イギリスのロンドンが舞台、世界の終末を迎えた後の物語。
国という組織すら、もうその世界には存在していない。
その引き金は、ある活動家達の行動により始まる。
題名:28日後
公開:2003年
時間:114分
あらすじ:動物愛護団体による、とある研究施設への襲撃。なぜかベットに固定されているチンパンジー。その視線の先にはなぜか暴動ニュースの切り抜き映像。愛護団体の活動家達は、酷い事をされていると思い動物達の回収を行おうとする。しかしそこに居合わせた研究者は警告する、『我々は未知のウイルスの対策に研究しているのだ!檻を空けてはいけない!』と。活動家はその警告を無視し、檻を空けてしまう。凶暴になっているチンパンジーに噛み付かれて活動家に異変が…そして28日後…
鑑賞後評価
物語:★★★★★
恐怖:☆☆☆☆☆
演出:★★★☆☆
印象:★★☆☆☆
総合:★★★☆☆
2003年アメリカの第30回サターン賞の最優秀ホラー映画賞受賞作品。ダニー・ボイル監督のイギリス制作映画。
紹介
とある施設で研究されていた未知のウイルス『レイジ』。感染すると、わずか20秒以内に発症してしまう。これは人の身体が無傷で健康体であっても、感染者の血を浴びるだけで即刻発症してしまう、このとんでもないウイルスが原因のホラー映画になる。劇中では既に世界がこのウイルスの被害に遭い、国という組織すら無い状態から始まる。28日間の出来事は、登場人物達から少し聞ける程度で、詳しい滅亡過程は不明になっている。まぁゾンビ映画の終末過程は、だいたい同じルートを辿るため、想像できなくはないが。
20秒で発症って…とんでもな…
健康体でも即発症だからね。他の作品では見た事ない設定だね。
そもそも、これはゾンビ映画と呼べるかはどうか…ゾンビの定義を「生けるしかばね」とするならば、答えはNOになる。生命が終わりに向かって発症するのではなく、健康体でも即時発症してしまうため定義に当てはまっていない。ただし、発症後の挙動はゾンビそのものため、見る人によって意見が割れそうだ。劇中ではゾンビ達に、知性と呼べるものがある様子の演出がある。そのためアイアムレジェンドみたいに、ただ感染しているだけの病人とも取れなくはないが…
主人公ジムはとても気弱い青年だ。28日後のこの終わった世界にいきなり放り込まれた様なものなので仕方がないだろう。しかし物語が進むにつれ、様々な人たちとの出会い、守りたい仲間も出来どんどん心境に変化が訪れる。特に顕著なのは終盤の場面だろう。ネタバレになるので詳しい説明は避けるが、仲間の女性達を助けるために、自ら危険な相手に対して挑むその姿は、物語序盤を見た視聴者の目を疑う程の姿を見せてくれる。私は「キャラぶれすぎじゃないか…」と思う程の勇ましさをジムから感じた。ある種のロードムービーの要素も含んでいる映画になる。
起承転結がしっかりしていて、物語としては奇麗にまとまった作品になっている。登場人物達の行動にもリアルがあり、物語を動かすためだけの不可解な行動や演技など一切ない。
観賞後評価
作品として高評価を受けるに値する映画だが、個人的にはあまり入り込めない作品だった。物語は奇麗に作られていたので★5だが、ゾンビ映画としてのホラー感は無かったため★0、総合★3になった。これは完全に好みの問題になってしまうが、ゾンビ映画に必要な、多人数の生存者によるパニックと、閉鎖空間による人の狂気が足りなかった。あらためてゾンビ映画の至高はドーン・オブ・ザ・デッドであったと再認識する結果になった。
ちなみに28日後がヒットしたため、後に続編の『28週後』が制作されている。一度見た事があるのだが、内容はあまり覚えていないが、面白かった記憶は一切ない。
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