【2つのエンディング・物語の謎を徹底考察】
夜間の巡回警備の仕事。妻子のために真面目に仕事をこなす主人公だったが、どう見ても普通ではない状況に陥ってしまう。
果たして警備員であるプレイヤーは、妻子の待つ自宅へと帰る事ができるのか!?
今回はそんな警備員を扱ったチラズアート作品「夜間警備」の2つあるエンディングの出し方や物語のあらすじ紹介、作中の謎を徹底考察。
ゲームの紹介
今作品は純粋なウォーキング系心霊ホラーゲーム。
全11階の建物を1階→11階までフロアを巡回しつつ決められたタスクをこなしていく事で物語が進行していく。そんな仲、フロアを進むほど徐々に異常事態がプレイヤー扮する主人公に襲いかかる。
4階に達した時点で紙を吐き出し続けるコピー機や、天井から落ちてくる蛍光灯というホラーな状況。果たして11階に辿り着くまでに、徐々に過激となる恐怖の演出にプレイヤーは耐える事ができるのか?
そして今作のエンディング数は2つ。
ゲームのダウンロード方法
『夜間警備』本日発売!!👮🚨🥳🎉
— Chilla's Art|チラズアート (@ChillasArt) 2023年6月17日
Night Security is out now on Steam! 👮🚨🥂🎊
Play Now: https://t.co/RJBCINbwL6 pic.twitter.com/rPwJE6Z7aQ
2023年6月16日からPCゲームの配信サイト「Steam」にて定価920円(税込)でダウンロード販売中。購入ページの詳細は下記リンクより。
主なレビュー
今回の作品は前回より怖さが増していて声を出してしまうくらい怖かったし、途中ツッコミも入れていて恥ずかしくなりました(笑)
声を出してしまうくらい怖いのにチラズアートさんの作品はまた遊びたくなってしまうのは、虜になっているのでしょうか(笑)
怖いの好きな方は警備員さん体験も出来るので遊んでみて下さい。
上に行くほど周りの様子もどんどん不穏になってホラー演出も増えて怖かったです!
音で結構ビビった…
今回は怖くて楽しかったです!
今作はガチで怖いので心臓が弱い方…注意です。
物語のあらすじ
10月22日 警備員(35)
子供の誕生日の前日、警備員(35)は自宅で眠る妻子を残し1人夜間警備の仕事へと出勤した。出勤時間は深夜0時、警備室に入り夜間警備の仕事がスタート。マネージャーからの引き継ぎ書を確認しつつ館内の見回りを開始したのだった…。
各フロアでこなすタスクは以下の通り
・部屋の奥の火災報知器を点検し施錠
・トイレの明かりを消す
・人がいる場合は帰らせる
・時計と監視モニターを警備内容を確認し見回り
各階ごとに火災報知器の確認、人が居たら注意し帰宅を促しトイレの電気を消す。フロアでのタスクを完了すると音が鳴るので次の階へ…という具合に次々とフロアを巡回し物語を進めていく事となる。
巡回業務の異常事態
各階の見回りをこなしていく毎に悪化していく異常な様相。
紙を吐き出し続けるコピー機、ふいに落ちる蛍光灯、トイレから覗く何者かの影、主人公はそれらの恐怖に耐えながら警備のタスクをこなしていくのだったが…。
5階の監視モニター
そして巡回業務は5階のフロアに、しかしこの階は電気が落ちていた。
主人公はヒューズを探し電気を復旧する事に成功。人が残っていないか監視モニターで確認してみると、6階に2人の女性社員の姿が。彼女達は男の話で盛り上がっていたのだったが…急に停電してしまった。
暗闇の中、2人は何者の気配を感じたのか走って逃げ回るも…ついには…。
この会社では警備員を巡る恋愛沙汰があった様だ。
ある女性社員「アイツ」と交際していた警備員「落木敬護」。その警備員を略奪した灰色スーツの女性社員の存在。
作中で体験している異常現象は、どうもこの恋愛沙汰に関わる事のようなのだが…。
6階〜10階の巡回警備
夜間警備の仕事も後半へ。
そして異常事態は尋常ならざる状態に。
どう見ても異常な状況だったが、主人公は真面目に仕事をこなしつつ…遂に最後の11階へと足を踏み入れた…。
⚠ここからエンディング・ゲーム内容におけるネタバレを含んだ内容になっています。
2つのエンディング
エンディング1「追体験」
最後の階層にてビデオテープを視聴する。その後、背の高い女に追いかけられるが、そのまま非常階段から脱出すると迎えるエンディング。
クリックで表示:【ネタバレあり】物語の結末
非常階段から外に出る事ができた!
これで元の場所へと帰れる…。
そんな主人公の視界は突如乱れてしまう。
目の前に広がる地面と瓦礫の山、どうやら非常階段から転落したようだ。
薄れゆく意識で最後に見た光景は赤く染まっていく地面だった…。
そしてエンドロールでは、ビデオを巻き戻すかの様に時間が巻戻っていき…。
オープニング時には「10月22日 警備員(35)」となっていたテロップが「10月22日 落木敬護(35)」と表示されプレイヤーが操作していた主人公の正体が明かされる。
今までプレイヤーが操作していた人物こそ、社内の女に手を出し恨みを買っていたであろう警備員本人だったというネタバレエンディングです。
エンディング2「残る不安」
最後の階層に隠されたビデオテープを視聴する。その後、背の高い女が追いかけてくるのだが、彼女から逃げつつ壁に設置された番号入力装置に子供の誕生日「1023」を入力する事で迎えるエンディング。
クリックで表示:【ネタバレあり】物語の結末
必ず生きて子供に会う!
その気持ちからか、追い縋る何者から逃げ切りエレベーターへと辿り着いた主人公は、その場で意識を失ってしまったのだった。
主人公が眼を覚ますと病院のベットの上だった。
病院で眼を覚ました主人公の前には、愛する妻と子供が映る。
無事に戻る事ができたのだろう…。
そう安堵した主人公の視界に不安が映り込む。
主人公が眼を覚まし安堵している妻子の後ろに「アイツ」が現れたのだ…。
一応こちらのルートがグッドエンドではありますが…。
物語の考察
本作品はループしている物語という説
本物語は主人公が何回も悪夢を繰り返しているというループする物語であるという考察。
・根拠1:エンディング1(バッドエンド)のエンドロールが、今までの物語を巻き戻していき主人公の出勤時にまで戻っている事。
・根拠2:エンディング2に到達するための暗号入力装置の周りに何回も間違えたであろう数字と斜線が書かれている事。
・根拠3:9階にて明らかに異様な社内で眠る男性社員を起こすと、新人警備員のはずである主人公に対し「何度も何度も来やがって」「もしかしてずっとここにいるのか?」と何回も繰り返している事を示唆する内容をしゃべる。
これらの事から本作品はループしている物語であり、今まで主人公はパスワードを間違えてはエンディング1を体験し何回も巻き戻されては出勤からやり直しており、正しいパスワードを入力できたエンディング2で悪夢のループを脱出したという考察。
出会う社員達の不可解な会話内容とそれから導く2つの仮説
新人警備員(35)は、巡回警備の際にフロアで1人社員達と会話をしていく事となる。上司に残業を強いられている社員や連絡先を聞いてくる社員など。しかしその会話の内容は新人警備員であるはずのプレイヤーに対しては少し矛盾や気になる内容となっている。
ここではその会話内容から物語に隠された謎を考察していく。
まずは各フロア毎でする社員の会話概要を確認してみよう。
各フロアでの社員の会話内容概要と出来事
1階:男性社員「ああ、新人の警備員か」「もうそんな時間か」
2階:女性社員「かっこいいですね」「連絡先交換しましょう」「後悔させませんよ♡」
3階:2階のトイレに居た女性社員が3階に居る
4階:残業する男性社員「今日もあなたですか…」「あなたに会うと帰れるので嬉しいです」
5階:赤い服の女性社員「こんな所にいたんだ」
6階:5階監視モニターで見る6階の女性同士の会話「警備員と付き合っている」「その人、アイツと付き合ってなかった」「略奪」「私の方が魅力的だから仕方ない」
8階:トイレの女性社員「4んだアイツが…」「アイツのせいで皆いなくなった」
9階:床で寝ている社員「何度も何度も来やがって」「毎回いるじゃねーか」「もしかしてずっとここにいるのか」
各フロアで会話した社員の気になる部分
①:1階で出会う社員は「ああ、新人の警備員か」と警備員の服を着ており顔を知らない人に対する内容だが、4階や9階では「今日もあなたですか」や「毎回いるじゃねーか」など何回も顔を突き合わせている顔見知りに対する態度を取っている点。
②:2階で警備員の事をかっこいいと言い連絡先を聞いてきた女性社員の姿と、6階で会話している女性社員同士が似ている事(スーツの色と着こなしは全く同じ)。そして会話の内容は略奪愛を語るものとなっている。
その会話内容に出てくる人物を「アイツ」と呼称し、8階でトイレにこもる女性が「アイツが4んだ…」と怯えているという時間軸的に不可解な点。
・仮説1:フロアを進むにつれ社内で起こった事件が時系列順になっている説
1階では新人社員扱い、4階では顔見知りな態度、そして2階で警備員である主人公に連絡先を聞いてきた女性と同一人物であろう女性が6階で他の女性に「アイツ」から警備員を略奪した事を話す内容。さらにはその「アイツ」が8階に行った時点で「4んでいる」事。
これらの点から作中では、フロアを進む毎に社内で起こった事件に至る経緯を時系列順で追体験しているのでは?…という考察。
ちなみに作中から「アイツ」とは5階フロアで会話した赤い服の女性社員と思われる。
1階時点では新人社員時代、2階で女性と連絡先交換、4階時点では勤務してしばらく経ち社員と顔見知り程度の仲に、そしてアイツと付き合う、6階でアイツと別れ以前連絡先を交換した女性と付き合う、そしてアイツはそれがショックで亡くなりナニかが社内で起こり、8階ではその事を気に病んだ女性が怯えている。
という夜間警備で起こった不可解な出来事や社員との会話は、この会社で以前に起こった不幸な事件に至るまでを出来事を時系列順に追体験しているのではないだろうか。
・仮説2:フロアを進む毎に新人警備員(35)に落木敬護(35)が侵食した説
1階で新人社員扱いする男性、4階で顔見知りな態度をとる社員、その他の人達の対応からフロアを進むに連れ作中で起こった事件のあらすじを追体験していく考察を立てたが、この説ではある一つの謎が解決しない。
それはエンディング1で判明するプレイヤーが操作する主人公が、作中で登場した警備員「落木敬護」本人である事で生じる辻褄が合わない点。主人公自身が落木であるならば、1階警備室で見るマネージャーからのメモ「落木と連絡が取れないから業務を引き継いで欲しい」という内容に矛盾が生じてくる。
主人公が落木敬護本人であるならば、マネージャーから落木の業務の引き継ぎ指示がでるはずがないという事だ。
この謎を解決する説がフロアを進むに連れ新人警備員(35)に落木敬護(35)が憑依し記憶が侵食されていく…という説で解決できる。
この説であれば1階時点では落木の業務を引き継ぐ名も無き警備員(35)であり、階を進む毎に落木敬護の思考や記憶が侵食し、彼が体験した出来事を追体験していく。
そしてエンディング1に辿り着いた時点で自分を落木敬護本人と認識する様になればエンディングの「落木敬護(35)」のテロップと、マネージャーの落木の引き継ぎ指示で生じる矛盾は解消される。
さらにこの説でエンディング1と2に深みが増し少しスッキリします。
仮説と関連しエンディング1・2の追加考察
上記で唱えた仮説「新人警備員(35)」に「落木敬護(35)」が憑依侵食していった説が正しければ、エンディング1と2の内容ともマッチしエンディング描写が色々とスッキリする。
作中ラストで壁に設置された暗号入力装置とその周りに貼られた家族の絵と何度も間違えたであろう数字と斜線。
この入力装置はエンディングに関わる重要な装置となっており、番号がわからず非常階段から逃げればエンディング1へ、正解すればエレベーターへの道が解放されエンディング2へと辿り着く。
新人警備員(35)はフロアを進む毎に落木敬護(35)が憑依し頭の中を侵食していく説を軸にすれば、最後の11階で頭の中が完全に落木敬護(35)になった主人公は本来の自分の家族の誕生日などわかるはずもない。
そうなればパスワードを間違えては非常階段に逃げ込まざる得なくなり、エンディング1に辿り着く結末(ループ)となる。
そしてエンディング2に辿り着いた主人公は、ラスト11階でかすかに本来の自分を保っており、家族の誕生日を入力する事ができループ世界から脱出できた。
という考察が成り立ち全体的にエンディング1と2への物語の深みが増しスッキリしてくる。
未解決の残された謎
3つの説、新人警備員(35)に落木敬護が侵食していった説、フロアが社内で起こった事件の時系列順になっている説、物語全体はループしておりエンディング2にてループから出れた説で物語の大部分は解決したと思う。
しかしまだ残された謎は存在する。
・各フロアで見たビデオ映像の意味。
・エンディング2ラストで妻子の後ろに赤い服を着た女性「アイツ」が現れた点。
・オープニングで残されたカレーと食べ切った弁当の描写。
・5階監視室に置いてある落木敬護のメモ内容
これについては…。
単純に考えるならば各階のビデオ映像は上司のパワハラにまつわる物語だというミスリード、エンディング2の赤い女性はホラーによくある不穏オチ、落木のメモのあの瞬間とはアイツが4んだ瞬間が映っていた事、残されたカレーライスは妻との不仲を描写した(不仲によるストレスが落木の霊をつけ入らす隙となった)とかになるのだろうが…。
果たしてそんな単純なのだろうか…。以上、夜間警備の考察でした。
終わりに
チラズアート作品では介護事情やストーカー被害などの社会問題とホラーをミックスされた作品が多かったが、本作では純粋なホラーを突き詰めたゲームだった。
何回か心臓が口から出てきそうでした…。
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