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天正大地震に明との関係【淡海乃海 水面が揺れる時】第十四巻のあらすじ・見所・特典小説・感想

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【淡海乃海 第14巻 あらすじ・特典収録、ネタバレなしでご紹介】

天下統一もあと九州と奥州平定を残すのみ。しかし順調に進む平定だったが、ここで史実でも起こった天正大地震が日本列島を震撼させる。

淡海乃海 水面が揺れる時~三英傑に嫌われた不運な男、朽木基綱の逆襲~十四【電子書籍限定書き下ろしSS付き】 (TOブックスラノベ)

 タイトル   淡海乃海 水面が揺れる時 第14巻 
 原作   イスラーフィール
 イラスト   碧風羽
あらすじ

徳川家康との戦いも終結を迎え、これで史実における有名な武将も続々と時代という舞台から去って行った。天下統一も残すところ九州と関東から奥州(東北方面)を残すのみ。

戦国時代も終わりが見えた中、基綱は国内のみならず外国との関係にも目を配っていく事に。そんな時、史実でも起こった大災害「天正大地震」が発生してしまう。

この災害により負傷し床に伏せたという基綱の情報を手に入れた龍造寺と大友が、九州の覇をかけた争いを本格化させてしまったのだった。

この事こそが、基綱の手のひらの上だとも知らず…。

 

 

ノベル「淡海乃海 第十四巻」の見所

web版での不足分を補完した物語が多数収録

web版では一節でしか語られなかった出来事の詳細を加筆で補完された物語が多数収録。たとえばweb版では以下の様に朝堂院再建場所に院(上皇)が訪れ涙した程度に触れられた出来事だったが、書籍版ではこの時の上皇達とのやりとりが加筆で収録。

「御忍びで院がお見えになったという話も有りまする」

「院が? 嘘だろう?」 兵庫頭が首を横に振った。

「それがどうやら真の様で。扇で御顔を隠し泣いておられたとか。太閤殿下、一条左大臣様が御側に居られたようにございます」

引用元:淡海乃海 web連載版 基綱と兵庫頭の会話

webでは院(上皇)の動向がこの文面でしか語られていない。そのため、朝廷側の朝堂院再建への想いが今ひとつわかりずらかったが。

書籍版ではこの時の詳細が加筆。

「夢ではあるまいの」

「夢ではおじゃりませぬ。真にございます。」

左府の言葉に鼻の奥にツンとした痛みを感じた。慌てて扇子で顔を隠した。このまま見てては涙が溢れそうじゃ…。

引用元:淡海乃海 第14巻 本編 上皇と左府の朝堂院再建地の視察

より院(上皇)・朝廷側の朝堂院にかける想いがわかりやすくなっている。

そしてこの短編が加筆されているからこそ、後に起きる天正大地震での一幕がさらに面白くなるスパイスとして機能してくる。

天正大地震と祟り

基綱が明(中国)と日本の関係に思い悩んでいる時、史実でも起こった天正大地震が発生、避難の際に負傷し床に伏せる事に。

この大地震を利用し、朝堂院再建のため跡地を立退きされた北野社が「菅公の祟り」だと公家を脅し再建中止を求めだす。しかし、院が落涙するほど思い入れのある朝堂院再建に対し公家達は朽木に言えとつっぱねる。

朽木基綱と北野社の会談、宗教について畏怖も何もない現代からの転生者ゆえの感覚から、主人公は大地震と祟りを利用し復興財源を捻出する場面は見どころの一つ。

 

特典 書き下ろし小説

淡海乃海小説第14巻では、以下の3エピソード(電子版特典含む)の書き下ろしが収録。

六角の重鎮だった平井加賀守が当時感じた基経が行った比叡山焼き討ちの時の思いが語られた短編「鬼神」。

そして今はなき六角家の再興、それには細心の注意がいる事が語られる「名家の重み」。

かつては大友家で共に働いた親族、現在は朽木と大友に別れた親族であり仮想敵。それでも名門大友を守るため朽木の臣下になった親族に縋る「会談」。

特典短編【一】:懐かしい思い出「鬼神」

あらすじ

天正大地震後の混乱もひと段落した後、小夜のもとに父平井加賀守が訪れる。2人で麦湯を楽しむ中、ご機嫌な父に小夜はなぜそんなご機嫌なのかを訪ねた。

「いい事というより昔を思い出したのだ。懐かしい思い出であった。」

そう言った父平井加賀守は、基綱が比叡山を焼き討ちした時の思いを語り出したのだった。

特典短編【二】:朽木による六角の復興「名家の重み」

あらすじ

朽木の三男三郎右衛門が六角の名を継ぐ事が決定した。かつては近江の一大勢力だった名家の復興、それには細心の注意が必要となる。近江で領地を与えては、かつて六角を慕った国人が集まりかねない、それはお家騒動の種となりえる。

たとえ肉親であろうと息子であろうとも日本の端である九州へ送らなくてはならない。

それが名家の重みというもの。

電子版特典:朽木「会談」

もとは九州大友家の重鎮臣下だった「立花道雪」。彼は大友に無下にされ朽木の臣下となった。

そんな中、大地震による基綱の負傷で龍造寺と大友が争いを始める。国内を御しきれない大友は龍造寺に太刀打ちできず、領地を奪われ続けるだけとなった。そんな中、名門大友は成り上がりの朽木に対し、龍造寺征伐の嘆願を求め立花家の親族が訪れる。

当然、基綱への取りなしのため元大友臣下の立花道雪への接触は必須。親族同士、しかし現在は潜在的な敵対同士の朽木に大友、それぞれの立場での会談が始まったのだったが。

おまけ漫画

コミカライズ出張版 特典SS「臭い」が収録

ゆくゆくは朽木軍副将をも務める事となる「真田弾正」が初めて朽木基綱のもとを訪ね任官を願いでる場面。かつての住まいから近江に移動してきた真田弾正達は風呂に入っていなかった。臭いを発する弾正達とその妻たちのやり取りが描かれたワンシーンが収録。

困った

…弥五郎様の元まで臭いが届かなければいいのだけれど…

引用元:淡海乃海 第14巻 おまけまんが

他の読者の反応

今回は、経済中心です。戦いはありません。

九州征伐は次巻でしょう。

日本から金銀が流出しなかったら、世界経済はどうなるか。そこを丁寧に書いています。

引用元:https://www.amazon.co.jp

信長の野望でいう圧勝モードに入ると、消化試合感が強くなり飽きてしまいます。

作者も同じ気持ちなのか、ここにきてグローバルな視点からの経済問題へと構成をシフトしてきました。

大賛成です とても面白くなってきました。

引用元:https://www.amazon.co.jp

 

終わりに

龍造寺と大友征伐、九州平定は次巻に持ち越しに。

そしてとうとうwebに追いつきいてしまいそう。webの更新は2020年3月を最後に2年間更新はない。淡海乃海外伝の物語も進めなくてはならないため、作者の動向が心配。

その心配は他の読者の方も感じており…。

ゆっくりでいいので、単調な物語で早く出版せず、今まで同様細かい描写をメインとした丁寧な物語で展開される事を切に祈る。

お願いします。

もし主人公が朽木の当主にならなかったら…そんなIFを描いた「異伝:淡海乃海 羽林、乱世を翔る」の紹介記事はコチラ