【特徴豊かなサメが登場】
サメを描いたパニックホラーと言えば「映画:ジョーズ」を頭に思い浮かべる人が多いだろう。しかし、広い世界においてはジョーズの他にもサメをモチーフとした作品は多い。今回は映画「ジョーズ」を筆頭に、多額の予算で作られたA級映画とも言える作品から、アイデア一本勝負「砂を泳ぐサメ」や「双頭のサメ」が登場するB級作品まで、10作品を一挙紹介。
王道のサメ映画
映画「ジョーズ」を筆頭に、あくまで「巨大な海洋生物」をモチーフとした作品。一般的にイメージされやすいサメの「海の王者」としての側面を強く現しているとも言える。いわゆる、王道を描いたシャークパニックホラーをこの項目では4作品紹介する。
ジョーズ
時間:124分
1975年に公開されたスティーヴン・スピルバーグ監督によるモンスターパニック映画「ジョーズ」。サメ映画といえば、これ!と言わしめる程に有名。後発で制作されたサメ映画においての基本的な演出はこれが発祥。と言わしめる程にクオリティとインパクトを見る人に与えてくれた作品。
その人気ゆえに、続編として「ジョーズ2」「ジョーズ3」「ジョーズ87」が制作されている。
あらすじ:アメリカ東海岸に存在する海辺の田舎町「アミティ」で、海で亡くなった若い女性が打ち上げられる。警察署長は事件解決まで海水浴を禁止する事を提案するも、小さな田舎町の貴重な収入源である海水浴を禁止する事に反対する町長や住民に却下されてしまう。
そんな中で、とうとう2人目の犠牲者が出てしまう。犠牲となった人物の両親が犯人であるサメに懸賞金を掛けた事で、周辺から続々とサメハンターが町に集まって来る。同時に1人のハンターにより、1匹のサメが捕獲される。これで事件も解決したと喜ぶ町の住民達であったが、海洋学者フーバーは捕獲されたサメの歯形が犠牲になった人達に付いた物より小さい事に気がつく。フーバーは、まだ事件が解決していない事を見抜くのだが…
ディープ・ブルー
時間:105分
1999年に公開されたモンスターパニック映画「ディープ・ブルー」。本作の特徴として、登場するサメが人によって意図的に知能を強化されている事があげられる。単純に自然界に存在する巨大なサメが人を襲うのではなく、現代風にアレンジされており、アルツハイマー治療の研究にサメを利用していたという背景が作中に存在している。
この作品も人気が高く、続編として「ディープ・ブルー2」「ディープ・ブルー3」が制作されている。
あらすじ:太平洋上に存在する軍の潜水艦補給基地を改造して作られた海中研究所「アクアティカ」。そこではアルツハイマーへの治療薬を開発する研究が行われていた。内容はアオザメの脳細胞を用いた物で、それゆえに意図的に知能を強化されたサメを飼育し研究をしていた。
そんなある日サメを麻酔で眠らせ脳細胞を抽出、その抽出した物からアルツハイマー治療薬のプロトタイプを生成する実験を行う。その実験結果が大成功を納め、見事試薬品が完成する。一同は歓喜に震え、職員の1人ジムが不用意にサメに近づく中で、麻酔で寝ているはずのサメが突如ジムに襲いかかるのだった。
ジムは腕を噛みちぎられ、病院への搬送を余儀なくされてしまう。その病院への搬送作業こそが、人に利用され続けられたサメが復讐を行う絶好の機会となるのだった…
MEG ザ・モンスター
時間:113分
2018年に公開された巨大なサメを扱ったパニックホラー「MEG ザ・モンスター」。この作品の特徴として、はるか古代に実在したとされる超巨大なサメ「メガロドン」が登場する。
あらすじ:レスキューチームのリーダー「テイラー」は、沈没した潜水艦乗務員の救助に向かっていた。当初、救助は順調に進んでいたが問題が発生、テイラーはチームの1人マークスを圧壊する潜水艦に置き去りにする事で、乗務員や他のチームメンバーの命を守るつらい選択を行う。帰還後テイラーは「巨大な生物」に攻撃を受けた事を伝えるが、そんな与太話に耳を貸す人は誰も居なかったのだった…
その救出作戦から5年後。中国の海洋研究所「マナ・ワン」にて、海底調査を行っていた調査艇は巨大生物の攻撃を受け深海から浮上する事が出来なくなってしまう。中国海洋研究所のジャン博士は、タイで暮らしていたテイラーに助けを求める。
依頼を受けたテイラーは以前と同様に海中深くへ救助に向かうのだが、そこで5年前には誰も信じなかった存在「巨大な海洋生物メガロドン」に再度襲撃を受けてしまうのだった…
海底47m
時間:90分
2017年にイギリスにより制作され公開された映画「海底47m」。本作の特徴として、今まで紹介した作品に共通する「異常発達した巨大サメ」が登場しない事だ。海上アトラクションでよくある、サメが泳ぐ海の中へ鉄で守られた檻の中に入り潜って行くというものをモチーフにしている。そのアトラクション時にトラブルに巻き込まれ、そのまま海底47mへ落ちて行ってしまうという、現実的にありそうなシチュエーションを描いている。
あらすじ:ケイトとリサ、2人の女性は休暇を利用してメキシコを訪れていた。彼氏に振られたリサの慰安もかねており、上手く慰める事ができずに居たリサだったが、地元の人間に聞いた「ケージ・ダイビング」の話しを聞き食いついてしまう。
2人は地元の青年と船長テイラーと共にサメが泳ぐ海域まで船で向かう。サメをおびき寄せるためエサを海に巻き準備を整えてリサとケイトが鉄の檻に入った際に、檻と船を繋ぐワイヤーが切れてしまう。2人はそのままエサにおびき寄せられたサメが泳ぐ海の中を海底47mまで落ちて行ってしまうのだった…
邪道?いや鮫道(コウドウ)のサメ映画
ここからは、前項で紹介したサメをモチーフとした王道のパニックホラーとは違い、制作者の常識に捉われない豊富なアイデアをいかんなく発揮した作品を4作品紹介する。いわゆる邪道な…いや、鮫道(コウドウ)とも言える独自色の強さが特徴的。
ダブルヘッド・ジョーズ
時間:88分
2012年、アメリカで制作されたパニックホラー映画「ダブルヘッド・ジョーズ」。この映画最大の特徴は、双頭の龍…ではなく双頭の鮫が登場する事だろう。シングルヘッドであれだけの恐怖を演出できるのであればダブルヘッドなら?を体現したかの様な、アメリカらしいアイデアをもとに制作された作品になっている。
このダブルヘッドで味をしめたのか、後に「トリプルヘッド・ジョーズ」「ファイブヘッド・ジョーズ」など続々とサメの頭を増やした作品も増えて行った。
あらすじ:学校の課外授業で教授につれられて、学生男女10数人がクルーザーで海上を航行していた。バカンスムードに浮かれる生徒達だったが、クルーザーはやがてサメにぶつかり破損してしまう。海水も浸水しだし、クルーザーは航行不能に落ち入ってしまう。
修理のため、近くの島に上陸した一向だったが、やがて海辺で遊んでいた生徒達は「双頭のサメ」に襲われ始めてしまうのだった…
シャークネード
時間:88分
2013年に制作されたアメリカのテレビ映画「シャークネード」。本作の特徴は、まさにシャーク(サメ)+トルネード(竜巻)=シャークネードといったもの。何を言っているかわからないと思うが、トルネードの中からサメが突撃してくる作品なのである。
アメリカで猛威を広げ、人々に恐怖を与える自然災害「トルネード」に、海の恐怖の象徴「サメ」を掛け合わせるといういかにも地雷な雰囲気を放つ作品である。
と思いきや、シリーズ作品として続編も作られているため、意外にこのアイデアは見る人に受け入れられた様である。
あらすじ:メキシコ沖で発生した巨大なトルネード。3つある内の1つはロサンゼルスへ上陸を果たしてしまう。その猛威に街の人達はパニックになるが、いつもの竜巻とは違い、今回の竜巻には恐るべき存在が潜んでいた。
そう、巨大な竜巻は海を移動する際に、サメの大群をその力で巻き上げており、それと共にロスへ上陸してしまったのだ。トルネードだけでも大変なのに、さらにサメの襲撃のおまけ付、かくしてロサンゼルスは古今東西前代未聞の大パニックに陥る事になってしまうのだった…
ジュラシック・シャーク
時間:75分
2012年カナダにより制作されたサバイバルホラー「ジュラシック・シャーク」。本作の特徴として、「ザ・モンスター」同様に古代サメ「メガロドン」をモチーフにしている。のだが、多くの映画が制作されたサメをモチーフとした映画の中で、史上最低の評価が付いている作品としても名高い。
要因として、サメ映画なのにサメが出ない、物語の設定が無茶苦茶など多岐に渡るのだが、その中でも特筆すべきは「エンドロールが13分」ある…という所。そのため、収録時間75分にエンドロールを引いた62分が、この映画の実質の上映時間とも言える。
あらすじ:豊かな自然溢れるエルバー島にて、グラント博士の指示により安全基準を無視した石油の採掘作業が行われていた。安全基準を無視した事により深く掘り過ぎてしまったグラント達は、氷の中で眠っていた巨大生物メガロドンを解き放ってしまうのだった。一大事のはずが、グラント達は安全に問題ないと勝手に結論つけ放置する事にしてしまう。
しばらくした後、春休みを利用して無茶苦茶な採掘作業を行っている噂を確かめるため、大学生のジル達4人はエルバー島を訪れていた。ボートにのって湖を渡るジル達だったが、そこで古代より解き放たれたメガロドンの襲撃を受ける事になってしまったのだった…
ビーチ・シャーク
2011年制作のアメリカ映画「ビーチ・シャーク」。本作の特徴は、サメが海しか泳げないと誰が決めた?と言わんばかりにサメが砂で覆われたビーチを泳いで人を襲う、というもの。
海では無い所に出現するサメだけに、通常のサメを倒すやり方とは一味違う「砂場」独特の倒し方も必見。
あらすじ:ホワイトサンゴの静かな島に町長の不良息子のジミーが戻って来た。彼は、町の活性化と自身の借金の返済のため、学生対象の大規模なパーティを企画する。保安官のジョンとジミーの妹ブレンダは、そんな彼の話を静かに聞いてあげていた。
そんな中で、海辺で泳いでいたカップルがサメに襲われたと騒ぎ出す。浅瀬にサメは出ないはず思う矢先に、砂浜にサメが出現し人を襲い出すのだった…
終わりに
以上がサメをモチーフとしたパニックホラー映画特集でした。上記で紹介した作品はサメを題材にした映画の一部でしかなく、ダブルヘッドジョーズの様に制作者のアイデアにより、様々な形態のサメ映画が今なお作られ続けている。映画の1ジャンルとしての立場が確立されている、と言っても差し支えない。
上記で紹介してはいないが、他にも水場なら何処でも現れるサメの幽霊が登場する「ゴースト・シャーク」や、オクトパス(タコ)とサメが融合を果たした存在が登場する「シャークトパス」など、まだまだ紹介しきれていないサメ映画があるので、興味がでた方は暇つぶしに見ても面白いと思う。
ただし、突飛なアイデアの作品は当たり外れが多いのも留意されたし。
似た傾向はゾンビ映画の方でも見られ、従来に則した広く認知されている特性から脱却を計った作風の作品もサメ同様に多い。それでもサメ映画の様にぶっ飛んだ作風の物は少ないだろう。サメ映画とは、そこまで充実したアイデアが泳ぐジャンルであると言える。