心霊現象、怪奇現象、◯人鬼、様々な恐怖で楽しませてくれるホラー映画たち。
演出、撮影手法、自宅で撮影、様々なアイデアを出し尽くし圧倒的な低予算で圧倒的興行収入を叩き出す。
そんなアイデア一本勝負でヒットを飛ばした低予算ホラー映画、その予算と興行収入、さらに簡易なあらすじと合わせて12作品ご紹介。
日本円換算の制作費は、公開年当時の為替レートの価格となっています。
- 映画製作の相場
- ブレア・ウィッチ・プロジェクト(6万ドル)
- REC(170万ドル)
- カメラを止めるな!(300万円)
- パラノーマル・アクティビティ(1万5千ドル)
- パージ(300万ドル)
- SAW(120万ドル)
- グレイヴ・エンカウンターズ(200万ドル)
- ラスト・エクソシズム(180万ドル)
- インシディアス(150万ドル)
- クワイエット・プレイス(1700万ドル)
- ドント・ブリーズ(990万ドル)
- FOUND ファウンド(8千ドル)
- 終わりに
映画製作の相場
低予算ホラー映画を紹介する前に、ハリウッドや日本での映画製作費を見てほしい。この相場感を踏まえた上で、これから紹介していく低予算ホラーの製作費を見れば、いかにその「異常性」がハッキリとわかると思う。
日本実写映画の相場:数千万円〜5億円程度、力を入れた映画で10億程。
ハリウッド実写映画相場:数億円〜250億円程度。
日本に比べてアメリカでは映画にかける予算が約10倍程度の違いがあり、ホラー映画では「IT/イット それが見えたら終わり」で3500万ドル、「ザ・リング」で4800万ドルほど予算がかかっている。
ブレア・ウィッチ・プロジェクト(6万ドル)
低予算度:★★★★★★★☆☆☆ | ||
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制作費(円換算) | 約660万円 | |
興行収入(円換算) | 約287億5000万 |
大学に所属する学生達がドキュメンタリー映画の撮影のためある森へ向かった。
そこはブレアウィッチの伝説が残る森。学生達は順調に映画の撮影スケジュールをこなしていったが、想像を絶する恐怖を体験し行方不明となってしまう。
そして1年後、森の中で一つのビデオフィルムが発見された。
事件を周知し謎を解き明かすため、遺族は発見されたビデオフィルムを再構築し映画化した。残されたビデオフィルム、そこに映っていたものとは…。
超低予算の6万ドルで製作され、興行収入2億5千万ドルを記録し業界内に激震が走った話題作。擬似ドキュメンタリージャンルを流行させた第一人者。
学生の一人が手に持っていたカメラに事件の顛末が記録されており、それを視聴者が観ているといった演出手法で撮影されている。
この手法は後の映画作品に多大な影響を与え「ファウンドフッテージ」という撮影ジャンルとしての地位をも確立させた。
「製作費と収入の差が最も大きい映画」としてギネスブックにも載っている、少ないコストで多大な利益をもたらした作品。
ブレア・ウィッチ・プロジェクト続編PV
REC(170万ドル)
低予算度:★★★★★☆☆☆☆☆ | ||
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制作費(円換算) | 約2億230万円 | |
興行収入(円換算) | 約38億円 |
消防士に密着取材を行っていたレポーター達は、ある通報により古い建物に足を踏み入れた。
しかし、その建物内には未知の感染症が広がっており、ゾンビの様になった住人達が襲いかかって来るのだった…。
ブレアウィッチプロジェクト同様、レポーターが持つカメラを通して物語が展開される作風で製作されたホラー映画。
ブレアウイッチプロジェクトと比べると予算は多く見えるが、映画業界全体から見ればかなりの低予算で製作されている。
物語終盤、主人公の女性レポーターに襲いかかる恐怖は必見。
カメラを止めるな!(300万円)
低予算度:★★★★★★★★☆☆ | ||
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制作費(円) | 300万円 | |
制作費(円) | 約30億円 |
とある郊外の廃墟となった建物で、ゾンビ映画の撮影が行われていた。
かつて、その建物では旧日本軍により亡くなった人を蘇えさせる実験が行われていた…という都市伝説が語られていた場所だったのだが…。
日本産の低予算でヒットした映画の金字塔とも言われ、現代で身近なSNSという媒体を通して面白さが拡散し大ヒットした作品。
予算300万円ながら興行収入は30億を越えており、為替次第だがドル換算でブレアウィッチプロジェクトの6万ドルよりも予算がかかっていない。
残念ながら興行収入がブレアウィッチを超えていないため、ギネス更新には至らず。
本編前半は作中劇のゾンビホラー、後半は疑似メイキングフィルムが流れる映画には珍しい2部構成の物語も特徴的。
パラノーマル・アクティビティ(1万5千ドル)
低予算度:★★★★★★★★★☆ | ||
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制作費(円換算) | 約178万円 | |
興行収入(円換算) | 約226億1000万 |
ある同棲中のカップルは、家で起こっていた怪奇現象に悩まされていた。
カップルの一人ミカはハンディーカメラを購入し、その正体を暴くため日常の風景や寝室を撮影するのだが、そこには映されていた映像に…。
予算1万5千ドル、撮影期間7日、撮影場所が監督の自宅、編集機材も監督のPC、出演者も無名を起用、これでもかと予算を節約し撮影されたホラー映画。
興行収入は、1億9千万ドルを越えるヒットを飛ばし、公開初週の1館あたりの平均興行収入はタイタニックに次ぐ記録を叩き出している。
パージ(300万ドル)
低予算度:★★★★☆☆☆☆☆☆ | ||
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制作費(円換算) | 約2億6700万円 | |
興行収入(円換算) | 約79億2100万 |
経済が崩壊したアメリカ。そこでは一つの法律が施行されていた。
それは「パージ法」といい、年に1回だけ19時〜7時の間の12時間、ありとあらゆる行為が合法化された恐ろしい法律だった…。
厳重なセキュリティで守られた家に立てこもる家族と、そんな家族を襲おうとする暴徒との戦いをメインとしたサバイバルな物語が魅力のホラー映画。
パージ法という社会制度を皮肉った斬新な世界観も好評で、多数のドラマシリーズや続編が作られている。
制作費300万ドルで興行収入は8千9百万ドルを記録。
SAW(120万ドル)
低予算度:★★★★★★☆☆☆☆ | ||
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制作費(円換算) | 約1億2800万円 | |
興行収入(円換算) | 約107億円 |
バスルームで目が覚めた2人の男。その彼らの足には鎖が繋がっており、バスルームの真ん中には1人の男が血を流し倒れていた。
面識のない2人は「助かりたければ6時間以内に相手を◯せ」と何者からか命令され…。
アナベル死霊博物館やデッドサイレントを世に出した監督「ジェームズ・ワン」のデビュー作品。
予算120万ドル、撮影期間18日で製作された本作は興行収入1億ドルを突破し、後に計8作品ものシリーズが作られた大人気映画。
余談だが、本作で登場したジグゾウ人形はジェームズワンが監督を務めた人形を題材としたホラー映画「デット・サイレント」のワンシーンに登場していたりする。
グレイヴ・エンカウンターズ(200万ドル)
低予算度:★★★★★★☆☆☆☆ | ||
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制作費(円換算) | 約1億6200万円 | |
興行収入(円換算) | 約4億3000万円 |
心霊スポットを取材した番組「グレイヴ・エンカウンターズ」。
やらせ番組として精神病院跡の廃墟で撮影を行っていたが、いつものやらせの撮影とは違い今回は本物の怪奇現象に遭遇する事となり…。
推定200万ドルの製作費に対し、倍以上の540万ドルの興行収入を記録したホラー映画。YouTubeで予告編を公開した所、その怖すぎる予告編から世界はもとより日本でも話題となった。
ラスト・エクソシズム(180万ドル)
低予算度:★★★★★★☆☆☆☆ | ||
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制作費(円換算) | 約1億6500万円 | |
興行収入(円換算) | 約61億6400万円 |
牧師のコットンは悪魔払いの名人として地元では有名だった。だが、彼自身は悪魔の存在を信じておらず、悪魔払いを一種のショーと考えていた。その事を暴露しようとも考えていた。
そんなある日、エクソシズムを追うドキュメンタリー映画に協力しある悪魔憑きの少女のもとを訪れたのだったが…。
180万ドルの製作費で、興行収入は6700万ドルを記録したヒット作品で、悪魔憑きの少女ネル役のアシュリー・ベルの演技も必見の作品。
本作公開の2年後には続編「ラスト・エクソシズム2」が公開され、本作で登場した悪魔に憑かれた少女ネルが再登場している。
インシディアス(150万ドル)
低予算度:★★★★★★☆☆☆☆ | ||
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制作費(円換算) | 約1億3800万円 | |
興行収入(円換算) | 約89億2400万円 |
ある家族が新居に引っ越して間もなく長男が昏睡状態になってしまう。医者にも原因がわからず、3ヶ月後には昏睡状態の長男を自宅に移す事にした。
そんなある日、母親が娘の部屋から不気味な声がする事に気がつく。次男はそんな母親に「兄が夜中に歩き回る」と言って来るのだが…。
低予算映画「SAW」でヒットを飛ばしたジェームズ・ワン監督が手がけた低予算ホラー映画。予算150万ドルで9700万ドル以上の興行収入を叩き出した一品。
低予算ながらホラーマニアの間ではかなり評価の高い作品。その事は数字にも表れており、北米・イギリスで5週連続でトップ10入りを果たしている。
クワイエット・プレイス(1700万ドル)
低予算度:★★☆☆☆☆☆☆☆☆ | ||
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制作費(円換算) | 約19億2100万円 | |
興行収入(円換算) | 約384億2000万円 |
2020年、宇宙から来た地球外生命体の存在は世界に恐怖を振りまいた。盲目であるがゆえに鋭敏な聴覚を持つ怪物は、音を立てた人間を次々と襲い◯していた。
そんな世界で音を立てず生き延びていたアポット一家だったが、ある日その末っ子が音を立ててしまい…。
CMがバンバン流れていたので、この映画を知っている人も多い事だろう。それだけ大々的に宣伝していたのに関わらず、意外に製作予算は1700万ドルと低予算の部類に入る。
今回紹介した作品集の中では高い方だが、一般的な映画製作費からすると低く興行収入は3億4千万ドルとかなりのヒットを飛ばしている。
同製作会社が手がけたトランスフォーマー5作目が大コケした分、こちらは低予算でその穴埋めを狙った…なんて噂も…。
ドント・ブリーズ(990万ドル)
低予算度:★★★☆☆☆☆☆☆☆ | ||
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制作費(円換算) | 約11億8800万円 | |
興行収入(円換算) | 約180億円 |
アメリカのデトロイト、経済が破綻した街で生活している少女ロッキーは街から出るための資金稼ぎとして、盲目の老人が住む屋敷に仲間とともに金銭目的で侵入する。
しかしそこで目にしたものは超人的聴覚と身体能力を持ち、侵入者に一切の情けをかけない冷酷な老人の姿だった…。
上で紹介したクワイエット・プレイスと似た作品で、クワイエットは聴覚の優れた怪物が登場するが、こちらは聴覚の優れた元軍人が相手となっている。
製作費は990万ドルで興行収入は1億5千万ドルのヒット作品。
FOUND ファウンド(8千ドル)
低予算度:★★★★★★★★★★ | ||
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制作費(円換算) | 約92万円 | |
興行収入(円換算) | 不明 |
11歳の少年マーティは学校でいじめられていた。家でも両親は不仲で心休まる場所はない。そんなマーティだったが、彼には一つの楽しみがあった。
それは家族の秘密を覗き見る事、母親が隠しているラブレター、父親が隠した大人な雑誌、そして兄の部屋のクローゼットの秘密を覗き見た時…。
圧倒的低予算8千ドル、日本円で約90万程度で製作され話題となったホラー映画。カメラを止めるな!(300万円)やパラノーマルアクティビティの1万5千ドルをも下回る圧倒的底予算は業界内に激震を走らせた。
のだが、いくら探しても興行収入を記録した資料は発見できず。いくら儲けたかは不明。
終わりに
映画は予算をかければ面白いというわけではない。演出とアイデア次第で何とでもなる。
特にブレア・ウィッチ・プロジェクトは衝撃的で、直接的なクリーチャーといった物は前面に出てこないが、雰囲気で恐怖をジワジワと伝える映像は今でも記憶に新しい。