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【原作と比較】映画【灰暗い水の底から】あらすじ・感想評価

 

【ネタバレ注意】

2002年に公開された、ジャパニーズホラー最盛期の作品が一つ。リングの監督「中田秀夫」が送る静かなる恐怖。

「ずっとずっと一緒だよね、ママ。」がキャッチコピー

仄暗い水の底から

鑑賞後評価:★★★★(3.6)

題名:灰暗い水の底から 

公開:2002年 時間:101分

監督:中田秀夫 出演:黒木瞳、小日向文世、菅野莉央

あらすじ:夫との離婚調停中の「淑美」は、自分の子供「郁子」と2人で生活できる事を主張するため、とあるマンションに引っ越しをする。しかしその部屋は雨漏りがひどかった。不動産屋もまともに対応してくれず、マンションの雰囲気も伴い、「淑美」は不穏な予感がしていた。そんな中「郁子」は屋上でバックを発見してくる、それは以前、マンションに住んでいて、現在行方不明の「美津子」の持ち物だった…それから「淑美」の周りでは、不穏な出来事が起こり…

⚠【ネタバレ】を含む記述があります。未視聴の方は注意して下さい。

映画「灰暗い水の底から」の作風の紹介

この作品は「鈴木光司」が描いたホラー短編集「灰暗い水の底から」の一遍「浮遊する水」を、「中田秀夫監督」が映画にしたものだ。後述するが、結末が小説と少し違った物で、映画版の方が「切なさ」が増している。

公開当時はジャパニーズホラーの最盛期で『リング』『呪怨』『着信あり』など、様々なホラー映画が登場していた。社会情勢ともマッチしており、瞬く間に大ヒットしたのを今でも覚えている人も多いのではないだろうか。当映画『灰暗い水の底から』は当時からクローズアップされ始めた夫婦の離婚問題と、少子化で増えた一人っ子の寂しさを絡め、そこにホラーを融合させた「恐怖」「ちょっぴり感じる切なさ」を与えてくれる。

特徴と見所

長風呂に浸かった様にジワジワくる恐怖

現在は、CGでの直接的な恐怖を演出する事が多いが、当作品はCGを一切使っていない(一瞬だけ使用)。カメラ演出・俳優の演技力・的確な効果音で恐怖を演出している。霊自身が前面に出てくる事がないため、まるでぬるま湯に浸かりながら、徐々に水温を上げられている様な、じわじわくる恐怖が見所。

2人に掛かるキャッチコピー

本作のキャッチコピー「ずっとずっと一緒だよね、ママ。」を頭に入れながら視聴してほしい。物語をラストまで見た際に、そのキャッチコピーに込められた思いを理解する。

映画と小説の物語の結末

クリックで表示:【ネタバレあり】映画の結末

今までの不穏な出来事は「美津子」が「郁子」を連れ去ろうとしていた事だった。「美津子」は、父子家庭で母親への愛を求めている事を悟った「淑美」は、自分が代わりにずっと一緒に居る事で「郁子」が連れ去られる事を防ぐ選択をする。それから10年後、高校生になった「郁子」は、かつて住んでいた「あのマンション」を見かける。自然と足が向いた先は、「母と住んでいた部屋」だった。そこで「郁子」は「淑美」と束の間の再会を果たした。

 

クリックで表示:【ネタバレあり】短編「浮遊する水」の結末

離婚済みの「淑美」は、自分の子供「郁子」と暮らしていた。しかし「郁子」は誰もいないはずの場所に向かって話しをしたりするなど、不穏な出来事が起こり始める。そんな異変を恐れた「淑美」は「郁子」を連れて、ホテルへと向かい物語は終わる。

小説より物語に深みをもたらした映画

小説版では、あくまでも「日常で起こる異変」に対して淑美が恐れ、大事に至る前にマンションから立ち去り終わっている。そのため映画を先に見た人が、原作を読むとあっけない終わり方に違和感を覚えてしまう。

一方、映画では美津子の背景が深く描写されており、母娘に対する美津子の行動も、他のホラー映画にある「呪い」「害するだけ」では無い「寂しさ」が追加されている。

 

ネタバレ含めた鑑賞後評価 

間違いなくホラー映画ではあるのだが、視聴する年齢により様々な感情が呼び起こされる作品。

郁子の年齢に近ければ、物語結末での出来事に対してどう思うか?

淑美の立場に近ければ、その行動に共感するのか?

見た人によって感じ方が違う味わい深いホラー作品だった。観賞後評価は★(3.6)。ダイレクトにホラーを味わいたい人向けの作品ではないが、霊側に立った際の「寂しさ」を感じたい人は一度は視聴すべき作品。