超常現象研究家ウォーレン夫妻が調査した実話を基に作られたホラー映画「死霊館」。
彼らは調査した呪物が悪さをしないように自宅の一部を改築した博物館で保管、定期的に神父によるお清めを行っている。
そんな呪物の中でも一級品、映画でも登場し人気を博した実在する呪われた「アナベル人形」について、彼女が歩んだ劇中での歴史と実在する彼女との違いを一挙振り返る。
⚠︎ネタバレを含む内容があります。完全未視聴の方はご注意ください。
死霊館ユニバースに登場するアナベル人形の歴史
劇中時間 |
映画名 |
概要 |
1946年 |
アナベル死霊人形の誕生 |
人形職人サミュエル、愛娘アナベルを事故により失う。 |
1958年 |
アナベル死霊人形の誕生 |
サミュエル家、1人のシスターと6人の孤児達を引き取るも、ある事件が発生し孤児の1人が行方不明になる。 |
1970年 |
アナベル死霊人形の誕生&アナベル死霊館の人形 |
ある夫妻が2人のカルト教団に襲われる。教団の1人はサミュエル家の事件で行方不明になった少女だったが、夫妻の家で自ら命を落とす。 |
1971年 |
アナベル死霊館の人形 |
70年に夫妻を襲ったアナベル人形が姿を消す。71年にある骨董店で娘へのプレゼントを探していた親に買われ娘へ渡る。 |
1972年 |
アナベル死霊博物館 |
71年、人形を引き取りウォーレン夫妻はガラスケースに入れ封印。翌年にケースを娘ジョディの知人が開けてしまい心霊現象が起こる。 |
【1946年】「アナベル死霊人形の誕生プロローグ」
人形職人サミュエルと妻エスターは交通事故により娘アナベル(愛称ビー)を失ってしまう。
その後、一人娘を失った悲しみともう一度会いたいという想いから、サミュエルとエスターは邪教に縋り娘ビーを死後の世界から呼び戻そうとする。
当初、サミュエルとエスターは家の中で感じる娘の気配に一時の安らぎを得た。そんなある日、娘が人形への憑依の許可を求めてくるようになる。娘の願いに対し、サミュエルとエスターは許可を出してしまう。
それから不可解な出来事が起き始め、段々とエスカレートしていく。そしてある出来事がきっかけで邪教に縋って呼び出した存在が娘ではなく娘の皮を被った悪魔であった事が判明する。
悪魔の存在を確信した夫妻は教会に助けを求め、聖書のページを張り巡らせ神父が清めたクローゼットに人形を封印する事で事態を沈静化させた。
【1958年】「アナベル死霊人形の誕生本編」
サミュエルとエスターは、邪教に縋り悪魔を呼び出してしまった贖罪から、1人のシスターと6人の孤児達を受け入れる。
孤児の1人ジャニスは、ビーに導かれるように彼女の部屋へと侵入し、クローゼットを開けてしまい人形の封印を解いてしまう。その日を境に孤児達の周りで奇妙な出来事が起こり始める。
遂にはサミュエルとエスターは悪魔の手にかかり惨◯されてしまう。悪魔は孤児の1人であるジャニスを支配し孤児達に襲いかかるも、シスターの奮闘で人形と共にジャニスをクローゼットに閉じ込める事に成功する。
日が昇り駆けつけた警官がクローゼットを調べると、中には人形だけを残しジャニスの姿は消えていた。
仲間である孤児達の前から姿を消したジャニスは、別の孤児院で保護され自身をアナベルと名乗り、ヒギンズ夫妻に養子として引き取られる。
【1970年】「アナベル死霊人形の誕生エピローグ」「アナベル死霊館の人形本編」
ある夫妻の夫ジョンは、アンティーク人形収集が趣味の妻ミアに白いドレスを着た人形をプレゼントする。
その晩、隣人のヒギンズ夫妻は義理の娘アナベル・ヒギンズとその恋人に惨◯される。
そのままアナベル達はミアが寝る部屋へと入ってきて襲いかかるも、ジョンと警官が駆けつけ男は射◯。一方、アナベルは壁に書いた血のマークを背に、手には24年前にサミュエルが作った白いドレスを着た人形を持ったまま自ら命を絶っていた。
ジョンとミアの間に待望の第一子が誕生する。それからミアと赤子の周囲で不可解な出来事が起こり始める。
不可解な出来事の原因はアナベル人形であり、そこに宿った悪魔の狙いはミアの子供に危害を加えることで、ミア自身に悪魔へ魂を譲り渡す承諾をさせる事だった。
夫妻の危機に協力していたエブリンは、かつて亡くした娘への償いとしミアに代わり魂を悪魔へ差し出すため、アナベル人形を抱いてビルから飛び降り事件の解決を計った。
そして悪魔を宿したアナベルは忽然と姿を消す。
【1971年】「アナベル死霊館の人形エピローグ」「アナベル死霊博物館プロローグ」
事件後、姿を消したアナベル人形は何処かのお店の陳列棚に座っていた。
看護学生を娘に持つ母親は、たまたま訪れた店に飾られているアナベル人形を気に入り、娘へのプレゼントとして購入する。プレゼントされた娘は怪現象に悩み、超常現象研究家ウォーレン夫妻に人形を預ける。
ウォーレン夫妻は、アナベル人形がこれ以上悪さをしない様に自宅にあるガラスケースを聖水で清め、聖杯と共に保管する事にした。
【1972年】「アナベル死霊博物館本編」
ウォーレン夫妻は用事で出かけることになり、夫妻は娘ジュディの面倒を同じ学校の上級生メアリーに見てもらう事にした。
メアリーはウォーレン家に向かう途中で、学友ダニエラに遭遇。ダニエラは、ウォーレン家に興味を持っており、何かと用事をつけてはメアリーと共に行こうとする。
根負けしたメアリーはダニエラと共にウォーレン家へ向かい、一緒にジュディの面倒を見る。ジュディとメアリーが一緒に席を外したタイミングを見計らい、ダニエラはウォーレン家のオカルト博物館に侵入しコレクションをいじりだす。
その中で、アナベル人形を収めたガラスケースを開けてしまう。
そこからジュディやメアリー、ダニエラの周囲で不可解な出来事が起こり始める。
封印から解き放たれたアナベルは、オカルト博物館に置かれた呪物を操りジュディ達の魂を執拗に狙う様になる。3人の女の子は、恐怖と戦いながらもアナベルをガラスケースの中に戻す事で事件の解決を計った。
実在するアナベル人形との違い
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劇中(フィクション) |
実際(ノンフィクション) |
アナベル人形のルックス |
リアル寄りに作られた木製人形。 |
絵本に出てくるキャラクターを模した布製のキャラ人形。 |
辿った歴史 |
1946年から1972年まで数々の人に恐怖を与える。 |
1970年にウォーレン夫妻に引き取られるまでの詳細は不明。前所有者は劇中同様に親からプレゼントされた看護学生。 |
取り憑いた魂 |
事故で亡くなったアナベルを模した悪魔 |
アナベルという少女の魂 |
奪った命の数 |
多数 |
1名 |
ルックスが全然違う
実在するアナベル人形は、絵本ラガディ・アン ストーリーズなどに登場するラガディ・アンを模したキャラクターグッズであり、映画版ほど異質な雰囲気を醸し出さない可愛らしい見た目をしている。
「死霊館」に出てくるアナベル人形に初めは「見るからに不気味そうな人形が実話なワケあるか!」と思ってたけれど映画用に怖く作られただけで、実物は可愛らしい普通の人形でその一体が"クソやべぇ"って事実が1番怖かったですね。 pic.twitter.com/wERuiGZDsg
— ENTETU (@ENTETU4) 2023年10月15日
死霊館で描かれるアナベル人形は、より恐怖を感じさせるためとして大幅なデザイン変更を加えて制作されているが、実は「アナベル死霊人形の誕生」や「アナベル死霊館の人形」のエピローグで本物のアナベル人形と同タイプのラガディ・アン人形がちゃっかり登場していたりする。
歴史も違う
実在するアナベル人形では、1946年にサミュエルとエスター夫妻の事件やミアの事件やエブリンが飛び降りたという事もない。この部分は、実在するアナベル人形の起源に迫る部分をフィクションで描いたものとなっている。
ウォーレン夫妻によれば、1970年に人形が看護学生に渡された。人形が奇妙にふるまい、霊媒が人形には「アナベル」という名の亡くなった少女の精神が住み着いていることを学生に伝えたと述べている。
この学生とルームメイトはこの憑依された人形を受け入れて、育てようと試みたが、人形は悪意のある恐ろしい行動を示したと伝えられている。ウォーレン夫妻が最初に連絡を受け、人形が悪魔に憑依されていると宣言したのちに彼らの博物館に移したと述べたのはこの時点である。
人形はコネチカット州モンローにある夫妻のオカルト博物館でガラスの箱に収められている
劇中ではフィクションをメインとして構成されながらも、アナベル死霊館の人形エンディングで登場した看護学生の母親など、上記の史実にも繋がる様にも組み立てられている。
また劇中でサミュエルと娘ビーが行っていた「メモ遊び」も、実際にアナベル人形を持っていた看護学生が体験した「メモを残す」という不可解な現象に基づく。
人形に宿る存在が違う
アナベル人形に宿る存在は、映画ではサミュエルとエスターの亡くした娘ビーを模した悪魔だったが、実際のアナベル人形に宿る存在は不慮の事故で亡くなった7歳の少女とされる。
アナベル人形を霊視した霊媒師によると、人形に宿った少女は幼くして命を落とし再び愛されたいと願った事で憑依してしまったのだと語っている。
奪った命の数が違う
映画のアナベル人形は、劇中で「サミュエル・エスター・ヒギンズ夫妻・エブリン」の5人の命を直接または間接的に奪っている。
一方、現実のアナベル人形は、わかっている範囲で「ガラスケースを叩いた青年」1人がバイク事故で命を落としている。博物館でオカルトを信じなかった青年が、アナベルを収めたガラスケースを叩いた帰り道だったそうだ。
以上が死霊館アナベル人形の歴史や実物との違いでした。