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書籍化小説【淡海乃海 水面が揺れる時】第九巻のあらすじ・見所・特典小説・感想

 

【淡海乃海 第9巻 あらすじ・特典収録のネタバレなしの紹介】

織田信長が命を落とした影響は、様々な所で噴出し始める。そんな最中、史実における天下人「徳川家康」が牙を見せ始める…

淡海乃海 水面が揺れる時~三英傑に嫌われた不運な男、朽木基綱の逆襲~九【電子書籍限定書き下ろしSS付き】 (TOブックスラノベ)

題名:淡海乃海 三英傑に嫌われた男、朽木基綱の逆襲 第9巻

著者 : イスラーフィール  : 碧風羽

あらすじ:織田信長が命を落とした。織田家跡取りである長男の織田勘九郎信忠もある人物の裏切りにより、戦の最中に命を落とす事になった。織田家当主と跡取りが居なくなった事により、次期当主を巡り御家騒動が勃発してしまう。

織田家に問題が発生した事で、日本の中央を固めていた「朽木・織田・上杉」の三国同盟に揺らぎが生じ始める。それに伴い、九州に逃れていた征夷大将軍である足利義昭が朽木を倒すべく裏での動きが活発化する。

同時に四国の土佐や九州でも問題が起こり始め、さらには北条家の滅亡、主人公の朽木基綱は、東と西での問題解決に奔走する事になる。

そして、織田家御家騒動の原因であり裏切りの首謀者、さらに史実における天下人「徳川家康」が、天下を制した力量、その牙を見せ始めるのだった…

2016年に素人小説投稿サイトで連載が始まった小説の書籍化作品第九弾。

 

ノベル「淡海乃海 第九巻」の見所

北条家滅亡

関東で一大勢力を誇った名門「北条家」が滅亡する事になる。web版では、主人公の朽木基綱の回想という形で北条家が滅亡したとしか読者は知る由も無かった。

今作ではその部分が加筆されており、北条家で何が起こり、そして何を思ったのかが細かく描かれている。

元毛利領「安芸」の一向一揆の末路

前巻にて毛利との和睦の際に提示した安芸の割譲。今作にて、朽木基綱が想定していた一向一揆の問題が噴出する。九州での問題を解決するため、四国から島津へ攻める姿勢を見せる朽木に対し、その背後を突くために、ある人物が安芸の一向宗を誑かす。

その結果、安芸の一向一揆は、この世の地獄を見る事になってしまう。

この話しに関してweb版からの加筆は無いが、朽木基綱の苛烈な戦術が表現されており、淡海乃海の物語の中でも屈指の寒気を感じる所でもあり、好き。

漫画版で掲載された特典小説とのリンク

今回の電子版特典での短編「追憶」にて、朽木小夜とその息子である朽木堅綱が織田家御家騒動について話し合う場面が収録されている。そこで小夜は息子に御家騒動の危険性を、かつての六角家で起こった事を自身が体感した事を踏まえて語り聞かせる。

話しの内容は、小夜が初めて嫁いだ相手である「浅井新九郎」にも及ぶ。その場面にて、小夜が六角家御家騒動「観音寺崩れ」の際に実家に戻らず朽木家へ残った理由が、淡海乃海「漫画版第3巻」で収録された短編「初夜」での出来事とリンクした動機付けがされている。

特典 書き下ろし小説

短編として2話、電子書籍特典として1話が収録されている。今までの特典に比べると内容的に少しパワーダウンの印象があるが、電子版特典の「追憶」は、web版ではあまりスポットが当たらなかったヒロイン「小夜」の十数年の思いが垣間みえてファン必見の内容に仕上がっている。

特典短編【一】:織田家混乱の裏側「分裂」

あらすじ

朽木家に仕える鈴村親好は、織田信長と嫡男が亡くなった事による織田家家臣の心情を探るべく、かつての実家を訪れていた。妾腹の出である親好は、実家で不遇の扱いを受けて家を出ていた。そんな複雑な感情を持ちながらも、主人である朽木基綱の命を果たすべく、実家の門を叩くのだが。

特典短編【ニ】:朝廷のための役所「幕府」

あらすじ

九条兼考は他の公家との話しの中で弟が口に出してしまった「我が国も滅ぶ」という言葉、配慮の足りない弟を注意するため自宅へと誘う。兼考は弟に自分達の父親と関白殿下との確執を言い聞かせ、もっと周囲に対して気を配る様に注意する。

その最中に弟が口にした「基綱が幕府を開かない事」、兼考は自身もその事が気になり、基綱の盟友でもあり父との確執があった関白殿下の元を訪れる。

電子版特典:朽木小夜の思い「追憶」

あらすじ

朽木小夜は、息子であり朽木家の跡取り堅綱と織田家の御家騒動について話し合う。小夜は、織田家の出来事と類似している六角家の御家騒動「観音寺崩れ」の話題を口に出す。

息子が生まれる前の出来事であり、小夜にとっても忘れる事が出来ない存在である前夫「浅井新九郎」の事。小夜は10年以上前に朽木家へ来た当初からの出来事や自身の思いを記憶を追いながら息子に聞かせるのだった。

 

おまけ

コミカライズ出張版

岩魚を食した基綱が、今は亡くなってしまった祖父を思い出す場面が2ページに渡って描かれている。

コミカライズ4話試し読み

コミック第1巻収録の第4話33ページが収録されている。第4話は、朽木の忍び「八門」を召使える事から足利と三好の和睦、高島連合との戦いの始まりまでが描かれた物語になっている。

第1巻は1話〜4話までとなっており、小説第九巻までを購入している人は、漫画特典を考えなければ第2巻からの購入でOK。

終わりに

この巻から前巻で終盤に織田家で起こった出来事の影響が描かれた。しかし、その騒動の決着は次巻へ持ち越しになっている。

北条家の滅亡間際の出来事や家中の人間の心情が加筆されていたのは良かったが、個人的には安芸の騒乱で起こった一向一揆の内部を描いていてほしかったと思わなくもない。

第九巻で主立った登場人物である織田・上杉・足利・一向宗との関係は、大まかな意味で今後に与える起承転結の転は訪れない道筋を辿りそうだ。今後、物語としての波を描く上で、新たなる敵「徳川家康」をどう扱うのかが注目される。

漫画版「淡海乃海」第一巻の紹介記事

もし主人公が朽木の当主にならなかったら…そんなIFを描いた「異伝:淡海乃海 羽林、乱世を翔る」の紹介記事はコチラ