現代まで消える事なく語り継がれた日本昔ばなしの中でも「最恐」と名高いのが、この「三本枝のかみそり狐」である。この話は、かつて「まんが日本昔ばなし」でアニメ化され、数多くの視聴者にトラウマを植え付けた伝説回としても語り継がれている。
日本昔ばなしマニアであり、ほぼ全ての話をDVDで保有しているとされるお笑いタレントの伊集院光でさえ、この「三本枝のかみそり狐」だけは「怖すぎて観る事を避ける」と明言するほどなのだが…。
今回はそんな「三本枝のかみそり狐」の物語をご紹介。
三本枝のかみそり狐の物語
村人が恐れていたもの
むかしむかし、ある村のはずれに「三本枝」という竹藪に人を化かすキツネがいました。
村人たちはこのキツネを恐れていましたが、「彦べえ」という若者のみ「自分は絶対にキツネになんか化かされたりしない!村のみんなが臆病なだけだ!」と虚勢をはり、まったくキツネの存在を信じていないと公言していました。
そんな彦べえは、それを証明するため、たそがれ時に一人で竹藪の中へと出かけてしまいます。
村人ではない怪しい女
彦べえが入りしばらくすると、暗い竹藪の中を赤ん坊を抱いた娘が歩いているのを見かけます。怪しい、そう思った彦べえは、彼女の後をつけていきます。
娘を尾行していると「おっかぁ、泊りに来たよ」と、彼女が一軒のあばら家へ入って行きました。
女をキツネと考えた彦べえのとった行動
人を化かすキツネの噂を知っていた彦べえは「婆さん!娘は人を化かすキツネで、赤ん坊は赤カブだ!!」と言い家へと押し入り娘から赤ん坊を取り上げ、そのまま火に投げ込みました。しかし、彦べえの予想に反して、赤ん坊はそのまま焼け〇んでしまいました。
「よくも、人の孫を…。〇してやる!!〇してやるぞ!!!」
孫を〇された婆さんは激怒、台所の包丁を手に持ち、彦べえへと襲い掛かりました。
「おまえを〇してやる!!孫と同じ目にあわせてやるっ!!!」
逃げ出した彦べえ
恐ろしくなった彦べえはその場を逃げ出します。命からがら山寺へと逃げ込んだ彦べえは、坊さんに助けを求めます。坊さんは、彦べえを本堂に隠し、彼を追いかけてきた婆さんを宥めその場をやり過ごしてくれます。
詳しい事情を聞いた坊さんは彦べえに「赤ん坊を〇してしまった以上、俗世に帰らず坊主になりなさい」と言い、彦べえの髪をカミソリで剃り落としました。
化けキツネ
その夜、寺の本堂に布団を敷いて寝た彦べえでしたが、ふと目を覚ますと竹藪の中でした。
そう、これまでの出来事全てが三本枝のキツネたちの仕業だったのです。坊さんに剃られたなずの髪の毛でしたが、本当はむしり取られていて血だらけとなっていました。
竹藪から村に戻った彦べえは、それからというもの見栄をはったり、虚勢をはる事はなくなったのでした。
いまいち?
と感じた人も多いだろう。この話はテレビアニメ「まんが日本昔ばなし」でアニメ化放送されており、この時の制作スタッフの高い技量「作画・BGM・内容」の三拍子がベストマッチした結果、日本史上最恐に怖い「日本昔ばなし」として視聴者にトラウマを植え付ける結果となった。そのトラウマは凄まじく、今なおネット上で最恐の日本昔ばなしとして名をはせる結果となっている。
終わりに
周りの人の言う事を、虚勢をはってあえて逆張りの主張をしている。そんな事をしていると、いつかひどい目に合うよと昔の人は子供に言い聞かせていたのだろう。
この昔ばなしのアニメ化がネットやDVDで今でも観れるため、文字で読んだら大した事ない「自分は絶対に怖がったりしない!」という方は、彦べえ同様、自分の目で確かめてみても…。