い物語であった。

次巻では、史実でも起こった天正大地震の発生、さらにそれに伴う大友と龍造寺との九州騒乱と完全平定のエピソードが収録されるはず。基綱の神をも恐れぬ現代人であるがゆえのある行動が見どころに。

三好、島津、織田信長、徳川家康と戦国大名が表舞台から退場した事で国内では朽木に対抗できる勢力はほぼなしに。天下統一が既定路線となった事で、今後の物語は海の外との関わりをどう描いていくのかも注目。

もし主人公が朽木の当主にならなかったら…そんなIFを描いた「異伝:淡海乃海 羽林、乱世を翔る」の紹介記事はコチラ