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小説【淡海乃海 外伝集〜老雄〜二】あらすじ・見所・感想

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戦国を生きた老将たち。命尽きる時、彼らは何を思ったか…。

淡海乃海 水面が揺れる時 外伝集~老雄~二【電子書籍限定書き下ろしSS付き】

題名:淡海乃海 水面が揺れる時 外伝集〜老雄〜二

著者 : イスラーフィール  : 碧風羽

小説家になろう連載中で、その根強い人気から書籍・漫画・舞台・ドラマCDと数々の媒体で制作された小説「淡海乃海 水面が揺れる時」。

物語は、現代を生きていた1人の男が戦国時代の弱小領主「朽木家」へと転生し、史実を知っているというアドバンテージを生かしながら、群雄割拠の乱世を生き抜いて行くというもの。

本作は、淡海乃海本編で語られる事がなかった老雄、戦国時代を自身の知恵と勇気、非情な決断を取る事で生き抜いた男達の今際の間際を描いた短編が収録。

 

 

収録短編集あらすじ

老雄〜足利義維〜

足利将軍家の別家である平島公方家であり、もう一歩で征夷大将軍になれた男「足利義維」。

彼が征夷大将軍に付随する権利「天下静謐の任」を朝廷から与えられた朽木基綱と、それによって起こりうる将軍家の未来を予期した話を描いた短編。

あらすじ:足利五郎義任は興奮を露に義維へ天下静謐の任を朽木基綱に与えられた事を報告した。

その場には足利義維、前征夷大将軍の足利良助が。3人は傀儡をなり恥辱に塗れる事なる現征夷大将軍足利義昭と公方家の今後について語りあう。

老雄〜伊勢貞考〜

淡海乃海小説第5巻で起こった足利義昭による朽木への決起。その時に粛清された幕府の摂生執事「伊勢貞考」。

本編では単に命を落としたという報告のみの出来事だったが、老雄本編にてこの時の詳細なやり取りが収録。

あらすじ:伊勢貞雄の元に倅の兵庫頭があわてて彼の部屋へと入ってきた。内容は公方が兵をあげ自分達の元へ向かっているという事だった。

幕府に忠義を誓う伊勢貞雄は、自分意外の者を避難させ将軍たる足利義昭に手向いもせず相対する事を選択し…。

老雄〜直江景綱〜

上杉家の重鎮「直江家」。その景綱は命の期限が迫る中、上杉家への最後の奉公として上田長尾家の娘達を朽木家と織田家との繋がりを得るための駒として使う事を提案した。

その時の上杉家の内情を描いた物語。

あらすじ:直江景綱のもとに息子の与兵衛尉が訪れる。上杉謙信が上田長尾家の娘を養女とし朽木と織田へと嫁がせる事を了承したとのことだった。

上杉家を守るためとはいえ、女子を道具とすることを嫌う謙信が受け入れた心情、この事で力を持ちすぎ争いの種になりかねない上田長尾家が危惧を避けるため自身の家を潰す覚悟をした心情、そして10歳にも満たない幼女を上杉家に嫁がせてくれた朽木の心情を思い景綱は…。

老雄〜北条幻庵〜

約80年にも渡って小田原城を守ってきた一族「北条家」。

淡海乃海第9巻で徳川と繋がりをもち織田信長が命を落とした瞬間を狙い織田軍を撃破、その後に徳川の裏切りにより滅した北条家の襲撃間際を描いた短編。

あらすじ:織田陣営の徳川の密かな裏切りにより北条家の窮地を脱した北条家。幻庵は徳川への不信を抱きながらも、北条家の行く末が詰んでいる状況に頭を悩ませていた。

そんな彼のもとに北条家当主左京丈夫の妻である梅が声を掛けてきた。彼女は北条家が織田軍を退けるため軍を小田原城から外に出した事への不安を吐露してきた。

織田を裏切った徳川を信用できるのか…考えても答えはでず、北条についたはずの徳川が小田原城を襲撃してきた事でその不信への答え合わせとなり。

老雄〜三好長慶〜

戦国時代、最初の天下人に最も近かった男「三好長慶」。彼の息子は若くして命を失い、その後継として選ばれたのが「三好孫六郎」だった。

孫六郎の血筋からは三好家当主に選ばれる事は些か疑問なところも多かった。長慶が床に伏せる中、本短編において孫六郎が当主として選ばれた理由の一端が語られている。

あらすじ:床に伏せる三好長慶。彼は当主となった孫六郎が部屋を訪れても、起き上がるのが日に日に困難になってきていた。

自分が三好家当主となった事への疑問や不安に押しつぶされそうな孫六郎。長慶は自身の命が残りわずかである事を感じながらも、孫六郎へ三好家当主の心構えを語りかける。

その他の短編

本作では上記で述べた5人の人物も今際の間際を描いた短編の他に、朽木基綱へ嫁ぐ事が決まった時の平井家の物語や、長らく朽木軍副将を勤めた真田幸降の領地を得た時の話、朽木家重鎮の竹中半兵衛の任官した時の物語などが10話収録。

電子版書籍特典SS「覇者の誕生」

淡海乃海本編第2巻で収録された比叡山焼き討ち。朽木基綱の仏をも恐れぬ魔王としての周囲が恐れ慄く所業。

内心で母親や妻に嫌われたのではないかと不安を抱く基綱が、城へと戻った後の母や妻の反応を描いた特典ショートストーリー。

 

終わりに

新規書き下ろしの短編が収録された外伝集。前巻に引き続き新規書き下ろしが多いため本編に比べボリュームは少なめ。それでも、本編で不足していた部分を補足する形になっており、実本購入者には満足する内容と思う。

ただし電子書籍を購入している人には電子版書籍の特典SSが収録されている事もあり、実本購入者よりも既視感のある物語が少し多めな印象を受けるかも。

書籍版「淡海乃海」第一巻

もし主人公が朽木の当主にならなかったら…そんなIFを描いた小説「異伝:淡海乃海 羽林、乱世を翔る」