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異伝 淡海乃海【羽林、乱世を翔る】第二巻のあらすじ・書き下ろし特典や感想

 

桶狭間の戦いが始まる。戦国乱世の転換期となる出来事に、主人公はどう関わって行くのか…。

異伝 淡海乃海~羽林、乱世を翔る~二【電子書籍限定書き下ろしSS付き】

題名:異伝 淡海乃海「羽林、乱世を翔る」第二巻

原作:イスラーフィール :碧風羽

あらすじ:織田信長との秘密会談を済ませた主人公「基綱」は、自身の故郷への高島越中守の侵攻への対策を立てていた。新たに仲間になった忍び一門の「葉月」へ、矢継ぎ早に対応策を指示していく。その切れ味鋭どすぎる軍略は、本編「淡海乃海」とは違った結末を抱くとともに「一波僅かに動いて万波随う」こととなる…。

素人小説投稿サイト「小説家になろう」で連載中の「淡海乃海」異伝版の書籍化作品。

 

異伝ならではの見所と本編との違い

本編ヒロイン「小夜」の不遇

本編では天下人である主人公の嫁という立場のヒロイン「小夜」。六角と浅井との争いの最中、浅井に嫁いだ小夜は離縁され実家に戻って来る事となる。その後、主人公が台頭してきた事で主人公との再婚を果たし幸せを掴む事となるが、異伝では主人公は京に居るためその運命を辿る事はない。

作者いわく、歴史上に小夜の名が出て来るのは浅井家との関係のみで、その後どうなったかは歴史には残されていないとの事。

主人公と結婚する事はなさそうな現状、この後に本編でのヒロインが辿る末路はどうなるのか、見所の一つ。

織田信長のとの関わり

本編である「淡海乃海-水面が揺れる時-」では、主人公は織田信長との関わりが薄い。実際に会談する場面は1シーンしかなく、あとは主人公の独白で語られるぐらいしかない。しかし異伝では、桶狭間の戦い前の織田の居住での会話シーンなど、がっつり登場してくる所が魅力的。

あらすじ:桶狭間の戦い。戦国時代の転換期となる一つの出来事だったが、周囲は織田の敗北という予想で固まっていた。この事は2万の兵に対して3千の兵で迎え撃つ織田軍という構図に対し至極全うな評価だった。

しかし、現代から戦国時代に転生した基綱は当然この戦いの決着を知っている。京での三好家や足利家の警戒心を肌で感じる基綱は、将来に訪れるであろう自身の危機に対し避難先の一つとして、現在は弱小勢力の一つでしかない織田家の下を訪れ…。

 

特典書き下ろし小説

特典短編【一】:蚊帳の外にいた幕府「解任」

あらすじ

足利義輝の妻である足利毬の下に三好家家臣の松永弾正が訪れていた。弾正いわく足利毬の力を貸してほしいとの事だった。毬は夫であり征夷大将軍である義輝との関係が上手くいっていない事から、他にもっと力になれる人がいると一度は断りを入れようとするが、弾正は御台所(足利毬)でないとと固辞されてしまう。

そして、弾正が毬に伝えた事は、幕府が知らず知らずに検討されていた課題、足利義輝の征夷大将軍職の解任の話しだったのだが…。

特典短編【二】:蚊帳の外にいた幕府「不信」

足利への嫌悪を隠さない基綱と、そんな彼に対して当然良い感情を持たない幕府側の関係は悪化していた。基綱の叔父兄弟であり、現在は幕府に仕えている朽木成綱達兄弟は、基綱に対する悪感情を親族だからとの理由で幕府幕臣の苛立ちの捌け口にされていた。

ある出来事の問答で言い争いになった朽木兄弟と幕臣、その会話の中で将軍を含めた幕府達が朽木兄弟に秘密である軍略が検討されていた事が発覚する。その事は、朽木兄弟の幕府への不信を抱かせるには十分であり…。

電子版特典短編【三】:蚊帳の外にいた幕府「祖父」

飛鳥井雅教は隠居した邸宅で息子から飛鳥井家の昇進報告を受けていた。鬱屈している父を励まそうと、明るい口調で飛鳥井家の躍進を伝えるが、雅教はどこ吹く風、おざなりな返答に終始してしまう。その時に雅教は、日野家の問題で孫である基綱との関係にヒビが入ってしまった事を考えていた。

後日、基綱が雅教の下を訪れる。何でも知っていると思っていた孫でも知らない事があったのかと驚く雅教だったが、基綱との会話は思いのほか楽しく早々に時は過ぎて行ったのだが…。

おまけ

コミカライズ1話試し読み

コミック版第1巻収録の第1話がおまけ漫画として収録されている。第1話は、小説版1巻で収録された主人公が朽木家を出て公家に入り、松永弾正が訪ねて来る場面までが描かれている。

 

終わりに

異伝 淡海乃海【羽林、乱世を翔る】二巻。本編である「淡海乃海-水面が揺れる時-」ではあまりスポットが当たる事がなかった三好家や幕府、朝廷での出来事を中心となった展開が面白かった。本編ではほぼ登場しなかった帝(天皇)が、異伝側ではがっつり物語の軸に組み込まれている展開も、本編にはない物で異伝ならではの魅力がある。

さらには、本編でのヒロインである「小夜」の今後がかなり気になる所。子供に恵まれ、天下人の妻という最良の立場を得て幸せを掴んだ小夜だが、異伝での将来はかなり暗い。本編を何度も読んだ読者にとっては、小夜の将来がどういった物語を描く事となるのか興味がつきない物となりそうだ(このままフェードアウトも十分ありそうだが…)。

前巻「異伝 淡海乃海 羽林、乱世を翔る」第一巻

本編「淡海乃海 水面が揺れる時」第十巻