映画エイリアン(1979)の15年後の物語を徹底解説
エレン・リプリーがエイリアンを退治し、冷凍睡眠で宇宙の大海原を漂う結果となった映画「エイリアン」の15年後の物語。西暦2137年、リプリーの娘「アマンダ」による映画「エイリアン」と「エイリアン2」を繋ぐ物語。
さしずめ「エイリアン1.5」とも言えるゲーム作品。
そんな作品の物語を徹底解説していく。
ゲーム「エイリアン アイソレーション」の特徴
原作に忠実な世界観
映画「エイリアン(1979)」の世界観と直接繋がる物語になっている。エイリアン2で判明した天寿を全うし、生き別れになったリプリーの娘「アマンダ」が今作の主人公となっている。
直接の繋がりを描いているため、エイリアン(1979)での世界観を忠実に再現されている。宇宙船の設備やアンドロイドの存在は、まるで映画の世界を体感している様な錯覚に捕われる程に完成度が高い。
副題にもなっているアイソレーション
副題のアイソレーション。日本語訳で「孤独」。その名の通り、プレイヤーは主人公のアマンダを操作する事になるのだが、作中のほとんどはプレイヤーが単身となってエイリアンと対峙する事になる。
孤独による心細さ、忍びよるエイリアンからの恐怖。二つの感情が螺旋となってプレイヤーの思い切った操作を躊躇させる。
エイリアンのリアルアクション
作中に登場するエイリアンは、プレイヤー(あなた)の操作する状況を元に、独自で判断するAIが搭載されている。
そのため、決まったルートを周回するのではなく、プレイヤーの行動(足音、機械操作音等)に合わせてエイリアンが独自の判断に従い行動する。
ストーリーのあらすじ(ネタバレあり)
ストーリーの結末を含むネタバレの解説があります。未プレイの方は注意して下さい。
西暦2122年エレン・リプリー
エイリアン(1979)での出来事直後の物語から始まる。宇宙船ノストロモ号最後の生存者エレン・リプリーは、6週間後に地球圏に到達する事を本社に報告。冷凍睡眠に入る自身の回収を期待し、眠りにつくのだった。
西暦2137年アマンダ・リプリー
エレン・リプリー最後の通信から15年後。リプリーの娘「アマンダ」は、母と同じ会社ウェイランド・ユタニ社でエンジニアとして働いていた。
同僚から、母の乗っていた宇宙船ノストロモ号のフライトレコーダーらしき物を回収した商業船アネシドラ号から、レコーダーを自分達の手元ウェイランド社へ取り戻すため、寄港場所「セヴァストポリ・ステーション」へ赴く事になった。
不穏な気配
セヴァストポリ・ステーションを目にしたアマンダ達一行は、遠目からでも分かるセヴァストポリの損傷を目にする。セヴァストポリ管制室へ通信をするアマンダだが、通信が上手く繋がらず途切れ途切れになってしまう。
その途切れた通信内容から、セヴァストポリでは重大な出来事が発生している事がわかる。損傷が酷く宇宙船のドッキングが不可能なため、宇宙服に身を包んだアマンダ、サミュエルズ、テイラーは宇宙遊泳を行いセヴァストポリに向かう。
孤独と生存者
宇宙遊泳中の事故によりサミュエルズとテイラーと離ればなれになったアマンダは、単身セヴァストポリへ進入する。助けを求めるため、破損している船内を進むが、そこには人1人存在しない無人の空間と化していた。
先へと進むアマンダは、とうとうセヴァストポリで初の生存者と邂逅する。しかし、その男は何かにひどく怯えていた。
生存者アクセルと何か
アマンダは、生存者のアクセルを説得し離れ離れになった仲間の捜索と、船への連絡のため通信タワーへ向かう事になった。
何かの襲撃により興奮し、敵対的な他の生存者達との接触を避けつつ進む2人だったが、途中でアクセルが何者かに襲われ、ダクトの中に引きずり込まれてしまうのだった…
完全なる有機体「エイリアン」
独りになったアマンダは、引き続き通信タワーへと足を進める。そんなアマンダの前に、母も苦しめられた存在、完全なる有機体「エイリアン」が姿を現す。
セヴァストポリの破損、アクセルの怯える姿、気がたつ他の生存者、全ての元凶となる存在が判明するのだった。
暴走するアンドロイドと仲間達への合流
アンドロイドが暴走、なぜか埋め込まれた倫理プログラムを逸脱し人間を襲い始めたアンドロイド達。その目をかいくぐりアマンダは、自身の仲間サミュエルズと連絡する事に成功する。
宇宙ステーションに乗り込む際の事故で負傷したテイラーを看病するサミュエルズに合流すべく、アマンダはセヴァストポリ・ステーション内の医療センターへと向かう。
医療キッドとペイシェントゼロ
サミュエルズ、テイラーと合流したアマンダは、負傷により動かせないテイラーの治療のために医療センター内から医療キッドを回収する事になった。
その道中で見かけた資料には、セヴァストポリでエイリアンの元になる存在、フェイスハガーに寄生された「第一感染者/ペイシェント・ゼロ」の存在が明らかになる。
アネシドラ号の真実1「邂逅」
サミュエルズの元に医療キッドを持ち帰ったアマンダは、そこに居たセヴァストポリの保安官から船内を徘徊するエイリアンは、アネシドラ号が持ち込んだという話しを耳にする。
テイラーをエイリアンが闊歩する医療センターへ連れて行く訳にもいかず、保安部室に避難、そこでサミュエルズによるテイラーの治療が開始。アマンダは、保安部で捕まっていたアネシドラ号の船長アーロイに、ノストロモ号のフライトレコーダーを回収した経緯を聞く。
アネシドラ号の真実2「回想:宇宙船の発見」
ノストロモ号同様、アネシドラ号も謎の信号を受信する。オタカラを期待し、その発信源へと向かうクルー達。砂嵐が酷く3m先も見えない状況の中、手元の信号受信機を頼りに発信元へと向かう。
ある地点まで行くと、急に砂嵐が止み視界がクリアになる。そしてクルー達は、ノストロモ号のクルー動揺、地球外生命体の宇宙船を発見するのだった。
アネシドラ号の真実3「回想:ノストロモ号の軌跡」
地球外生命体の宇宙船内に進入したアネシドラ号のクルーは、そこで「化石化したスペースジョッキー」とノストロモ号のクルーが進入に使った内部への穴とウインチを発見する。
ノストロモ号による発見記録の存在が無い事から、初発見者としての権利を得るため一縷の望みをかけるクルー達。他の者に発見されない様に宇宙船内から発信されている救難信号を止めようと、ノストロモ号のクルーが使った空洞を通り、船の奥深くに進入していく。
この警告信号を停止させる事が映画「エイリアン2」にて、植民化された際の宇宙船の発見を送らせる一因となる。
アネシドラ号の真実4「回想:ノストロモ号と同じ結末」
適当な操作で何とか宇宙船から発信される救難信号?を止めた船長アーロイは、他のクルーから自分達の所へ来る様に呼びかけられる。アーロイはノストロモ号のクルーが使ったウインチで宇宙船の最下部へ向かう。
そこで見たものは、無数に存在する卵の様な物が並べられている光景だった。
だが、一部のクルーが興味本位で卵に近づいた事で、その結末は15年前のノストロモ号クルーのギルバート・ケインと同じ末路を辿る事になった…
保安官ウェイツの作戦協力と裏切り
アーロイから事の経緯を聞いたアマンダは、ウェイツの提案するエイリアンを隔離する作戦に協力する事にした。
自身を囮とし、メインステーションから物理的に切り離せる区画「研究ラボ」へと向かう。研究ラボの電源を復旧、メインステーションと通信が繋がると、ウェイツの裏切りによりアマンダはエイリアンと共に宇宙空間へ、ラボごと切り離されてしまう。
アマンダは急ぎエアロックへと向かい、宇宙空間へ身を投げる。危険な宇宙遊泳を行い、メインステーションのセヴァストポリ内部へ戻る事に成功するのだった。
サミュエルズと合流
セヴァストポリでは、今まで暴走はしても自分の持ち場を離れなかったアンドロイド達が、持ち場を離れ人間達を襲い出していた。保安部へ戻ったアマンダは、そこで生存者達がアンドロイドにより全滅した光景を目にする。保管感ウェイツや同僚テイラー、船長アーロイはそこからすでに離れており見当たらない。
アマンダはとりあえずセヴァストポリ統合管理AI「アポロ」を説得し、暴走するアンドロイドを停止させに行ったサミュエルズと合流する。
しかし、アンドロイドであるサミュエルズは、無理なアポロへの接続の影響で、機能停止してしまうのだった…
セヴァストポリ統合AI「アポロ」
サミュエルズの決死の接続により、統合AI「アポロ」への道が開かれる。アマンダは暴走するアンドロイドが警戒に当たるアポロのコア部へ進入していく。
アポロとの対話、エイリアンを排除した事で安全になったセヴァストポリ内の厳戒態勢、アンドロイドの機能を停止させる様に要求する。しかし、リアクター内部に異物が存在する事を理由に却下されてしまう。
さらに、セヴァストポリはウェイランド・ユタニ社所有に変更された事、エイリアンの保護を全てにおいて優先し、自分達の安全は二の次になっている事が判明してしまう。
会社が頼りにならないと判断したアマンダは、リアクター内部の異物を調査、場合によっては排除する事を目指す事にした。
エイリアンの巣窟
リアクター内部に到達したアマンダは、そこで繁殖しているエイリアン達の巣穴を目撃し絶句してしまう。セヴァストポリの安全ひいては自分達を守るため、アマンダはリアクターをオーバーロードさせ巣穴を破壊する事を決意し、行動を起こす。
くしくもアマンダ・リプリーは母親であるエレン・リプリーと同じく、エイリアンと戦う事を選択するのだった…
巣窟の破壊
エイリアン、フェイスハガーの目をかいくぐり、2基のリアクターをオーバーロードさせセヴァストポリから隔離、エイリアンの巣窟を破壊する事に成功する。しかし同時に、生き残った複数のエイリアンがセヴァストポリ内で活動を再開してしまう。
リアクターをオーバーロードさせた影響で、セヴァストポリの管理システムが再起動する。システムが一時的にアポロの統制から離れた隙に、逃げ出していたアーロイが自身の宇宙船アネシドラ号をセヴァストポリに接近させ乗り込んでいた事実が判明。
アネシドラ号を脱出艇にするため、アマンダは医療センターからシャトルに乗り込み、アーロイを追ってアネシドラ号に乗り込むのだった。
アーロイの狙い
アネシドラ号に乗り込んだアマンダは、アーロイと再会。なぜかその場にはテイラーも居た。
アーロイは、エイリアンの存在をウェイランド・ユタニ社へ知らせるべきでは無いと考え、エイリアンの情報を持つウェイランド社員であるテイラーと共に、アネシドラ号のエンジンをオーバーロード、セヴァストポリもろともエイリアンを消滅させようとしていた。
作業を進めるアーロイの隙を突き、テイラーが工業用工具で殴り気絶させる。しかし、すでにオーバーロードは止められない所まで来ており、その影響で小爆発を起こしテイラーは巻き込まれ命を落としてしまう。
トレンス号の座標
アマンダは、アネシドラ号の爆発から緊急シャトルに乗りセヴァストポリへ戻る事に成功する。しかし、セヴァストポリ・ステーションはアネシドラ号の爆発に巻き込まれ、ガス惑星への墜落の危機が訪れていた。
アマンダは保安部の生き残りのリカルドと協力し、アマンダ達が乗って来た宇宙船「トレンス号」への連絡手段を取る事にした。アマンダはトレンス号の座標を観測し、セヴァストポリ外部に設置されているアンテナを直接操作し、トレンス号に救助を求めた。
しかし、保安所に戻ったアマンダは、リカルドの顔にフェイスハガーが寄生しているのを目にし、単身トレンス号に避難するため宇宙港へ赴く事にした。
新たなエイリアンの巣窟
宇宙港に辿り着いたアマンダは、手動でドッキングアームを操作しセヴァストポリとトレンス号を接続させる。しかし、トレンス号からはドッキングを解除できないため、外部からアームを切り離す必要が出て来てしまう。
宇宙空間側からアームを切り離すため、アマンダはエアロックに向かい宇宙服を着ようとするのだが、そこに現れたエイリアンによって連れ去られてしまうのだった…
希望の光、トレンス号へ
目が覚めたアマンダの見た光景は、セヴァストポリに新たに作られたエイリアンの巣窟だった。周囲の産み落とされたエイリアンエッグから襲いかかるフェイスハガーを排除しつつ、トレンス号に避難するため先へと進んで行く。
再びエアロックに戻って来たアマンダは、今度こそ宇宙空間に飛び出し、トレンス号に接続されているアームを切り離そうと起爆装置をセッティングする。
そんなアマンダにエイリアン達は容赦なく襲いかかろうとするのだが、ギリギリの所でアームの切り離す事ができ、トレンス号内部に避難する事に成功するのだった…
クリックで表示:【ネタバレあり】物語の結末
応答のない船内…
不穏な気配を感じたため、宇宙服を着たままトレンス号船内を進んでいく。
そんなアマンダの前に、アマンダより前に侵入していたエイリアンが姿を現す。
にじり寄るエイリアンと共に、エアロックに入ったアマンダは開閉ボタンを押す。
そして宇宙空間に放り出されたエイリアンとアマンダ…
……
宇宙空間を独り漂うアマンダに一筋の光が照らされるのだった…
終わりに
アマンダの顛末
プレイ実績「生存者」の解除、映画「エイリアン2」でエレン・リプリーの娘アマンダが天寿を全うした事の言及から、宇宙空間を漂うアマンダは助かっている事がわかる。
さらにアイソレーションの続編「エイリアン ブラックアウト」での登場からもアマンダ生存ルートは確定している。
評価感想
記事冒頭で述べた通り、本作のエイリアンにはA.Iが搭載されており、プレイヤーの行動(足音、銃声、物音など)に合わせて独自に行動し襲いかかって来る。そのシステム上、ゲーム自体の難易度が高い。ゲーム全体としてホラーゲームとしての完成度はもとより、映画の外伝作品としての完成度も高い水準を誇る作品であった。
難点としては、物語の進行上の致命的なバグは無いが、アイテムの仕様などで痒い所に手がほしいバグ?が少しうっとおしくもある。
一言
映画「エイリアン」を鑑賞した後に、「エイリアン アイソレーション」をプレイ、その後に映画「エイリアン2」を見ると、今まで違った目線で作品を楽しむ事ができる。
さらに、PC版のDLC(PS4版では収録済)で映画「エイリアン」時のリプリー達の行動を追体験(一部)できるゲームモードも有り、映画とリンクする物語を、より楽しむ事ができる。
続編「エイリアン ブラックアウト」
今作で無事にセヴァストポリから脱出したアマンダは、エンディングでとある救助隊に救出される。その後にある場所に連れて行かれるのだが…そこでもエイリアンの猛威がアマンダに襲いかかる。
そんなアマンダの活躍を描いた続編ゲームがスマホアプリで登場。その名も「エイリアン ブラックアウト」。そのゲームの紹介記事はコチラ。