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異伝 淡海乃海【羽林、乱世を翔る】第一巻のあらすじ・本伝との違い・書き下ろし特典や感想

 

異伝 淡海乃海「羽林、乱世を翔る」第一巻【あらすじ・特徴・本伝との違い・購入特典や感想】を紹介。

本編「水面が揺れる時」のIF物語。朽木家当主に就任出来なかった竹若丸の行く末とは?

異伝 淡海乃海~羽林、乱世を翔る~一【電子書籍限定書き下ろしSS付き】

題名:異伝 淡海乃海「羽林、乱世を翔る」第一巻

原作:イスラーフィール :碧風羽

あらすじ:本来は朽木家当主を継ぐはずだった主人公竹若丸は、幕府の横車によりその立場を追われようとしていた。

周囲の家臣達は竹若丸が当主となる事を望んだが、負け戦直後で家の力が落ちている今、幕府と関係悪化を取る事の危険さから主人公は次期当主の座を辞し、母の実家「京の飛鳥井家」に赴く事になる。

素人小説投稿サイト「小説家になろう」で連載中の「淡海乃海」異伝版の書籍化作品。

 

小説「異伝 淡海乃海 羽林、乱世を翔る」の特徴

淡海乃海とは違う顛末を描くIFストーリー

別書籍「淡海乃海 水面が揺れる時」本編の開始時に竹若丸が朽木家の当主を継ぐ場面でもし当主にならなかったらどうなっていたのか?

そんな「もしもの選択肢」を描いた物語。

異伝ならではの登場人物達

淡海乃海では武家側の登場人物を中心とした登場人物との絡みが多かったが、異伝では主人公が京に戻った事により、本伝でスポットの当たりずらかった宮中・公家側の登場人物達が物語の中心になっている。

web版から大幅加筆された物語

異伝「羽林、乱世を翔る」は本伝「淡海乃海 水面が揺れる時」と同様、素人小説投稿サイト「小説家になろう」で無料公開中。

物語の大まかな展開はweb版と同じだが、書籍版では個人的感覚において4割以上加筆されている感覚が出て来るぐらい大幅な加筆がなされている超お得版。

 

異伝ならではの見所と本編との違い

三好長慶との会談

本編では遂に顔を会わせる事が無かった2人、竹若丸と三好長慶との会話が実現している。本編にて、長慶と竹若丸とで周囲の人間が会ってほしかった旨の話が出ていたが、今作ではそれが実現、しかしこの事が物語に大きな影響を与えて行く事になる。

あらすじ:朽木家の抑えとしての人質として竹若丸を迎えに来た三好家だが、竹若丸は同行する代わりに三好長慶との会談を条件に出す。長慶は、竹若丸の異様な雰囲気を聞き、興味本位で会ってみるのだが…

本来のヒロイン「小夜」との出会い

本編では竹若丸と小夜は結婚しパートナーとなる。しかし今作では、竹若丸が武家から離れた事により、六角家・平井家との関係が稀薄になる。そのため本伝とは違う顛末を辿る事になっている。

あらすじ:武家ではなく公家として生きて行く事になった竹若丸だが、ある事情のため六角家の当主と会談する事になった。会談を終えて宿泊するため竹若丸は、本編「水面が揺れる時」では舅親の平井の家に宿泊する事になり、その子供達との邂逅を果たす。

淡海乃海とは変わった関係を築く事になる登場人物達

書籍では母親である綾の妹でしかなかった「目々典侍」が竹若丸の義理の母親へ、関わり合う事がほとんど無かった「春齢」との婚約など、様々な登場人物達が「淡海乃海」では起こりえなかった関係の変化が面白い。

変化した関係性の主な登場人物達

目々典侍(飛鳥井千津)

本伝では甥である竹若丸との関係性から、朝廷と朽木家の連絡役になる事が多い。

異伝では竹若丸の義理の母親に、本編での竹若丸の理解者である祖父稙綱の代わりに竹若丸の庇護者、理解者になる。

春齢(目々典侍と新王の娘)

本伝では竹若丸(朽木基綱)との文通相手。

異伝では竹若丸が目々典侍の義理の息子になったため、義理の兄妹となる。将来は朝廷の慣習により尼(寺)に入る予定だったが、竹若丸と結婚する事によりその道から救われる。

三好孫四郎

本伝では、竹若丸に将軍足利家からの裏切りを提案する。その提案は竹若丸に一蹴されるが、個人的に竹若丸の事を評価し認めている。

異伝では、竹若丸と三好長慶との会談の様子から、竹若丸を危険視する。

足利義輝

本伝では、武家の棟梁という立場や周辺国への影響から竹若丸が気を使う存在。

異伝では、竹若丸は武家ではないため周囲の影響を度外視、足利家に対して嫌悪をあまり隠さない。そのため、本編より竹若丸との関係性は悪化している。

朽木長門守

本伝では、竹若丸(朽木基綱)の叔父であり一家臣。あまり出番はない…

異伝では、竹若丸に代わり朽木家の当主に就任する。本伝とは違い、出番が多い。

朽木稙綱

本伝では、孫の竹若丸のよき理解者。孫の実力を誰よりも信じており、足利家へ思いがありながらも孫を優先する好々爺。孫のお蔭で悔いの無い人生を送る。

異伝では、朽木当主就任の件で足利に不審が沸く。朽木家の将来と足利家の思惑との板挟みで本伝とは違った苦悩を抱える事になる。

飛鳥井綾(朽木綾)

本伝では、自身の子供竹若丸の異様さに怯えながらも、稙綱の取りなしもあり竹若丸青年期には良い関係を築ける。

異伝では、取りなしの存在がいない事で、竹若丸に対しての畏怖を解消できずにいる。そのため、ある出来事がキッカケとなり、息子と断絶してしまう。

 

書き下ろし特典

「知者は惑わず」

将軍義輝は竹若丸を朽木家当主の座から追い落とした事を後悔していた。幕臣達を集め、元服したら当主の座に戻す事を相談、竹若丸を説得させるため2人の人間を飛鳥井家に遣わすのだが…

本編でカットされた幕府が主人公を朽木家当主に戻す要請をして、主人公が断った場面が加筆で描かれた物語。

「柵」

近衛前嗣は、足利と共に京に戻った幕臣の1人であり、父親でもある近衛稙家を迎えていた。幕府の意向に反した行動を取った事を父親に謝る前嗣だったが、父は気にしていなかった。そして今後の幕府の行く末を話し合う両者だったが…

前嗣は主人公と一緒に朝廷を守るため各所を奔走した。その結果について、父親と会話をするシーンが追加されている。

電子版特典「孤児」

主人公竹若丸の母、飛鳥井綾は実家に戻り1年が経過していた。時間が経っても憂鬱な表情が晴れない綾を心配した飛鳥井家は、綾の再婚話を進めるのだが…

本編では何だかんだで上手くいっていた竹若丸と母親綾の関係だったが、この話しを機会に完全に断絶する事になってしまう…そんな物語の一片を描いた電子版特典。

おまけ漫画

コミカライズ版「羽林、乱世を翔る」1シーンとキャラクターの設定画収録

幼子竹若丸が三好長慶と会談した結果、幼子が大名長慶を震え上がらせる事になる。その1シーンで三好家臣が刀を抜き襲いかかりそうになる1シーンが収録されている。

他にコミカライズ版のキャラクターデザイン「竹若丸」「長慶」「孫四郎」などが数ページに渡って収録。

羽林版4コマ漫画

羽林版4コマ漫画が2ページ3話を収録。

デフォルメされたキャラクターにより公家の風習などを面白おかしく紹介している。

 

終わりに

淡海乃海では、何だかんだで上手くいっていた主人公の母親綾との決裂が決定的となっている。これは、正伝で祖父稙綱が上手く竹若丸の理解者として、母親と竹若丸の仲を取り持っていたが、異伝では側に居ないため母親とのすれ違いが大きくなった事が原因だと思われる。本伝での竹若丸との関係性を知る身としては、つらく寂しい物語だった。

理解者不在の期間が長かったためか「淡海乃海 水面が揺れる時」に比べ、主人公竹若丸の性格が苛烈な物に感じる事が多くなっていた。

後に今作では祖父の代わりに、淡海乃海では竹若丸の伯母でしかない「目々典侍」が理解者になる。

男と女、性別が違う理解者の存在が竹若丸の今後にどう影響していくのか?単純に武家に生まれて天下を目指す物語構成より、武力を持たない公家としての物語をどう展開していくのか?

「淡海乃海 水面が揺れる時」本編を知っているからこそ、今後の本伝とは違う関係性を築く登場人物達の動向や展開が気になり、楽しめる小説に仕上がってて面白かった。

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