不朽の名作映画「ターミネーター2」。あまりにも名作すぎて続編が作られ続けるも、その尽くが不評となった完成されたターミネーター作品。
今回はそんな名作映画ターミネーター2にまつわるトリビアや小ネタ、裏話を12個厳選し一挙ご紹介。
映画「ターミネーター2」トリビア・小ネタ・裏話
1.シュワルツェネッガーではないターミネーターの可能性
この話は前作のものになるがターミネーター役は当初アーノルド・シュワルツェネッガーではなくランス・ヘンリクセンが予定されていた。当のシュワルツェネッガーはジョン・コナーの父親となるカイル・リース役を希望していたが、彼と面談を行ったジェームズ・キャメロンにより急遽ターミネーターT-800役へのキャスティングへ抜擢される結果に。
そしてキャスティングから漏れてしまいターミネーターに出演する事がなくなったランス・ヘンリクセンだったが、キャメロンが手がけた後の大ヒット作品「エイリアン2」のアンドロイド役としてキャスティングされた。
両役に共通するもは無機質なマシーンの役という事、キャメロンの中でヘンリクセンのイメージが固まっていたのでしょう。
2.受け継がれるセリフ
ターミネーターといえば有名な名言「I'll be back(アイルビーバック)」があるが、劇中では他にも後の作品達で受け継がれる事となったセリフが存在する。
それは初代ターミネーターでカイル・リースが初めて会った時にサラ・コナーへ言ったセリフ「Come with me if you want to live(しにたくなげれば、ついてこい)」だ。このセリフは、後のシリーズでサラやT-800のセリフとして多少アレンジを加えられながらも受け継がれている。
カイルの言葉を後にサラが言う。サラのカイルへの想いが一瞬でわかる名セリフです。
3.ターミネーターの複雑な権利関係
超人気作となったターミネーターだが、初代が公開されてから続編の2まで7年もの月日が経っている。ハリウッドの人気作品の続編にしては、いささか時間がかかりすぎな感じも否めない。
これには本作に関係する「大人の事情」があり、というのもターミネーターは映画として640万ドルという低予算で作られているが、資金集めの一環により続編製作の権利を持つ会社が複数存在している状況になってしまった。
複数の権利会社の足並みを揃える、全ての関係者が利益を得る関係を構築する、これに時間が掛かり続編公開まで7年もかかってしまったという事なのだ。
その権利関係は今でも続き「T-3」は2から12年後「T-4」は3から6年後という長い時間がかかってしまっている。
4.突貫工事のオーバーワークで作られたターミネーター2
前述した理由からかジェームズ・キャメロンがターミネーター2に関する契約が完了したのが1990年の5月だった。そしてT-2の公開日は1991年7月に決定。
脚本の執筆から実際の撮影までを1年足らずで行わなくてはいけないジェームズ・キャメロンは、ここから1日16時間もの過密スケジュールを組み、わずか6週間もの超短期間で脚本を完成させている。
通常であれば脚本は早くて2ヶ月、長いと数年もの時間が掛かる場合もある。それを6週間で終わらせあの大ヒットを生み出したのは、ひとえにジェームズ・キャメロンの才能と努力の結果、必然だったかもしれない。
5.何もない状態で契約したシュワちゃんとハミルトン
キャメロンは最初からターミネーター2のキャスティングをアーノルド・シュワルツェネッガーとリンダ・ハミルトンの出演を絶対条件にしていた。もし片方に断られてしまった場合、そもそもの続編自体の製作を放棄するつもりだった。
そんな思いのキャメロンだったが、台本も何もできていない状態でオファーしたら2人とも即決で契約にサインをしたそうだ。しかもリンダ・ハミルトンに至っては他の映画での主演が決定していたのにも関わらず、そのキャスティングを蹴ってまでターミネーター2との契約をするという熱の入れようだったらしい。
ちなみにキャメロンがハミルトンに連絡した際に語ったあらすじは「君の息子が悪のターミネーターに狙われている。当の君は精神病院で入院中だ。息子は善のターミネーターと組んで君を助け出し世界を救うんだ」という子供が書いた中二病丸出しのものすごいフワッとした状態だった。
ようそんな状態で契約しましたね…。
6.そんなリンダ・ハミルトンの熱意は役作りにも反映するが無事カットされる
他の主演映画を蹴ってまで出演を決めたリンダ・ハミルトンは、本作での役作りに尋常ではない情熱を注いだらしい。実際に映画を観てもわかる通り、サラ・コナーの雰囲気や肉体が、前作のどこにでもいそうな華奢な女性とは一線を引いている姿を見れば一目瞭然だろう。
これは物語に従いカイルと共に体験し実感した未来の世界を憂い、それに抗うべく女戦士となったサラ・コナーを演じるにあたり、徹底的な肉体改造を施した結果なのだ。
役作りは何も肉体改造のみではない。それは彼女が劇中で病院から脱出する際に使ったピッキング技術にも表れており、この時に彼女が行った演技は本物のピッキング技術を習得して披露したもの。
この熱意には脱帽の限りだが、さすがに本物のピッキング技術を映したシーンが問題となってしまい、イギリスでの公開時にはカットされてしまっている。
7.前作同様敵ターミネーターのキャスティングは変更に
ターミネーター2で登場する新型の敵ターミネーター「T-1000」。独特の雰囲気が印象に残るこの役を劇中ではロバート・パトリックが演じているが、本来はこの役も前作と同じく違う人が演じる予定だったのだ。
しかしキャメロンがオーディション用ビデオを見た瞬間に彼を気に入り直接縁起を見る事に。そしてT-1000役にロバート・パトリックが抜擢される事となった。
8.そんなロバート・パトリックの役作り
液体金属であり様々な人の容姿をコピーしてはコナー親子とT-800を追い詰めるT-1000。
ロバート・パトリックはそんなT-1000を演じるにあたり機械的な「怖さ」を強調するため、表情を変えない以外で「まばたき」をしない事を意識したそうだ。
その事が顕著に分かる場面として、ショッピングモールで遊んでいたジョン・コナーにT-800が接触、同時にT-1000にも見つかってしまいT-800とT-1000が銃撃シーンを繰り広げている。
そこではT-1000がジョンを庇うT-800に向かって16発もの弾丸を撃つのだが、その間ロバート・パトリックは1回しか目を瞑っていないのだ。
彼は当時を振り返り「まばたきをしないことが目標だったから失敗だ」と語り、世界に俳優としてのプロ精神をのぞかせている。
また彼は劇中でジョンを追うため走るシーンがあるが、ここでは意識的に人が走る際に行う口呼吸を止め鼻で呼吸する様にしており、そのためのトレーニングも行っていた。
ただし、あまりに有名になりすぎたT-1000役だったのか、以降の作品においてはT-1000を念頭に置いた配役が与えられる事となってしまった残念な影響も。
ちなみに瞬きしてしまった1回は、T-1000がマガジンを装填した際の1発目の銃弾の時です。
9.意識しないと分からない超細かい演出
ターミネーター2では意識して観ないとわからない細かい演出が存在している。
1.病院でのノック音の違い
ジョン・コナーと接触するため、T-1000は母親であるサラ・コナーが入院する病院を訪れる。そこで彼は病院の警備員の姿をコピーし院内を自由に行動している。その時に人間の警備員がするノック音と、T-1000が化けた警備員のノック音が微妙に違うのだ。
人間の警備員がしたノック音は肉と骨で構成される生物らしい音なのだが、T-1000が化けた警備員がしたノック音は金属が金属を叩く音になっている演出がとられている。
2.T-1000のコピー能力はその人の利き手までフルコピーしている
T-1000が未来から来た段階で初めて人の容姿をコピーしたのは白バイクの警察官だ。T-1000は彼の容姿の時は拳銃を左手で構え撃っているが、病院の警備員に化けた後には拳銃を右手で構え撃つようになっている。
そうT-1000は人間をコピーしその人物になりきる際には、利き手までをもフルコピーし、完全に人間社会に溶け込める様な機能が搭載されているという設定を細かく表現していた。
10.サイバーダイン社の爆破シーン
劇中中盤でターミネーターを生み出したスカイネット誕生に繋がるコンピュータ素子を開発したサイバーダイン社を爆破するシーンがあるが、なんとこの場面はCGやミニチュアで作った建物を爆破しているのではなく実際の建物を爆破しているのだ。
この建物のオーナーがこの話を聞いた際に「面白そうだ」と二つ返事で了承し撮影された。実際には建築されている部分ではなく、本来なかった3階部分を後付けで作りその部分を爆破しているという形を取ってはいるが。
失敗が許されない1回こっきりの撮影だったが、現場では周辺の住民が集まるなど一種のお祭り騒ぎの中で撮影されたシーンだった。
11.T-1000に残った銃跡、CGでなく特撮
液体金属であるターミネーターT-1000が銃で撃たれると体に金属特有の銃跡が残るが、この演出はCGではなく役者の演技に合わせた特撮効果で表現されている。
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この特撮技術は、特殊効果を担当した「スタン・ウィンストン」が生み出している。これは空気銃のペレット(弾)を撃ちこみ、その衝撃で出来たスプラッシュ模様を観察し大小さまざまな模様を忠実に複製。それに「アイライジング」という仕掛けをつけ、操作ひとつで花が開くよう開閉する装置を取り付け撮影道具となっている。
ロバート・パトリックがこの装置を衣装の下につけ、彼の演技に合わせ撮影、CGに頼らず見事にリアルな液体金属への銃跡を撮影する事に成功している。
12.双子で共演リンダ・ハミルトン
実はリンダ・ハミルトンには双子の姉「レスリー・ハミルトン」がいて、2人は劇中で共演もしているのだ。
主な場面としてターミネーターT-800の頭からコンピュータチップを取り出すシーンと、物語終盤にサラ・コナー扮するT-1000がジョン・コナーを呼び出すも偽サラの前に本物のサラが現れるシーンの2つ。
ターミネーターT-800からチップを取り出す場面において、登場人物たちは鏡に映った状態で作業しているという演出がとられている。本来であれば純粋に前に鏡を置いた状態で撮影してしまうとカメラが映り込んでしまう。
そのためこのシーンでは実際に鏡を使わず、穴空きの壁向こうに双子の姉「レスリー」が鏡に映ったサラを演じる事であのシーンは表現されているのだった。
もう一つのシーンは終盤で溶鉱炉でT-1000と決着をつける場面。ジョンの前に現れた負傷したサラの後ろからもう一人のサラが登場する。この時にジョンの前に現れた方、T-1000が化けた方のサラが姉のレスリーが演じている。
ここまでは比較的有名な話だが、実はもう一組双子が映画には出演している。
それはサラが入院している病院の警備員だ。
彼は物語冒頭にサラが入院している病院の警備を担当しており後に自分の姿をT-1000にコピーされ〇されてしまう。
その時にカメラのワンカットに本物の彼とT-1000が化けた彼が映るのだが、この2人はCGで描かれたのではなくコチラもハミルトン姉妹同様、双子の兄弟で演じているシーンとなっている。
以上が不急の名作ターミネーター2にまつわる裏話やトリビア12選でした。