#ストーリーのネタバレ注意
地下3000mに巣食う恐怖。人類未踏の地に待ち受ける者の存在に、全英が恐怖した。
鑑賞後評価:★★★★☆(3.1)
題名 | ディセント |
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公開日 | 2006年 |
監督 | ニール・マーシャル |
時間 | 99分 |
出演 | シャウナ・マクドナルド、ナタリー・メンドーサ、アレックス・リード |
サラは、交通事故で夫と娘を失って1年が経過した。昔からの友人達は、サラを元気つけるため女性だけの冒険旅行を計画する。サラはその誘いを受け友人が運転する車に乗り集合場所へ向かう事にした。
冒険場所は「チャトウーカ国立公園」、広大な土地に果てしなく広がる木々が生い茂り自然をそのままにした様な所。そこの一角に佇むキャンプ場で再会するサラと友人達。
久々の再会をお互いが喜びあい、その日は暮れてゆくのだった。
次の日、とうとう本格的な冒険を開始する6人。目的地である地中深くに空いた大穴を下り、そこにある小さなトンネルを潜って行く。そして辿り着いたのが、地下とは思えない広大な空間だった。
その光景に感動を覚える6人だったが、そこには数百年前から暗闇の支配する空間で生活をしていた「ある者達」と邂逅する事となる…。
⚠【ネタバレ】を含む内容と解説があります。未視聴の方は注意して下さい。
映画「ディセント」作品紹介
特徴1:地下3000mの広大な洞窟が舞台
物語の舞台は、広大な地下空間。人類は地上の全てを把握しているが、地下空間はまだまだ未開の場所が存在している。そんなテーマを元に、人類未踏の地下空間が舞台のサスペンスホラー。
特徴2:人類未踏の場所のはずが、歴史に埋もれた先達者が居たのだが…
主人公達が迷い込んだ所は、人類未踏の洞窟空間。歴史に名を残す程の大発見だが、洞窟内には他の人が使ったと思しき登山道具の存在が…。
しかし、6人が入ったこの洞窟には「発見者の名が無い」それが意味するものは。
果たして、以前にこの洞窟に入った人はどうなったのか?そして、今回足を踏み入れた6人の女性に待ち受けるモノとは…。
特徴3:友情と人の生存本性
危機にひんした際に出る「人の本性」。昔ながらの友人達は、危機に落ち入った際に長長年培った「友情」をどう示すのか?
そんな閉鎖された洞窟内に閉じ込められる恐怖、そこに住まう何者かに襲われる恐怖、危機にひんした際に試される友情、この3つの要素を描いた物語が魅力の本作。
物語のあらすじ(ネタバレあり)
人類未踏の洞窟
友人の1人ベスは、自分達が辿り着いた広大な地下空間が、ガイドブックに載っていない場所だという事に不安を覚える。友人の1人であり、この冒険の企画者であるジュノにその事を伝えるも、冒険にはこの様な出来事は多いと取り合って貰えなかった。
小さなトンネルを発見したサラ達は、地下空間のさらに奥へ進もうとする。人1人分しか通れない小さなトンネルを入って行くのだが、サラが途中で挟まり抜けなくなってしまう。パニックになるサラを友人のベスが落ち着かせ抜け出す事に成功する。しかし、同時にトンネルが崩落、一同は地下3000mに閉じ込められる事になってしまったのだった…
ジュノの嘘
崩落し閉じ込められてしまった一同だったが、ガイドブックには他に2つの出口が存在する事が載っていた。リーダー格であるジュノにその事を確認するのだが、ここで衝撃の事実が判明する。ジュノは嘘を付き、本来向かうはずだった入山届けを出した場所ではなく、ジュノが下見に訪れた時に偶々見つけた名も無き人類未踏の洞窟だったのだった。
サラを元気つける旅行なのに、なぜ未踏の場所に来なくてはならないのか?一同はここに案内したジュノを責めるも、言い争っても無意味と判断し出口を見つけるため先へと足を進めるのだった。
先達者の存在
先へ進む中で、先達者が置いたと思しき登山道具「ハーケン」を発見する。この事で、先にここに来た者の存在、すなわち出口への希望が沸いて来る。だが、その道具を見たジュノは、ハーケンの仕様から「100年以上前の物である事」「もし先達者が居たのなら、この洞窟に名前が付いている事」を理由に楽観視できる状況では無い事を伝える。
さらに先へ進もうとした際に、壁に描かれた壁画を発見する。ジュノはライトのバッテリーが無くなりそうな事を危惧し先へ急ごうとするのだが、ベスは強行に壁画の確認をしようとする。そんなベスの行動に非難の目が集まるが、ベスは冷静に壁画を分析し、壁画がこの洞窟を示すものだと推理し入り口が2つある事を突き止める。
その推測に一同は一抹の希望を持つのだが…
住まう者達との邂逅
暗闇が支配する空間、手持ちのライトだけでは十分な視界を確保できない。そんな中で6人の1人ホリーは下へ続く穴に身体を取られ落ちてしまう。一同は手持ちの登山具を使いホリーを救出するもホリーの足は骨折していた。
応急処置を施した際に上げたホリーの悲鳴が無音の洞窟内を木霊する。その声に引きつけられてか、この人類未踏の洞窟内で「住まう者達」が、サラ達「侵入者」の存在に気がついてしまう。
サラは、自分達の近くで聞こえる喉を鳴らす音に気がつく。その方向へライトを向けると、真っ白い人型の「何か」を発見してしまう。
何かの存在、サラは友人達にその存在を訴えかける。しかし、誰もサラの言う事に耳を貸す事はなかった…
襲われる友人達
先へ進んだサラ達は、広い空間に出る。その空間は、ありとあらあゆる骨が捨てられている空間だった。その異様な光景にパニックになった一同は、誰かいないか声を荒げ叫び出す。赤外線カメラで周囲を見ていた1人が、自分達の背後に迫っていた「何者か」の姿を捉える。パニックになり叫び出した一同に驚いたのか、その者は洞窟の天井を這いずりながら逃げて行った。
サラ達は、パニックになりながらもその場から逃げたが、何者か達は執拗にサラ達を追いかけ、そして襲い出す。正体不明の存在に襲われたサラ達は、必死に逃げだそうとするも、統率の取れた行動を取る事など出来ず、洞窟内でバラバラになってしまう。
友人達の最後
バラバラになったサラ達を、正体不明の何者かは執拗に襲う。そして、サラを元気つけるためだけに集まった友人達は、各々がその最後を迎えて行くのだった。
1人目「ホリー」
最初の襲撃時に何者かの存在に首を噛み付かれてしまい、何処かに連れて行かれる。
2人目「ベス」
ジュノが連れて行かれるホリーを取り返そうと、何者か達と奮闘する最中に近寄ったベスは、敵だと誤認したジュノにピッケルで攻撃を受けてしまう。その時にジュノのペンダントを引きちぎり手で握り込む。その後ベスは、ジュノにその場に置き去りにされる。
3人目「サム」
ベスの元から去ったジュノと合流したサムとレベッカは、別れてしまったサラを助けに行く事なく脱出しようとする。来る時に渡って来たロープを張ったクレパスを渡ろうとした時に、何者かに襲撃を受けてしまう。サムは何者かに噛み付かれるも、ナイフで応戦する。何とか敵を倒す事ができたが、サムはそこで力尽きてしまう。
4人目「レベッカ」
その光景を見ている事しか出来なかったジュノとレベッカ。そんな2人には何者かが忍び寄っていた。何者かに足を掴まれ引きずり倒されたレベッカは、生きたまま何者かに……
ジュノとサラの夫の関係
最初の襲撃時、何者かから逃げる途中で足を滑らし頭を打って気を失ったサラは、人骨で埋め尽くされた空間で目を覚ます。赤外線カメラで周囲を確認してみると、何者かが「ホリー」を食している光景を見てしまう。その光景に、サラは声を上げてしまい「住まう者」に気ずかれてしまう。我にかえり必死に声を押し留めるサラの目の前まで、バケモノが迫って来るも、自分を呼ぶ友人の声が洞窟内に響き、バケモノはそっちの方向に向かって行った。
バケモノをやり過ごしたサラは、そこで友人ベスを発見する。ベスは自分が助からない事を悟り、サラに「ジュノにやられて見捨てられた事」「ジュノの持っているペンダントはサラの元夫がプレゼントした事」を伝え、自分を楽にする様に頼むのだった。
ジュノの最後
ジュノと合流したサラは、レベッカとベスの安否を確認する。ジュノは「駄目だった」としたサラに伝えなかった。ジュノは真実をサラに告白する事はなかったのだ。サラはそんなジュノを見つめ一言「行こう」と言いジュノを引き連れ脱出の道を探すのだった。
が、遂に2人は何者か達によって追いつめられてしまう。ジュノとサラはそれぞれで自分を襲ってきたバケモノを撃退する。サラはジュノがバケモノを倒す間に敵の弱点を突き撃退、ピッケル片手にバケモノを倒したジュノの前に立ち、ベスから渡されたペンダントを見せる。
昔からの友人を見るとは思えない鋭い視線をジュノに向けるサラ。そんなサラに何かを言おうとし言葉が出ないジュノ。そんな2人の耳にバケモノの叫び声が聞こえて来る。その声に気を取られサラから視線を外したジュノの隙を突き、サラはジュノの足にピッケルを突き刺し置き去りにする。
ジュノは自分の足に刺さったピッケルを抜き振り向くも、ジュノの目の前には複数の何者かが迫ってきた光景だったのだった…
サラ
ジュノの奮闘の叫び声が洞窟内に響き渡る。その声を耳にしたサラは、単身洞窟の外への道をひた走り、一筋の「光」を目にする。その光に向かって必死に近寄ると…
クリックで表示:【ネタバレあり】物語の結末
無事に地上へと戻る事が出来た。神に感謝し叫ぶサラは、そのまま乗って来た車のドアを開け乗り込み走り出す。しばらく運転した後に、路肩に車を寄せ安堵から泣き出し、極度の緊張からの解放から嘔吐してしまうサラだったのだが…車の助手席に目を向けると、置き去りにしたジュノがコチラを見ていた。その光景に叫び出したサラは、洞窟内で目を覚ます。
一筋の光、悪夢から脱出した光景は、サラの願望が生み出した「夢」だったのだ。地下3000m、バケモノが闊歩する空間でサラは、自身が見せる娘の幻影を前に虚ろな表情を見せているのだった…
終わりに
本作に登場する「洞窟内に住まう者」の正体も、在り来たりなウイルスで変異した存在などではない、日が射さない場所で人が閉じ込められた成れの果て「環境適応した結果」なのが面白かった。
人が危機にひんした際に出る本性、昔ながらの友人でも見捨てる心が生まれる瞬間、この選択肢を人が取ってしまう上で物語にしっかりとした説得力があった。たぶん、自分も同じ状況なら同じ事を選択してしまうかもしれない。そんな事を思う映画であった。
本作の正統続編が映画「ディセント2」
映画「ディセント2」の内容は、本作直後の物語。サラ達6人が行方不明になってしまい、ジュノが出した別の入山届けの場所を、救助隊達が捜索している所から物語は始まる。
本作の登場人物達のその後も描かれているので、本作と合わせて連続で鑑賞する事をオススメする。